61日目 100308 LONDON



夜中1時頃、パスポートコントロールで下車。

イギリス入国審査は念入りに行われている。正直に話しているのに、今までで最長の質問の多さ、日本人でロンドンに不法就労するアーキテクトが多いのか?と思いつつ返事する。

無事スタンプを押して貰い、バスに乗り込むと、次はユーロトンネル(と電光掲示には書いてある)前で1時間ほど信号待ちの停車。やっとゲートが開いたと思うと、バスの幅と高さぎりぎりのとても狭いトンネルのようなチューブにバスごと入って運転手はエンジンを切ってしまう。

チューブに窓はなく、乗客はバスに乗ったままで何がどうなっているのかわからない。しばらくすると微妙に横揺れが始まる。どうやらこのチューブごと船に載っているのか、トンネルと輸送されているのか、何らかの方法で海峡を移動しているようだ。他の乗用車に載っているらしい人々は車の外に出て歩いている。

エンジンも切られ、窓も閉めきられた(暖房は暑いくらいについている)静かな車内は変な感じ。一時間弱ほどでまたバスは動き出しチューブを出る。どうやらイギリスに入ったらしい。そこから二,三時間ほど走ってロンドン到着。06:00と予定より30分も早い。

まずはATMでポンドを手に入れ、明後日のチケット(レスターやケンブリッジ行きのバスはオンラインでeチケットで予約できたのだが、なぜか近距離のオックスフォード行きだけeチケットが選択できず、どこかのターミナルで受け取りになるので買っていなかった)を買おうと窓口に行くもまだ閉まっていて開きそうにないので、とりあえず地下鉄駅に向かってみる。

ロンドンでの初日は友人繋がりで、このブログも見てロンドンに来るなら家にどうぞ、とメールを下さったアトリエ・ワンのロンドン駐在員の方のお宅にお邪魔することになっていたが、ちょっと時間が早すぎるのでスターバックスでコーヒーを飲みながら少し作業。

一杯はパリなどeuro圏より安い。イギリスのスタバのwifiはスイカなどのようなチャージできるスタバカードを買い、オンラインで登録するとつかえるようになるようだ。

気がついたら07:30くらいになり、片付けてお宅へ地下鉄で向かう。ロンドン市はチケットレス化を進めているようで普通の紙のチケットでなくスイカのようなチャージできるカードを使った方が運賃が安くなる仕組みになっている。

ので、そのカードを買おうと「オクトパスカードを一枚ください」と言うと、窓口の男が「いや、それはここでは買えないよ。買いたかったら香港に行かないと。」と言う。。。。

オイスターカードとオクトパスカードを間違えていた!
にしても、朝からやるなぁイギリス人と思いつつ、ごめんごめんと笑いながらカードを購入。

駅に着いて携帯に電話をして迎えに来て頂く。電話を切った直後に、ちょうど奥さんが出勤で駅に来られ、明らかに大きな荷物でわかってくださったのか、声をかけて下さる。旦那さんと無事落ち合い、歩いて三分のご自宅へ。

荷物を置かせてもらい、一通り案内して下さる。すばらしいお宅。庭にはリスやキツネが来るらしい。

後日ロンドン中心部を歩いていても思ったが、都心なのに自然の混じり方が深い。元々植わっている白い花が咲く木があり、去年は庭でお花見を開催したそうだ。すばらしい。

ロンドンで行くところの下調べなどが出来ていなかったので、午前中、お話しながらネットを繋げさせてもらう。同じ京都出身で歳も近く、プリンター複合機が全く同じ機種だったり、CDや本(これは建築やっていたらある程度被るのは当たり前かもしれない)もかぶっているのが見受けられ面白い。ロンドンの建築リストをチェックしてもらい、その他お薦めを教えてもらう。

お昼まで頂いた後、13時前出発。まずはインフォに地図をもらいに行く。一応ガイドブックのコピーはあるのだが、折りたたみの一覧できる地図があると全体の中での位置感覚が分かりやすい(かつ普通に使い易い)ので。有料で1ポンド。

通り道にあったナショナルギャラリーに行く。無料で大丈夫?と思うくらい本当にふらっと入れるのにこの展示内容は恐ろしい。全て見回る時間はないので、ゴッホの作品、ひまわりをはじめいくつかと、印象派モネ、マネ、レンブラントを足早に見る。フェルメールの部屋が改装中のようで閉まっていたのが残念。

