77日目 100324 ROLANDSECK – KOLN



0800起床。朝食を食べて少し作業をしてから1000出発。
目的の美術館が11時からのため電車に合わせて遅めに出発。

朝教えてもらった近くのスーパーに行ってみる。
業務品スーパーのような感じでまとめ買い向けといった趣だが確かに安い。
野菜はオランダと変わらないが、お菓子や飲み物はぐっと安い気がする。

駅前を少し物色してから駅へ。
ドイツ国鉄DBの自動販売機はお札も使えるし、すばらしいのは経路検索をしてそれをプリントしてくれるところ。目的の電車がなぜかネットで昨夜調べたものと違う。不安になり明日と明後日の予定も確認してみると、それらは合っているよう。

ちなみに、今朝Hに電車の乗り方を教えてもらったところ、ドイツでは電車に乗る前に駅構内のスタンプ機(フランスやイタリアと同じ、ジジッって鳴るヤツです)を押す必要があり(お得な四回券は両側端部を表裏で四回スタンプできる)、ケルン市内のトラムは切符に時刻が印刷されているので、スタンプは必要ないそうだ。

ドイツも駅など公共交通機関のインフォメーションがドイツ語のみなので乗り方や切符の使い方などわからずに困る。オランダもフランスもそうだった。その点スペインは最も外国人にやさしい。オランダ(とドイツも)はおそらく皆が英語を話せるからわからなかったら訊いてというスタンス、とはTさんの推測。色々意見はあるが、実感としてはイギリス以外はどこも英語の通じ具合は同じくらいに感じる。

目的の列車に乗りアルプ美術館へ向かう。LVMから片道9.8e。

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Arp museum
Richard Meiyer
2007
Hans-Arp-Allee 1,D-53424 Remagen,Germany
■電車DBの駅Rolandseck(ケルンからおよそ30分くらい)を降りて、目の前にあります。今は駅舎兼美術館の一階が改修中?で、一度外に出て地上階(0階)の入り口からトンネルを通じて入りました。
■6.5e。月曜休み。1000-1700。
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マイヤーファンがいたら怒られそうだけれど、建物には全く興味はなくHans Arpの彫刻が見たかったので、はるばる来てみた。

が、運悪く、奥さんのSophie Arpの展示をやっていて、なぜかHansの作品はほとんど展示されていない。警備員などに訊いてもドイツ語で全然わからないが、ないことは間違いない。とても残念

しょうがないので、一応マイヤーの建物を見て回る。外壁はウレタン塗装っぽい工場塗装の鋼板で乾式で作られている。内観は特に言うことはなく、the mayerという感じ。

同じ感じでも谷口吉生さんのような緊張感を感じないのは、作り込みがゆるいからだろうか。けれどこれを欲しがるマーケットがあることはわかる。エレベーターのコア空間が杭がむき出しになっていてダイナミックでかっこいい。

電車でケルン中央駅へ帰る。9.8e。一昨日、昨日と見れなかったコロンバへ。

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Art Museum Kolumba
Peter Zumthor
2007
Kolumbastraae 4,50667 Cologne,Germany

■中央駅から歩いて5分。インフォの地図にも載っています。
■火曜休み。1200-1700。5.5e。チケット替わりにプランと展示の説明が書かれたパンフレットをもらえます。撮影可能、フラッシュ禁止。プライベートユースonly。
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外観を初めて見たときは、思いのほかレンガ(石かと思ったけれどbrickとパンフに書いてある)が綺麗すぎ、教会側から垣間見えた、吹き抜けの内観もどうかとおもったのですが、やっぱり建築は中に入らないとわからない。恐れ入りましたという印象。

ロッカーから、マホガニーのような、しかし見たことの無い木目の突き板貼りであるところから驚きつつ、まずは庭の展示へ。版築のような翌日見る教会と同じ塀に囲まれ、白砂利のみの庭に木が並ぶ。木が展示物のように見える。

チタン板貼り?の厚く重い扉を開けて吹き抜けに入る。
ケルンの街の地下に眠っていたローマ時代の遺跡の上を縫うように通路が浮かんでいる。その遺跡の上にこの建物は建っている。なのでレンガ壁は継ぎ足しするような格好で既存の壁の凸凹に合わせて付け加えられている。

