28日目 100203 VENEZIA-S.VITO-POSSAGNO-VENEZIA



04:45起床。朝一番でスカルパのブリオンヴェガ墓地へ行くため。

電車は一時間に一本、バスは二時間に一本ので接続も悪いため、迷う余裕を見るとこんな時間に起きなければならなくなる。。。05:15のヴァポレットに乗り駅へ。駅の自動販売機で切符を買い(ローカル線のためか切符が小さい。普通の刻印機に入らないので刻印しなくてよいのか?検札があったが一応問題はなかった)。張ってある時刻表からCastle Francoの名前を探して06:26発のBassano Del Grappa行きに乗る。車内は通学なのか中学生(っぽい)で溢れてぎゃあぎゃあうるさい。電車に乗る子供の集団がうるさいのはどこの国も共通のようだ。電車は北へ。地面に残る雪が多くなっていく。07:25頃、Castle Franco Veneto駅へ着く。子供も皆降りる。どうやら学校がある駅らしい。

駅からバス停まで30分ほど歩く。地中海ブログさんのポストをメモしてきたのでほぼ迷うことなくバス停に到着。歩いて20分ほど。バスは昨日ネットで調べたとおり、発車までまだ一時間ほどある。(しかしこれが次の一時間後の電車だとぎりぎり間に合わなさそうなのでしょうがない)。バス停の前のバールで切符を買い、ついでに洋ナシのパイとカプチーノで朝食。パイが美味しい。店員のおばあさんはイタリア語しか通じないがとても上品で親切。発車まで待って、09:00バスに乗り込む。

バスに乗ってさらに北へ。S.Vitoで降りて運転手に聞いた方向に歩くと、散歩中のおばあちゃんが、そこを左に曲がったらいいのよ、とどこに行くとも行ってないのに教えてくれる。よっぽど訪れる人が多いのだろう。標識に従って歩く。近所のおばあちゃんが家の前に立っており、挨拶を返してくれる。田舎のいい感じ。15分ほど歩いて、10:00前に到着。


まずはひととおり見る。2000㎡の敷地と看板に書いてあるがそんなに広さを感じない。(南西の角は一般?の墓地だからその分を引けば1500㎡くらいだろうか)。誰もいない。猫が一匹逃げていった。周りは畑?で家々も離れているためとても静か。一巡してから、持ってきたパンを食べて一息つく。時間は十分にある。


プランは礼拝堂と用具庫、ブリオン家後代の墓と、施主夫婦の墓、瞑想スペースの二つに分かれている。瞑想スペースには大掛かりな仕掛けのガラス落とし込みドアがあり、そこは閉まっているため行けない。


10時半くらいに、鍵束を持った管理人さんが来る。
Giappone! Prego! と言って、礼拝堂の扉を開けてくれた。中には記帳ノートもあった。まずはひととおり入り口から写真を撮る。なぜか昨日のヴェネチアほどの衝撃はないものの、やはりスカルパ、撮るところはたくさんある。


管理人が池の循環ポンプのスイッチを入れていったようで、水路に流れが生じだす。それによって池に張っていた氷がところどころ解け始める。鳥の声も聞こえない空に、時節氷の割れる音だけが響く。贅沢な時間。





非対称にずらされた階段や、開口、足元のボーダーなどにより動線が視線が誘導される。ガラスがはまる開口部にはやはりシールはなく、対コンクリートでも、接する部分を奥のほうにとることによりガラスの縁が見えなくなっている。

壁を縁取るガラスモザイクタイルが光を反射してきれい。有名な二重円の開口は東に面しているため、午前中に見学するほうが光の移り変わりを見ることができる。

外部なのにスタッコを塗っており、角にはそのはがれ留めか?丸い金物が埋め込まれている。が、日のあたる東側はどうしてもぼろぼろになっていた。(管理人が、しょうがねーなー、という感じでぼろぼろ削っていた。いいのか?)。

