67日目 100314 DELFT – ROTTERDAM – DELFT


0830起床。朝食を頂いて、シャワーを浴び準備をして1100出発。今日は日曜で学校が休みということもあり、一緒にロッテルダムへ、案内して頂く。電車に乗って向かう。

一路クンストハルへ。

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Kunsthal
OMA
1993
Westzeedijk 341,3015 AA Rotterdam,Netherlands

■月曜休み、1000-1700(1100-1700 on Sunday) 入場料は展示によって違うのかな?今回は5.5eでした。
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ご多分にもれず、自分も学生時代はSMLXLやel croquisを絶えず捲っていた一人なので、ここはとても楽しみにしていた。イヴ・ブリュニエのMuseum parkを通ってアプローチする。パークの反対側で大規模な地下駐車場?の工事をしていた。公園は冬なので寂しい様子だが、夏に来るととてもきれいらしい。

まずは外観から四方ぐるっと廻る。公園側の一階は今日は展示の関係かカーテンかフィルムがかかり、中が見通せないが、ガラスファサードで内部の柱も丸太(継ぎ目があったので鉄骨に後からはめこんでいるのか)と、公園との連続を意識したファサード。上部のトラバーチン(t=40)の壁面と、側面の黒い外壁の仕上げ(コンクリートに塗装だろうか?後で隣のNaiに展示されちたクンストハルの模型の解説にはcopper sheetと確か書いてあったが)、との切り替え方が全てを物語っている気がする。石の壁面をひとつのボリュームと見せるように石同士はトメ!で納められているが、普通なら石を勝たすところを、その意図に反して側面の仕上げが勝っている。おかげで石も側面の黒い仕上げもペラペラの面に見える。操作が分裂している。

道路をまたぐ側面は黒い仕上げ、オーディトリウムの斜めスラブが外部に突き出している。階段を上り公園と反対側の大きな道路側に出る。ミースや西海岸系のような鉄骨スパンドレルの大屋根に、軒裏と壁面をぐるりと廻るFRP大波板が続く。この波板も普通なら軒裏と壁面の仕上げを切り替えて、違う面という構成を見せそうなところを、連続した仕上げとしている。林立する柱は全て異なる。ミースの白い十字鉄骨柱、プルーヴェのようなH鋼に開口を開けた柱、コンクリの丸柱、角柱(400*400)。ゴロンボの手すり。クイズのように引用を用いながら、構成とは異なる、それまでは建築に使われなかった素材を使い分け、分裂症のように振舞いつつ、けれどもカオティックで素人がやったようには感じさせない、これをセンスと言ってしまえばそれまでだが、クールハースの編集者としての圧倒的なセンスの良さ。これは模型でスタディしている時は相当楽しかったろうなーと思う。

真ん中の肝となるスロープに入る。様々な動線、視線、光が絡み合っている。
このまま中に入るにはもうお腹一杯で一休みしないとまずい!、ということでまずはカフェに入りお昼を食べる。オランダではポピュラーなポタージュのようなスープとパン、美味しい。カフェの壁面には一面ファブリックが貼ってあり、クレジットにはチベットのファブリックで2005年作成とあったので、取り替えられているものなのかもしれない。色合いといい質感といい、公園に面する壁面としてとても馴染んでいる。片持ちの手すりはΦ100。他にもところどころあるが、スケールをわざと外して大きくしていることで既視感がないものになっている。その思い切りがすごい。

チケットを買い入場。まずはオーディトリウム部分から。舞台側の構造用合板の壁面のボリュームもさりげなく出隅はトメで収まっている。窓際には400くらいのかなり広いグレーチングのスリット(これも普通なら100くらいで収めたくなりそう)の中に、吸気口?や放熱暖房機が入っている。天井にスポットはあるが、ベース照明は自然光と壁面、足元の蛍光灯でまかなっている。ビスを外さないとあけられなさそうだがランプ交換はどうしているのだろう?(ひとつも切れていなかった)。そういえばカーサダムジカもここもほとんどダウンライトを使っていない。あくまで光を面として発光するものと考えられている。ダウンライトのような不純な穴がポコポコ開いた面は許せないということか。

ギャラリーに登る階段へ。このあたりの空間の交錯のし具合は、この建築の、OMA建築のひとつの大きな見せ場であり真骨頂だと思う。行けない、けれど、すぐそこに見える、隣り合った空間。オーディトリウムのスロープ、ギャラリーへの階段、ブックショップ、その向こうにフィックスガラス越しに見えるカフェ、その向こうに公園と、斜めを介して交錯している。階段のわざわざ吊っている手すりのつけ方からみてもオーディからの見え方を意識していることがわかる。

階段はそのまま外部へつづいているが、扉は開かず見えるのに行けない。振り返るとゴッドファーザーのようなレムの肖像画がこちらをじっと見ている。

ギャラリーに入ると、床はパーケットフロアだが、普通よりかなり小さいスケール。おかげで天井の段々屋根の鉄骨が太く見える。踊り場は屋根から吊られており、下からみると工業製品を巨大化したような大きなボルトナットで留められている。揃えてかガラス手すりを留める金具も異様に大きい。

中央のゆるい階段を降りて戻り、反対側のギャラリーへ。横切る通路の窓からの風景がオーディトリウム→ギャラリー1への階段、外部(屋根)、外部(外のパッサージュ上部)と、めまぐるしく移り変わる。下階の展示室からパサージュ横の通路(細いテンションバー?はガラスファサードの振れ止めだろうか?耐風圧用なら圧縮だから太くなるだろうし)を通り、隣の展示へ。天井=二階床が全てグレーチングになっている。