この吹き抜けの構造をどうやっているのかが興味深い。柱はかなり細い。打継目地を塗りつぶされているが、現場打ちだと思う。けれど遺跡が並ぶ中、どうやって打設したのだろう?まるで、ポンっと置いたように整然と並んでいる。またレンガで積まれた壁は、ハイサイドライトのように上部で半分位がランダムに抜かれている。遺跡への換気通風と採光のため。よって空気は繋がっている。既存の柱ピッチに合わせて光が抜けていないところを見ると、鉄骨か鉄筋が入っているのだろうか?不思議。水平力を負担せずとも、組積造にしては高さが高すぎるはず。

手すりや通路の床はローズウッド?で贅沢な感じ。通路は裏庭につながっており、richard serraの彫刻が展示されている。

階段を登って二階に上がる。
手すりがとても握りやすい形状。

段板も床もテラゾーがどこまでも続く。おそろしい。壁は床と同色のスタッコ。全く割れていない丁寧な仕上がり。

床のテラゾは壁と40ほどの底目地で見切られていて、各小部屋はそれぞれ違う仕上げのボリュームに見立てられ、仕上げが変えられている。

展示室は床壁モルタル、読書室は床壁突き板貼り(ミースのような木目を合わせた突き板、よく調達できたなぁ)、ショーケースのある銀細工品の部屋は床は黒いテラゾ、壁天井は黒い毛足の長いファブリック布団貼り。

展示室の一室は作品のバックとして?広大な金箔張りの壁面があった。
いくらくらい掛かっているのだろう?近づいただけで注意された。

小部屋に分けられた展示室にはそれぞれ入り口に50ほどの段差ができている。
普通なら危険だから、と段差なしにされてしまいそうなところを、パンフレットに気をつけてください、と書いてあるだけで済ませている、建築家オリエンティッドな姿勢がすごい。内部は部屋名以外、展示のクレジットも、段差に注意なども、全くサインがない。余分な情報を全く取り付けていない。

休憩のためのベンチや、読書室の椅子、テーブルもおそらくズントーのデザインによるもので、シンプルかつ品のある仕上が。いい革を使っている。ベンチなんて革のクッションがゴロンと転がっていたらいいんだろう?といわんばかりの最小限かつ、品のあるデザイン。

天井を見ると、換気、照明、スプリンクラー(おそらく)がすべて、コンクリ打ち放しの天井に埋め込まれている。おそろしい。

開口部は全て枠がアウトセットで外壁に取り付けられており、内部からは枠がまったく見えない収まり。

展示ケースは腰が黒染色板貼り?枠も硬木を染色した木製だが、腰との間に全くちりがなく、隙間もない。どうやって開閉するのだろうと見ると、丁番は普通だが、施錠の仕方が超ミニマル。

おそらくネジを切られた鍵を入れて回すと開く方式かな?。既製品なら普通出てくる箱がなく、おかげで枠が異様に細くできている。当てこみの照明もレンズを使い、四角い採光で当て込んでいる。

総じて、現場を知っているものからすれば、よく職人を、現場を説得できたなぁと思われるような、おそろしいまでの施工精度と完成度。仕上げと人工に想像もつかない莫大な金額がかかっていそう。が、もちろんお金をかければできるものではなく、最初のズントーのディレクションがあってこそだが。家具スケールで職人技を駆使して作りこんだ一つの極点を見た想い。

予想より時間をかけてしまい、急いでルートヴィヒ美術館へ。モダンアートの美術館。
マレーヴィッチの企画展をしている。本屋も結構建築本で充実している。SANAA本がとても多い。残り一時間もないからか、割引料金で入れてくれた。6e。

内部が広すぎ、かつ見取り図や案内がないため、迷う。結局全て見切れず。もし行かれる人が入れば、階段を上がった二階が企画展やピカソなどの巨匠。地下が(見れなかった。。。残念)ウォーホール以降のアート、三階はちょっとマイナーなアートや写真、ビデオアートの展示、という具合でした。地下と二階から見るのがお薦めです。マレーヴィッチの所蔵量がヨーロッパ一らしいが、思ったよりあまりなく、説明が全てドイツ語のみであまり。

1800の閉館で追い出されて、少し大聖堂前で休んでからレヴァークーゼンへ戻る。
電車を間違って逆方向に乗ってしまい、15分ほどで帰れるところが一時間かかってしまう。駅前で食事して20時半頃帰宅。
ちょうどHが食事をしており、お茶を頂きながら、雑談。若者の品の悪さと保守主義の台頭による軍備への危機意識(日本は今は逆向きだけれど)はどちらも同じ想いだった。その後お互いの仕事を紹介し合う。明日の行き方を調べてから0時半就寝。



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