13日目 100119 CHANDIGARH



0740起床。0930発、レンタサイクルを借りに昨日に続きツーリストオフィスに向かう。
しかし、「停めるところを探すのが面倒なのでサイクルリクシャで行けばよい。セクター1まで20Rs以上は払う必要はない。」と言われる。(が、どこも駐輪場はあったので、高いが自転車を借りたほうが気ままに廻れてよいと思う)

言う通りにリクシャに乗り込みセクター1を目指すも、午前は霧が濃いためまた視界が悪いかも、と思い途中で降りて先に昨日閉館していたガンジー記念館のあるパンジャブ大学へ向かう。

まずガンジー記念館へ。

外観だけ見ていた昨日はピンと来なかったが、やはり建築は内に入らないとわからない。小さな建物だがとても複雑な内部空間を持っていた。

プランをスケッチしてみると、3つの相似閉曲線が合わさっている平面のよう。曲線と曲線の間には開口が取られている。大学内外の他のジャンヌレの設計にも感じるが、コルビュジェよりもボリュームの操作が大胆。コルは要素の集合という感があるが、ジャンヌレは大きな構成から作っているように感じる。

かつ図面からでは作れない、三次元でのスタディから生まれたに違いない構成を用いている。ガンジー記念館は他の建物よりディテールも細かく、これは作っていて楽しかったに違いない。

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ガンジー記念館 Gandhi Bhawan/Pierre Jannere/1962

■行き方
セクター14、パンジャブ大学内。インドコル本地図参照。北東側Madhya Marg通りのゲート1から入り右へ(西へ)曲がるとすぐ見えてくる。
■入館情報
祝日、日曜?休み。無料。受付も何もなく入れた。
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隣の美術館へも行ってみる。こちらは設計者は不明だが、とてもよくできている。
カーンのような正方形が角を共有して連続するプランで、正方形平面の中央には独立柱が立っている。断面的には四周にハイサイドライトが廻り、端部ではその巾のまま垂直に開口部として繋がる。

つまり屋根と四周の壁とは完全に縁が切れている。RC屋根は中央柱から四周へ逆四角錐状に持ち出しており、ガラス部は方立てでカーテンウォール状になっている。正方形平面の角が接する部分では屋根同士はエキスパンションなのか?ひび割れとも目地とも付きがたい溝が走っていた。この屋根と柱の形状はキャンデラがメキシコで量産した工場の構造形式とまったく同じだったはず。コルビュジェがそれを見ていたのか、その逆か。追って年代を調べて見るとする。内部は撮影不可なので内観を数枚スケッチ。

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Fine Art Museum/??/1968
■行き方
上記ガンジー記念館となり。
■入館情報
祝日、日曜?休み。無料。入り口で記帳。内部撮影不可。
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再度学食(というか売店)へ行くもランチ営業前だったので、ホットドッグ(といっても肉でなく芋と野菜のveg.hotdog)とチャイで簡単に済ます。正午前になり随分霧も晴れてきたのでセクター1に向かう。パンジャブ大学前から高等裁判所駐車場入り口までトゥクトゥクで25Rs。

裁判所の駐車場前で降ろされ、そこから歩く。パーミッションがないとそこからは入れないよう。中には黒い司法服を着た裁判員たちや銃を持った兵士、職員などでごったがえしている。街中ではほとんど見なかったパトカーが大集合している。明らかにセキュリティレベルが違う。
駐車場入り口脇にあるmuseumは後に回し、まずは高等裁判所へ。駐車場側は建物的には地下一階となる。入り口の兵士にパーミッションを見せると、2nd floorのprotocol officerのところへ行けと言われる。(パーミッションにもそう書いてある)。行くと、その紙と引き換えに高等裁判所での外部から、斜路から、ベランダからの撮影は許可する旨のパーミッションを書いてくれる。その後は自由に見学。ただし、兵士が立っているところより奥(法廷?というのか)は行けない。ちょうど裁判と裁判の間の昼休みだったのでごった返しているよう。

しかし、圧倒的に大きい。一階吹き抜けから大屋根まで達する三色に塗り分けられた柱の垂直性は、ゴシックの教会と同様に見るものに畏怖の念を抱かせうる。アーチ上になっている大屋根は、後でmuseumに展示してあったスケッチと写真から、二重屋根となっているらしい。


