62日目 100309 LONDON



0800過ぎ起床。ぐっすり眠る。こちらはユースホステルでもそうだが、湯のセントラルヒーティングがどこでも普通で、一日中ついている。ガスで温めており、ランニングコストはびっくりするくらい安い。

このお宅では夜は温度を下げるのだが、それでも躯体からの放射熱が強すぎて朝起きると暑いくらいなのだそうだ。逆に旅行に出る時でも一度切ると、また暖まるまで時間がかかるため、切らずに温度を低めに設定して出かけるらしい。

部屋で一時間弱ほど作業をしてからリビングに降りる。旦那さんが朝ごはんを作って下さる。野菜が美味しいので訊くと、ケニヤで作っているとのこと。詳細を忘れてしまった(すいません。。)が、動物は生きられない成分の大地だがそこで植える野菜などは抜群に美味しくできるらしい。

味が濃い。特に豆が美味しいので袋の名前を見てもらったら名前が枝豆ビーンズ。日本のそれより小さく、さやから剥かれているところが違う。

朝食後、ネットで調べ物や予約、溜まったログのアップなどしながらお話を伺う。ながら、なので(失礼!)もうひとつ話に集中できないのがもったいない。けれど次こんなに安定した早い回線に繋げるのがいつかわからないので、やるべきことをやっておかないといけないのがもどかしい。もっとお伺いしたい話は一杯あるのだけれど。

12時くらいまで作業をして、出発する。明日からのご旅行の出発が早朝(というか深夜)にも関わらず、今夜もご自宅で夕食を頂いてしまうことになったので、19時頃に戻る旨お伝えする。
まずは昨日行くつもりが忘れていて通り過ぎてしまったパディントン駅へ。

出来たのは確か1800年代後半だったと思うが、鉄骨の構造体がとてもきれい。

パリのNord駅は期待はずれだったが、ここは期待通り。改札から写真をとるためだけに出て、階段を降りてすぐ戻ってきた日本人ははたから見たらちょっとおかしいと思う。

地下鉄にまた乗ってリッソンギャラリーへ。

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Lisson Gallery
Tony fretton
1992
Bell Street 29,NW1 London,United Kingdom

■Edgwareroad駅から歩いて10分くらいです。
■時間や展示内容などはホームページがあるので検索してチェックください
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展示内容もお薦めとのことより、期待して向かったが、なぜか不吉な張り紙が見える。展示替えのため3月17まで閉めるらしい。

ホームページには開いてるって書いてたのに。入り口にA4の張り紙があったらろくなことはない。外から見える範囲で見る。ギャラリーだけあって、各階の外装サッシが全て外から(クレーンで?)搬入できるように引き戸になっている。躯体からはその分アウトセットして取り付けられている。中も見たかった。残念。

次に地下鉄で移動してアジャイのエレクトラハウスへ。

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Electra house
David Adjaye
2000
Ashfield Street 84A,E1 2HV London,United Kingdom

■地下鉄hummersumith&cityもしくはdistric lineのWhitechapel駅下車、目の前のwhitechapel roadを東へ、同じくアジャイ設計の圖書館の前の道Cavell roadを道を渡って向かい側、南に曲がる。ashfield streetを左に(東に)曲がると見えます。
■個人邸なのでもちろん外観のみ。まぁ図書館とセットで見れるのでおすすめです。
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駅を降りるとあたりは露店でいっぱい。インド人がやっているみたい。昨日このあたりはインド人が多く、インド人街が形成されており、このような人種のるつぼ状況抜きにロンドンは語れない、と聞いていたのでちょっと歩いてみる。

確かに普通にヒンディー語の看板があったりする。物価もちょっと安い。お腹が空いてきたので、インド人のやっている店でchiken doneerを注文。二階に上がるとall インド人。混んでいるので相席させてもらう。

料理が来ると驚いたことにちゃんと鶏肉が鶏肉として出された。インドとは違う。辛いが美味しい。周りを観察すると、国が違うとインド人も変わっている。地面にゴミを捨てないし、手で食べない(ウェイターがおそらくインド人だからとカトラリーを持って来てなかったらわざわざ持ってこさせていた。)thank you と言ったらwelcomeと帰ってきた。インド人とは思えない。