そのまま歩いてウェストミンスター寺院へ。地下鉄に乗ると遠回りになりそうなので歩いたのだが、結構地図で想像するより遠い。ビッグペンを見た後、となりの入り口を見ると並んでいるので時間がもったいなくあきらめる。が、後日地図をよく見ると、それは国会議事堂で寺院は道向だったとわかる。もったいない。恥ずかしい。

なおも歩いてテムズ川を渡りサウスバンクへ。残念ながら目当てのHeyard Garallyは閉まっていたが、60年代の磯崎さんのようなブルータリスティックな建物が面白い。ロンドンの街を歩いていると、リストアップしていない全く知らない建物でも、おっ!と思わせるその種の建物が結構多い。

となりのRoyal theatehrに行くと、無料で映画(映像?)が流されていたり、ソファが多く用意され、人々が団欒していたり。ポスターを見ると、今日はサウスバンクで無料のジャズトリオの演奏があったり、また電車の高架下に普通に現代アーティストが作品を作っていたり、と、お金を払わなくても生活に根付いた文化度の高さが目に付く。

昔手塚貴晴さんが、ロンドン時代はお金がなくても毎日歩いているだけで楽しかった、と言われていたのがわかる気がした。名だたる美術館の常設は全て無料だし、勧めてもらったギャラリーの展示も凝っていて面白い。

夕暮れが迫ってきたので急いでテートモダンへ。一時間もないのでとりあえず荷物をクロークに預けて常設から見る。

すごい。いきなりanish kapoorとFransis Baconから始まり、ジャコメッティ、チリダ、ミロ、タピエスと、名だたる人々の目白押し。ジャクソン
・ポロックの絵は実物は初めて見た気がするが(たぶん覚えてないだけ)、アクションペインティングを履き違えていたことに気づく。

線や図形の位置は巧妙にお互いの距離をコントロールされていて、秩序を感じる。同じ形が連続しているわけではないのに、ある部分とある部分を比べても印象が変わらない。部分と全体の印象が変わらない。これが一番面白かった。

常設でも、その並べ方、どの作品とどの作品を同じ部屋に並べるかにそれぞれテーマが設けられており、また作品それぞれにも解説的なキャプションが付いている。ゆっくり読む時間がなかったが、一日楽しめるくらい内容が濃い。すばらしい。

結局半分しか見れずに閉館の六時。入り口にはヘルツォーグによる増築部の模型とCG、テートができるまでとこれから、の映像が流されていた。

今 晩はこれまた友人から繋げてもらった、ジョンポーソン事務所にお勤めの日本人の方に皆で事務所を見せていただく約束をしている。七時に地下鉄駅入り口の看 板の下で待ち合わせをしているので(自分が携帯を持っていないため)、早めに駅へ向かい、その場所を探す。ストリートビューで待ち合わせ場所を指定す る、ってとても現代的。

留めていただくご夫妻に、これまた偶然ロンドンに居てしかもこのご夫妻と昔から知り合いだった元同僚と一緒に四人で事務所へ向かう。少し予定より遅れて到着。

中 に入ると、所員の皆さんは大方帰っている。全員始めまして同士なので、簡単に自己紹介。2フロアにまたがる事務所を一通り案内して頂く。ちょうど今は展覧 会などの準備で大方の模型やプレゼン資料は出払っているそうだが、ワークスペースを見ながらお話を伺うだけで十分面白い。業務秘密に関わるかもしれないの で割愛。翌日行くオックスフォードのご自身が担当された物件の場所も教えて頂く。

一時間半ほど(ありがとうございます!)見せて頂いた 後、事務所を出て食事へ。自分がせっかくのイギリスなのでパブで、とお願いしたのだが、パブだと本当にお酒しかないようなので、急遽モダンブリティッシュ のレストランへ行くことに。それだから日本食レストランを勧めてくださっていたのに申し訳ない。

席に着き食事をしながら話の続き。もちろん建築の話、日本とイギリスの労働状況の違いや仕事の進め方のそれぞれの違い、イギリスに住むことの大変さについてなど。奥様は建築畑ではないのに、気も遣わずついつい久しぶりにできる建築話に熱中してしまう。

お開きになり、ご夫妻と一緒にお宅に帰り、ワインを頂きながら旦那さんと話の続きをした後、1時半くらいに就寝。



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