同業者と見れたので、その都度思ったことを言葉にしてみることが出来てとても良かった。
一通り見て十分堪能し、4時間ほど経過してもう15時過ぎ。閉館時間があるのでNaiへ。

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Nai
Jo Coenen
1993

■クンストハルの隣、どちらもどんな地図にも載っているはずです。1000-1700(日1100-1700)、8e。
隣のSoneveld houseもここのチケットで入れます。
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展示はdisputed cityというタイトルで、おそらく物議を醸し出したオランダのプロジェクトを模型と共に紹介したもの。それぞれにYes/Noボタンがあり、観客がどちらかをおすと、カウンターが+1/-1される、という、自らがdisputeに参加できるという仕組みが面白い。場所柄もあってかクンストハルのカウンターが圧倒的に高得票だった。

クンストハルを見すぎたお陰で展示を見る余力と時間が残っておらず、さっと流して見る。まぁ今日のメインはそれなので問題はない。一階のブックショップへ。さすが、すばらしい品揃えで、残り時間を気にしながら片っ端から背表紙を見ていく。見てみたかった本がいくつかあるが、もちろん郵送のことを考えると買えない。スペインで見つけたGGのコンパクトにまとまった作品集シリーズの話をしていると、ちょうど発見。ここではヤコブセンの英語版を見つけ、即購入。既刊シリーズを見ると、コルビュジェにライト、アアルト、カーンが欲しい。知っていればバルセロナでもっと本腰入れて探したのに。

1630を過ぎ、急いで隣接するSoneveld houseへ。

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Sonneveld House
J.A. Brinkman, L.C. van der Vlugt, Molenaar & Van Winden
1933
Jongkindstraat 6,3015 CG Rotterdam,Netherlands
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入場しようとチケットを見せると、これでは入れない、と言われる。意味がわからず、困っていると、まぁいいよ、的な感じで入れてくれた。後でよく見ると、間違ってクンストハルの半券を見せていたのに気づく。そりゃ入れない。一人で行動している時は気が張っているので大丈夫なのだが、誰か現地に住んでいる人と一緒だとつい気が緩んでしまう。

外観はモダンな白い箱、という感じだが、内装はオランダらしく?色彩豊か。各部屋ごとにカーテンと家具、床とカーテンなど、色合いがある程度統一され、リビングは落ち着いたブラウン、子供部屋は薄いイエローなど用途にあった空間の印象を感じる。
外部窓に壁面から引き出せるオーニングが付いており、西日を遮られるようになっている。こちらではポピュラーな装備らしい。H&deMのパリかどこかの集合住宅で似た形の木製シャッターがあった気がするが、そういう日本で写真で見ただけだと特殊に見えても、現地ではポピュラーな形式、というものが所々あり、やはり来て周りを含め見てみないとわからない、と思う。

1700でNaiは閉館となったので、歩いてリストに入っていなかったキューブハウスに連れていってもらう。

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the cube house
Piet Blom
1984
overblaak 70,3011 MH Rotterdam
http://www.kubuswoning.nl/

■無休、1100-1700で一室を見学できます。2.5e。
また、ユースホステルも入っているので泊まれるようです。
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ポストモダンな印象。道路を跨いで建っている。地上階は店舗や事務所が道に面して入り、階段を登るとそれぞれのコモンスペースとなる小さな広場のような場所があり、そこから各住戸にアクセスしている。ホームページを見るとRCの柱の上に木造の外壁やスラブ架構を載せている。立面の窓の割付がとても時代を感じる。今ならああは絶対にしない気がする。

ずいぶん歩いたのでカフェで休憩。おススメのアップルパイを食べる。生クリームと一緒に出てきて、とても美味しい。おかげで帰りにひとつテイクアウェイで買って帰る。

トラムに乗り、Tさんと一緒にポルトに来ていた美術家(と言えばいいのか、パフォーマンス作家といえばいいのか)のお家へ。夕食にカレーを作って下さる。ビールで再会を乾杯。ここもフラットでキッチンなどは共同だが、庭がありとてもよい雰囲気。部屋は一階で道から普通に中が見える。このあたりを歩いているとそれが普通で、他のヨーロッパでは道から家の中が見えるということは絶対になかったので(城壁のような壁に鎖され家は中庭二向かって、もしくは二階以上で開かれる)、とても以外。カーテンを閉めきって、という人は殆どおらず、とても健康的なおうちの在り方のように感じる。戦争中、ドイツ軍に焼け野原にされた後の復興した街なので、他のヨーロッパの街と違うのは当たり前なのかもしれない。近くにMVRDVが手がけたペントハウスがあったのだが、それよりも道路から見える家々の中を覗く方がとっても面白い。こちらのお宅で窓際をソファ越しに眺めると、街が近いためカフェかお店のように見える。部屋も面白く見所満載。

食後にポルトで買ってこられたポルトワインで乾杯。贅沢な時間。終電を気にしてそろそろ、と言うと、オランダの主要都市間は夜中でも一時間に一本程度は普通に電車は動いているらしい。すばらしい。2230頃お暇。デルフトに戻り、溜まった作業をこなそうと4時まで粘り就寝。



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