出て行き道に、リストに入れてなかったアジャイの公共施設があったので寄っていく。

地域図書館らしく、誰でも入れる。外壁はアクリル板っぽい。方立が木で意外。ローコストな仕様なのか。内部も廻る。

このあたりは黒人、インド人が多いようで、白人を見かける方が少ない。構造体はRCのようだ。スラブはPCなのか、デッキスラブのような形をしている。他でも感じたが、イギリスのコンクリートは密実で艶がなく砂っぽい。

スランプが小さく型枠をペイントしていないのかもしれない。もしくはセパ穴も全然見かけないので、モルタルでしごいているのか?けれど全然割れていない。コチラのほうが石っぽい印象。

ドーナツ型の中央に縦動線やユーティリティがあり、四周に図書館がある単純なプランだが色をふんだんに使っているのに、あまりチープに感じない。よくできている。周辺住民にもよく利用されていて活気があるのもすばらしい。外に出て外観をもう一度見る。周りの赤茶っぽい街並みに対し、青と緑という色使いがコントラストがあり浮き立たせているのかもしれない。これが似た色なら沈んでいそう。アクリルなのにペラペラに、軽く見えないのは、周りの街並みが違うからなのか。

歩いてエレクトラハウスへ。

大判の合板の外装。触ると黒板塗装のような感触。茶色が手につく。一枚一枚にsusの水切りが付いている。もっと腐っていたりしてるかと思っていたのに、きれい。10年経ってこれならちゃんと水仕舞と換気ができているのだろうか。帰って図面を見直したい。

図書館とエレクトラハウスの間に、とても大きな高層複合施設が建設中。色合いからこれもアジャイだろうか。

駅まで戻って西へ歩く。これも勧めてもらったホワイトチャペルギャラリーへ。ギャラリーなのに広い。

企画展がthree different-india,pakistan,bangradish、という展示。イギリスではおかしなことに(すごいことに)インド人とパキスタン人が一緒に住んでいいたりする。国境を争っているような状況なのに。

その状況を踏まえての展示のよう。内部の階段室がきれい。常設がフリーなので見る。おもしろい。Melanie Manchotの写真と映像の展示。微妙に進む祭りの状況の映像。

Nova `Paulの映像、RGBそれぞれに同じ場所の違う時間の映像をかさねた映像が面白い。ちなみに建物自体も地下鉄の駅出口をまたぐかたちで入っていて面白い。

地下鉄駅がどこもが微妙に外れているため、結局歩いてダーティハウスへ。

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Dirty house
David Adjaye
2002
Chance Street 2-4,E2 London,United Kingdom

■住所の通りです。自分はホワイトチャペルギャラリーのあるAldga East駅から歩いて向かいましたが、今建設中の新しいラインの駅、Shoredich駅が完成すればそこが最寄です。
■個人邸なのでもちろん外観のみ。このあたりは気の惹かれる建物が結構ぽこぽこありました。面白そうな地域です。
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ちょっと迷って見つけるまでに時間がかかる。けれど周りの建物や店も結構面白く、それらに浮気して道をそれたりしていたのも原因かもしれない。

ダーティーハウス と同じような既存レンガかべを上から目地ごと塗りつぶしたような仕上げの普通の建物をいくつか目にした。アジャイも目にしただろう。

また、道向の建物はお そらくダーティハウス(エレクトラもどちらも改築だったと思う)の既存建物と全く同じ形式で開口の位置や大きさ、外部仕上げも同じなので、before afterがよくわかる。

菊池宏さんの松原の家のような吹付けを全面に施している。設備の盤や開口部の枠、建具の金物まで徹底的に。建物をひとつのボ リュームに見せるためのツライチ仕様(世界的に流行なのか、2002だから日本が後追いなのか)のフィルム貼りfixガラスとの対比が際立つ。

途中に新しい建設中の地下鉄(地上だけど)の駅舎が見える。PC版っぽい凹凸のついた外装がザハのどこかで見た建物っぽいが、ザハにしては大人しすぎる。誰なのだろう?結構な規模。

地下鉄に乗りに行く方が回り道なのでまた歩いてシティへ向かう。バスが使えればもう少し楽なのかもしれないが、路線図を持っていてもロンドンのバスの経路はわかりにくい。探している時間があれば歩く方が早い。

