43日目 100218 MERZOUGA



4時頃、雨の音で目が覚める。布製のテントを打つ音がだんだん大きくなる。何かを裏打ちしてあるのか雨は落ちてこないようだが、砂漠で雨は逃げ場がないので少し不安になる。隣の彼がおそらく用を足しに外に出て行った。

しばらくして反対隣の人も雨の音で目を覚ます。砂漠に雨が降ると砂は雨を吸収せず、大河になるらしく、不安がっている。結構な強さで雨が降っているにもかかわらず、なかなか出て行った彼が帰ってこない。ところどころ、雨漏りが始まり、荷物を濡らさないようにずれる。

一時間ほどして彼が帰ってくる。用を足した後、真っ暗で帰り道がわからなくなったらしい。10分くらい冷や汗をかくくらい本気で遭難した後、遠くに明かりが見えたので一目散に帰ったら白人のテントで、そこで空が白むまで待たせてもらって帰ってきたとのこと。明るくなるとなんのことはない数十メートルの距離だった。やっぱり闇は恐ろしい。

 

6時半頃、雨が一旦止んだので外に出て、昨日昇った山を朝日を拝むためにもう一度登る。雨で砂が固まり登りやすいかと思ったが、固まっているのは表面だけで、少し加重が集中するとすぐに下のさらさらの砂の層まで足が埋まる。昨日遭った人達が登ってくる。40分くらいかかって頂上に到着。かなり高い。

 

後にしてきたオアシスの町と、反対側の砂丘の向こうに広がる荒野までよく見える。朝日を待っていたが雲がどんどん流れてきて見えそうに無いので、急斜面を一気に駆け下りる。雨で砂の堅さにばらつきがあり思ったように足が埋まらなかったりしてこける。半分くらい降りたところで空を見ると、わずかな雲の間に朝日が見える。急いで撮影。見れて良かった。砂丘の影が美しい。昨日よりも風が穏やかなのか、風景が澄んでいる。

 

下山してテントへ戻り、お茶を飲んで一服してから帰り支度。らくだにまたがった頃、また雨が降り出す。まさか砂漠で雨に降られると思っていなかったので、せっかく持ってきていたポンチョを置いてきてしまった。もったいない。たまたまリュックに入っていた傘をさしながら、雨の中帰路に着く。もちろんそんな小さな傘で防げる訳は無く、頭以外は完全にびしょ濡れ。寒さに震えながら宿を目指す。

2時間弱で帰宿。すぐにホットシャワーを浴びさせて頂き、落ち着く。朝ごはんを作ってもらって一息つく。お茶が美味しいので訊くと、中国茶を洗って砂糖をと一緒に煎れたものとのこと。これにミントの葉を入れるとミントティーになる。モロッコではインドのチャイのようにポピュラーな飲み物のようだ。食後、夕方のバスの時間まで、荷物を整理したりログや写真を整理したり、食べ物を買いにいったりしてゆっくりと過ごす。宿以外は近くに売店が数件、ネットカフェが二軒(ただし風が強い今日は繋がらない)あるだけ、かつ宿がおそろしく居心地が良いので、自然と動きがゆっくりになる。宿の方には本当にお世話になりました。

18時過ぎ、往きと同じグランタクシーが迎えに来る。メルズーガのバス停まで乗せてもらい50dh。らくだツアーに同行した一人が同じくフェズ行き。彼は今回の旅行でグラナダの空港から市内へのエアポートバスでトランクに入れたバックパックを丸ごと盗まれた。そこまで来るのか、と嘆きつつ、一緒にトランクの支柱に荷物をワイヤーロックで括り付ける。

19時半頃、バス出発。空いていて半分くらいしか埋まっていない。しばらくして雨がどんどんきつくなる。0時頃、休憩にレストランの前でバスが泊まったので降りると、台風のような突風。バスが風で揺れている。日本なら運行中止になりそうな天候。お腹が空いたので、サンドイッチを買う。その場で挽いた挽肉をトマトとたまねぎと一緒に炭火(風でおそろしく火の粉が舞う)で網焼きし、それを炭火で軽くやいたパンに挟んで20dh。美味しい。

そこを出発してからがすごかった。山越えなのか、尾根づたいに曲がりくねった山道を、バスは飛ばす。ガードレールの先は真っ暗で何も見えない。スペインもそうだったがこっちのバスは結構飛ばすので見ていると怖い。黙って祈る。途中から雨が吹雪に変わる。いつの間にか道路わきには雪が50cmほど積もっている。もちろんスパイクなど履いてないはずなので、バスは徐行気味に進む。片道一車線で分離帯もないので、すれ違い時はお互い徐行しながら進む。いつの間にか少しだけ就寝。



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