金物や建具のディテールは他の建物同様、超絶。用具庫?の入り口ドアは金枠内に本実型枠のコンクリが打ち込んである。コンクリートの段々は小さいところでは巾30mm。よく脱型できたものだ。Pコンも小さい。

絶対に図面だけでは書ききれない密度な気がする。晩年、この現場に張り付いて職人の横で図面を書き、指示しながら、スカルパは過ごしたのだろうか。幸せな時間だったように思う。

L字型の敷地の裏側にこっそりとスカルパ自身の墓があった。自分は黒子とでも言うように。

その後、数点寸法を取りながらスケッチ。地元の人とおぼしきイタリア人が二組来ただけで、誰も来ない。しかし記帳を見ると、これだけ来にくい場所なのに結構な人数がこの半年に来ている。日本人も10組くらいいる。

バスの時間13:50まで心行くまで堪能して後にする。一路ポッサーニョへ。

カノーヴァ美術館のホームページには予約必要と書いてあったので、ホームページから予約フォームに従い送り、返事が来ないので再度メールアドレス宛に送ったが結局返事がないまま当日となった。また地図や行き方が書いておらず、住所からgooglemapで検索して、possagnoという地域にあることのみがわかっていたので、とりあえずバスの路線図にその名前があったので行ってみて訊いてみようと思っていた。

が、バス停を降りると目の前が当のカノーヴァ美術館だった。標識もある。

veneto地方はモニュメンタルな建築に対して標識を統一して設けているようで、ここもブリオンヴェガと同じ様式の標識が立ててあった。とても助かる。また、結局なぜか予約は全く必要なく、入場券を買えば普通に入れる。6e。内部は撮影禁止。

スカルパ51歳の頃の、建築において脚光を浴び始める最初の建築。
ハイサイドライトが有名。確かに効いている。四方の隅にあるおかげでとても明るい。展示ケースもアカデミア美と同様、ガラスにシールを使わない金物の納まりをしていたが、少し無理があったのか針金でガラスが開い
てこないように補助してあった。

それらもさることながら、壁面の仕上げと展示物の配置の仕方が絶妙。パンフレットによると石膏彫刻家であるアントニオカノーヴァの最も重要な作品を展示している部屋らしいが、確かに他の部屋よりも見とれるものがある。

展示の仕方も裸婦が寝そべっているものはベッド状の台を作ってその上に置き、頭部だけの像はそれが立ったときに頭が来るであろう高さに配置している。全てをロの字型やコの字型に内側に向けるのではなく、それぞれ最も見せ場になりそうな面を来館する方向へ向けている。裸婦は背中を、というように。

立像と寝姿の像の背景となるようにか、壁面の仕上げはスタッコ塗り、それを荒削ったもの、さらにその上に白塗装?をしたものと3段階に分けており、像の背後は荒削りに来るように配置している。巧い。職人が引いたであろう削るガイドの線が残ってる。よくやらせたなぁと感心。

帰りにバスは17:18まで来ない(ちなみにその次の19:18が最終)ので、ゆっくりスケッチなど。
スカルパ以外の部屋の像も見て廻る。結構見ごたえがある。自販機コーナーで一休みしてバス停に行く。予定の時刻より前にcastlefrancoと表示したバスが来たので一応乗客にも訊いたら行くと言うから乗りこむ。が、これが失敗。なかなか着かず、日も暮れて少し不安になる。えらく遠回りしていくルートで駅に着く頃には自分ひとりだった。40分くらいで着く道のりが1時間20分もかかった。やはりおとなしく予定している便に乗るべきだった。歩いて駅まで25分ほど。ちょうどヴェネチアサンタルチア行きが来たので急いで飛び乗る。

帰りも最終ひとつ手前の駅でかなり待たされる。どうやらヴェネチアに渡る橋の信号でもあるのか、ここでどの電車も軒並み待ちになるようで、掲示板には軒並みdelayの文字があった。駅へ20時前着。行きも帰りも真っ暗な一日だった。