ちょうど時刻は夕方、帰宅するサラリーマンが多い中逆方向に、ロイズオブロンドンへ向かう。

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Lloyds of london
Richard Rogers
1986
Lime Street 1,EC3M 7HA London,United Kingdom

■シティです。おそらくどの地図を見ても載っていると思います。
■メインエントランス前までは入れるようですが、思いっきり警備員に睨まれます。その隣に土産物屋があり、いい写真のポストカードがあったりします。
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す ぐ近くにN.fosterの、バルセロナのヌーヴェルのアグバタタワーのような形の高層オフィスビルがある(名前を忘れました。。)。

結局ロンドンに来 て、イギリスに来てフォスターの建物を見たのはこれだけになってしまったが、とてもしっくりきている。このシティの街並みにあっている。

というか、イギリスだからこそ出てきた、土地の文化に根ざした建物に感じる。サッシワークのきれいさはフォスターなら当たり前だろうが、総ガラス張りなのに全然重く見える。

昨夜(だったかな)、ロンドンにはガレージがなくどの家の車も全て路上駐車だが、日本の路上駐車のように景観として汚く見えないの は、おそらく建物が重い(く見える)からじゃないか?という話をしていた。

日本だと建物が軽すぎて車の方が重く見えるため、アンバランスさが不釣合に見える原因なのかもしれない。それは建物を構成する材料の重さ(木と石)というところも多分にあるだろうし、道と建物のDH比(芦原義信さんの著書に詳しい) にももちろん依るのだろうが、そこに注がれたデザインのエネルギーの密度にもよると思う。

普通の切り妻の平屋でシンプルに作っても、いやでも建築家の作っ た家が日本では街並みから浮いてしまうのは、それもあるはず。ちょっと外観に気を使っているとお店ですか?とよく訊かれる。

逆にいえばお店じゃないと外観に気を使わないのが日本の常識なのかもしれない。こちらの建物は名もない普通の建物でもいちいち、それこそ気が遠くなるくらい、気が使われている。

ロ イズはフォスターのビルと比べると小さい。が、その密度はおそろしい。気が遠くなりそうな各部材からのデザイン。徹底されている。

PCのトラス構造(どう なっているのだろう?ジョイントをピンにできないとトラスにならないはずなのに。帰って調べないと)、完全に外に張り出されたエレベーター、外部に張り出 した各種ダクトや配管など、圧倒的。

周りに建物が建込みあまり引きで見ることができないこともあり、どうしても見上げることになることも相まって、現代の ゴシック建築のように感じる。注がれたエネルギーが資本主義化の一企業の一設計事務所によるものとは思えない。

これが24年前とは。ハイテク建築、と日本の建築家が浮かれてしまった気持ちとその受けた衝撃もよくわかる。今みてもすごい。

確かにシステム(設備にしろ構造にしろ、おそらく建築計画にしろ)は 最新で、スペシャルなものだが、デザイン、という観点でみれば、とてもクラフトマンシップに根ざしたものだ。普通ここまで構造部材や各種二次部材を ひとつひとつ、デザインするだろうか?

ポンピドゥーでも同じことを思ったが、イギリス人(ピアノはイタリア人だけど、イタリアもクラフトマンシップの文化 だと思う)だから出てきた気がする。

予定ではこの後もう一度テートに行くつもりだったが、ロイズをじっくりみたかったのであきらめて、1時間弱見て回る。ここで今日の建築ツアーは終了。

ヴィ クトリアコーチステーションに行き、明日のバスのチケットを買ってから予定時間より遅れてお宅へ向かう。今日はなんと唐揚定食!

日本でもここまでさっくり 美味しい唐揚はあまり出会ったことがないと思うくらい美味しい。ご夫妻は明日早朝に出発にも関わらず、食後、車で宿まで送って頂き、そのまま夜景まで見に行って下さる。おかげで夜のライトアップされたビックべンやバッキンガム宮殿、ロンドンアイを見ることができた。

YH協会のYHよりも安 かったastorhotel系列のvictoriaに泊まる。込み具合によって一泊の値段が変わるらしい。男女混合のドミで、シャワーは部屋にもあるがト イレは外。ネットは最初の40分のみ無料。目覚ましのみに使っていた携帯電話をなくしてしまい、先程別れた旦那さんに深夜にも関わらず電話してお尋ねしたりするも、結局リュックのサイドの網ポケットに入っていた。ありえない。
1時半就寝。



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