上側の屋根はバタフライ状に棟に向かって下がっており、棟樋が妻面の呼び樋(といっていいのか、コルビュジェの建物によくある雨水を建物から離れたところに流し飛ばすじょうろ状の口)に繋がっている。吹き抜け部以外の大屋根下部とRFスラブとの間は各階からのEAが暖気による上昇気流により抜けるための排気口となっている。

吹き抜けに面する大斜路の仕切り壁に空けられた開口部の形は「らしい」形だが、これが四角や丸であれば建物がとても固い(formalすぎる)印象になったろうし、開口がなければ、屋上テラスと池側(乾季ゆえか、ここも水は抜かれていた)と視線が抜けず、閉塞感があったろう。壁面の端部は型枠縦使い、他は横使いと芸が細かい。

大きな構成はコルビュジェによるのだろうが、実施設計レベルの細かなディテールは特に見所はない。し、おそらくこのスケールでそこを見るのは重箱の隅をつつくようなものなのかもしれない。

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高等裁判所 High Court  /  Le Corbusier   / 1955

■行き方
セ クタ-1、と言ってもオートリクシャの運転手に通じないことが多いようで、high courtと言えば通じる。tourist officer曰く、セクター17からセクター1までサイクルリクシャで20Rsが相場らしい(が、なかなかそれでOKする運転手はいない。確かに結構遠 い)。ホテル街のあるセクター22から歩いたら、おそらく1時間弱。

■入館情報
capital complexの建物三つは全て共通だが、セクター17のISBTバスターミナルの二階にあるtourist officeにてpermissionを書いてもらう。(ロンリープラネットにはセクター9の建築課とあるが、こちらで良いよう)
そ れを持って0900-1700の間に向かう。3つの建物は各敷地は接しているのだが、毎回一度入ってきたゲートから出て、それぞれの兵士のいるゲートか羅 は入らなければならない。合同庁舎の西側からの入館は不可(初日追っ払われた)のようなので、もっとも東側となる高等裁判所から見学を開始すると良い。

建 物前の各ゲートでパーミッションの紙を見せれば、どこへ行けばよいか兵士が教えてくれるが、2nd floor(エントランスは地下一階、日本的に数えれば3階)protocol officer/Major SINGHの部屋(部屋の前にサインがある。階段のすぐ脇)へ行き、まずは二次パーミッション?を発行してもらってから見学すること。
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裁 判所を1時間程度で切り上げ、museumに寄っていく。学生が作ったような精巧でない模型(おそらく1/100)と、大屋根の構造を示すコル事務所の図 面コピーと写真、他は裁判官関係の資料のみ。二つ目以外は特に見るものはない。昼休みだったのか、職員が飲んでいたチャイをご馳走してくれたので頂く。

一度ゲートから外に出て西へ。議事堂Assemblyに向かう。第一ゲートは合同庁舎のゲートと隣り合っている。一階のレセプションでパーミッションを見せると、カバンとカメラを預けるように言われる。(財布など入っているポーチは中を見せた上でOK。)


職員に連れられて議会ホール内部を立会いの元、見ることができる。圧巻。
しかし、今は年に3回しか使われないらしい。もったいない。ホールの入り口に通ずる外周部(ホワイエ?)はスタジアムのようなスケール。背の高い空間に丸柱が並ぶ。

外観写真は撮ってよい、とのこと。階段を上って東側(高等裁判所との間の空き地)から撮る。

老兵氏が一人で警備している。手招きされたので近づくと写真を撮ってくれ、と言うので撮って見せると喜んでくれた。兵士の写真を撮れるとは思わなかった。

開いた手やtower of shadowもこの空き地東側にある。

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議事堂 Vidhan Sabha(Assembly) /  Le Corbusier / 1962

■行き方
こ れも南東側から入る。外部渡り廊下から二階へも繋がっているが、一階に行け、と言われる。一階(GL)の「MEMBER」と看板のある扉から入る。奥に受 付カウンターがあり、そこでパーミッションを見せると荷物を預けさせられ、以下先導してくれる。内部見学後、外観の撮影が許される。