お腹がすいていたので、イタリア最後にもう一度、と昨日のピザ屋まで歩いて行ってみる。ボロネーゼとパプリカのピザがとても美味しい。立ち食いピザととしてはコストパフォーマンス的にイタリア一だと思う。明日のお昼に、生ハムとチーズとルッコラ?を薄い生地で巻き寿司みたいに巻いたものも買って宿に買える。もう9時前で道によっては人通りが全くなくなるので早足で水上バスの乗り場へ。9時過ぎ帰る。長い一日だった。ノートをまとめたり少しログを書いたりして23:30就寝。

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Tomba monumentare Brion Vega
Carlo Scarpa
1972

Museo Antonio Canova
Carlo Scarpa
1957

■行き方/電車の場合
CastleFranco Veneto駅へVenezia Santa Lucia駅から50分程度。時刻表によるとCastle Franco行きもあったが、他の行き先で途中に停まるものもある。FSのネット路線検索ではなぜか出てこなかった(調べ方が悪いのか、ローカル線は出ないのか)。一時間に一本程度。駅で降りたらバス乗り場まで30分ほど歩く。(駅前にもバス乗り場がありますが、ここは違います)。行き方は地中海ブログさん参照。一応簡単な地図を書いたのでこちらも参照ください。

切符はバス停前のBar DegustazioneRigatoで購入可能。ここの路線は距離によって値段が違うようで、僕は紙にどこからどこまでと箇条書きにして三枚買いました。(CastleFranco-S,Vito, S.Vito-Possagno, Possagno-CastleFranco)。全部で10.8eでした。(Possagnoは後述のカノーヴァ美術館があるところです。)

路線はLinea4ですが、困ったことにバス停にもバスの電光掲示にも「Linea4」という文字はない。バス停の行き先にS.Vitoの文字を探すとあります。このときはCorso3という乗り場でした。バスのフロント上部にも最終目的地のみ表示されているので、バス停に書いてあるのと一致していれば正解です。まぁ運転手にS.Vito?と訊けば間違いありません。

発車後20分ほどでS.Vitoに到着します。(運転手はブリオンヴェガ行きが多いことを心得ているので、Vorrei andare in Tomba Brionと言えばバス停よりちょっと前の道で降ろしてくれるようです。)S.Vitoから来た道を戻り一つ目の角を左に曲がると、教会みたいな建物の前にでます。Strada Architectullaという看板があります。それに従い右へ。すると交差点にTomba Monumentarle Brion という黄色い看板が出てきますので、従いまっすぐ歩くと左手にブリオンヴェガが見えてきます。

帰りは行きと反対側のバス停(バス停がちゃんとありました)で待てばよいです。そのままカノーヴァ美術館へいく場合は、行きと同じバスに、降りた場所で乗り込みます。また20分くらい走るとPossagnoに着きます。けっこう走ります。ここもバス停に表示がなく(小さく)、バス内に表示もなく、アナウンスもないので、運転手に大体到着近くの時間になったら、ポッサーニョ?と聞いておけば、教えてくれます。バス停の5mくらい手前にAntonio Canova Museoと看板があります。が、バス停降りて目の前の階段を降りたら、目の前にあります。

帰りは反対側のバス停から来た便の逆方向へ乗ります。いくつかCastleFrancoと書いている便が来ますが、来た便が一番早いようです。バス停の時刻表でチェックしておいてください。また、最終は1928です。

■入館情報
ブリオンは終日開いています。完全にパブリックです。それでもこれだけきれいに保たれている(落書きひとつない)ところに地域の人の愛情を感じます)。くれぐれも汚したりゴミを残したりしないように。礼拝堂?はもし開いていなければ、前の壁に管理人さんの電話番号が書いてあるので、おそらく電話してみればよいかと思います。(またおそらくイタリア語のみ)。

カノーヴァ美術館は、HPでは予約必要、かつ昼休みあり、と書いていましたが、なぜか予約も要らず、0900-1800まで。6e。内部撮影不可。外部はOK。

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