■入館情報
裁判所と同じ。パーミッションは無料。その場で発行してくれる。
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続いて最後の合同庁舎へ。
こ こが最も警備が厳しい。まず駐車場入り口横のレセプションでパーミッションと引き換えに入館許可証?レシートをもらう。それを持って建物向かって左側の入 り口横の受付室へ向かう。まだ外観写真撮影は許されない。室に入るとそのレシートとパスポートを渡すように言われ、別室で10数分待たされる。パスポート は返却され、引率の兵士先導の元、入館し、エレベータで6階へ。そこにsaecretaryがあり、またパスポートと一緒にレシートをまた渡し、数分その 部屋で待つ。許可が発行され、再度兵士引率のもと、屋上へ。
屋上での撮影は許される。が、特に撮るべきものもない。

終われば地上階まで先導され、外部へ。外部写真撮影が許されるので、数枚撮影する。その大きさは圧倒的。マルセイユのユニテより大きいと思う。

以上で見学は終了。速やかに出て行くように促される。気になるポツ窓の並ぶ階段室らしいボリュームも基準階も何も見れない。

先 導される間、はじめて間近でじっくり兵士を見たがやはり市井のインド人と違い体型が良い。安全装置はかかっているのだろうが肩から提げたライフルが少し怖 い。歩き方も姿勢がよく、英語の発音もきれい。訊かれたことにだけ答え、無駄口はたたかない。最もまともなインド人という気がした。

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合同庁舎 Secretariat / Le Corbuiser / 1958

■行き方
東側の車両入り口から。西側の一般職員入り口?からは入れないよう。

■入館情報
他の二つと同様。ここは祝日でも空いていた。
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以 上でcapital complexの見学を終了。そのおそらくコルビュジェ建築中最大級のスケールを見る価値はあるが、個人的には自由に散策できる建築学校の方が発見が多く 楽しめた。(建築学校は美術学校のレプリカらしい、が、美術学校は時間が足りず見れなかったので全く同じなのかは不明。)

ここまでで既に 16時前。リクシャを拾おうかと歩いていると、合同庁舎の入り口で話しかけてきたやけにテンションの高いインド老人に捕まる。日本人も知ってると日本語で コメントの書かれたノートを見せてくる。city museumに行くつもりだと言うと、急がないとと、リクシャを捕まえと段交渉をし始めてくれた。

「彼 は何者?」とこっそり同行していた白人女性二人に訊くと、ただの世話好きのチャンディガールを愛する老人で、彼女らも二年前にここを訪れた際に会い、無報 酬で色々と観光案内をしてもらった縁らしい。別れ際に一緒に写真を撮って送ってくれとメールアドレスと、なぜかオレンジをくれる。

オートリクシャで急ぎ美術館へ。
art gallaryに着くと1630の閉館15分前。入館料10Rs.カメラ持込5Rs。内部撮影OK。回廊式の上野の西洋美術館に似たプラン(吹き抜けのトップライトはない)。

急ぎ足で隣のcity museum (architecture museum)へ。

こ ちらも1645までで残り15分。10Rs。内部撮影Ok。コルビュジェが関わる前、Albert Mayerの都市計画からスタディやスケッチが展示されており、面白い。ゆっくり見たいが館員がしきりに急かす(どうかと思う、早く帰りたいらしい)の で、急いで一通り見る。コルビュゼ以前の計画では街路は直線グリッドでなく、なだらかな曲線の街路計画だったよう。セクター間の交通は高速を許容するため に直線に、街路内の交通は遅い交通のみとするために、道を細くしている。各建物の模型も多い。

隣接する美術学校は時間切れ。途中夕食を取りながら、歩いて宿まで帰る。
ネッ トカフェに行きログをアップした後買い物をして帰宿。翌日のチェックアウト時間を告げると駅までのオートリクシャをアレンジしてくれると言ってくれ る。(が、翌朝出たらドアマンの男性が道に出て拾ってくれた。もしやこれをアレンジと言うのか?インド人は朝は弱いようで、24Hチェックアウトを詠って いる割には伝えていた6時に降りても誰もいなかった)。

フライト前の最後のパッキングになるので荷物を仕分け、0100就寝。



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