205日目 100730 BRAZILIA



8時起床。バスルームの高窓から光が入り明るい。シャワーを浴びて身支度をしてから、付いている朝食を食べに降りる。ビュッフェ形式の朝食は値段だけあってちゃんとしている。ハムとチーズ、パン数種類にフルーツ数種類。コーヒーと正体不明のジュース(ゴマの味がする)。スイカが美味しい。お腹いっぱい食べる。食後ネットカードをフロントで購入。24hで13R。高い。部屋に戻りメールチェックとログのアップをしてから、出発。

ブラジリアの都市計画は中央に大きな軸線が通っておりほぼシンメトリーに構成されているのだが、その軸線が東西南北にきれいに沿っていないので、ホテルを出て、地図を見ても、まず自分がどこにいるか把握するのに時間がかかる。適当に歩いてやっとわかる。

もっと街自体きれいなのかと思っていたが、全然そんなことはない。中央の軸線部分は芝生が植わっていたのかもしれないが、枯れこけ、赤土が露出している。木々はわざとか数本しか見えない。中心は空虚にしたかったのだろうか。数本だけある木の下にはホームレスっぽい人々が寝転んでいる。

とりあえず近距離バスターミナルRodoveariaまで歩いてみる。軸線を官公庁のある方に下っていくに従い、地形も下り勾配になっている。道路は広く片道4車線、高低差をつけて交差しており、完全に車前提の都市計画。おかげで歩いていると排気ガスがきつい。上記の空き地を通っていると、物乞いが声をかけてくる。首都のこんなど真ん中で。意外。

バスターミナル到着。確かにガイドブックの通り、北南ホテル地区共に歩ける距離(10分ちょっと)だが、夜は上記の空き地が雰囲気よろしくなさそう。昨夜着いた長距離バスターミナルは、できたてなのかものすごくきれいで、さすが首都のターミナルという感じだったのだが、こちらのターミナルはそういう意味では汚いがとても活気がある。下町という感じ。こちらの方が歩いて楽しい。安い食堂もあるし、物も買える。バス乗り場は無数にあるが、テレビ塔を背にして左側の奥側(方角で書くと南西とかなので余計にわかりにくそうなのでこう書きます)
ターミナルはロの字型になっており、地上階がバス発着所、3階へエスカレーターで上がると、北側に隣接する大きなショッピングモールに連絡している。ここはおそらくブラジリアで一番の繁華街。モールの三階にはファストフード店がひしめき合っている。

遠くを見ると国会議事堂の建物は見えているので、バスに乗らずに歩いて行くことにする。ターミナルの南側、国立図書館を越えて、ドーム型のMuseu Nacional de Brazilliaが見えてくる。入って見る。荷物を預け、入場は無料。今年はブラジリア遷都50年にあたり、それを記念して都市計画を行ったルシオ・コスタの大規模な回顧展が行われていた。昔のプロジェクトのスケッチ、図面、模型が展示されている。いつぞやのビエンナーレに出展した案は実寸台で再現されていた。かなり気合いが入っている。模型や図面を見るに、コルビュジェ事務所出身だけあって、まさしくコルビュジェ白の時代の再現、という感じ。ブラジリア都市計画のファーストスタディスケッチなども展示されていた。それらを見ても、言葉がわからないのもあって、どこからどういう理屈でこの都市計画になったのかわからないが、実際に二日間歩いてみて、うまく行っているようには見えなかった。ジェット機が翼を広げたような都市計画その両翼に胴体近くから、ホテル地区(Sector Hotel Norte略してSHNなど)、商業地区(略してSCNなど)、その外側に住居地区SRNと区画されているようだが、線状のため移動効率がとても悪い。また道路もその都市計画プランの平面的図像性を意識して微妙にカーブしていっているので、位置と方角を把握しにくい。車前提の道路計画なので、歩行者にはかなり優しくない。これならまだチャンディガールの方がましだった。建築家の行った都市計画はどちらもうまく行っているようには感じられなかった。歴史が浅いからだろうか。自然発生的にできた都市に比べ、何より歩いていて全然楽しくない。単一主体による計画にそもそも限界があるのだろうか。深く考えるべき経験だと思う。

博物館のすぐ先にあるカテドラルへ向かう。改修中の仮囲いが建っているが、なぜか地下から入場できる。外部が改修中なのだろうか。ちょうどミサか何かをやっている。ステンドグラスが圧倒的にきれい。

歩いて議事堂をめざす。軸線に対してシンメトリーに官庁舎の建物が並ぶ。全て同じデザイン。グリーンの日よけルーバーが付き、その上下に換気扉が付いたファサード。近づいて見ると幾分くたびれてきているが、遠目にはきれい。今日は金曜日でまだウィークデイなので、働く人々で賑わい、所々に屋台も出て、果物やスナックを売っている。

そこを抜けると、外務省に辿り着く。ミラノのモンダドーリ出版社本社と瓜二つ。入れそうにない、というか入り口がわからないので外観だけ。そのすぐ先に議事堂はある。軸線の中心を定めるような双子の塔を真ん中にロビーのある低層棟があり、上院下院それぞれの議場がお椀を被せた形と裏返した形で置かれている。

荷物チェックを受けて中に入ると、ちょうど次のツアーが始まったところ。訊くと英語ツアーも前もって電話などで申し込んでいればできたらしいが、今日明日しかないので、目の前のポルトガル語ツアーに参加する。無料でおよそ40分ほどのツアー。お椀をひっくり返した方の議場から見学が始まる。本当にそのままの形が内部にある。ニーマイヤーは全てのイデオロギーに対しオープンに、という理念からこの形にしたらしい。民主主義の透明性をリテラルに確保するため、議場はガラス貼り、上部にはガラスさえない観覧席がスタジアムのように議場を取り囲んでいる。

階段を下りてロビーへ。議員達が報道陣と接見するスペースらしい。南国らしいサンルームスペースがとても気持ちいい。青いタイルが緑によく映えている。その後地下道のような展示スペースを通ってツアーはなんとなく終了。国家施設の割にはゆるいツアーだ。

小さなお土産ブースを物色してから外に出る。暑い。議事堂の裏側に坂を登って回ってみる。三権広場がある。両側に大統領府と最高裁判所、と地図には書いてあるのだが、大統領府は明らかに改装?工事中(入り口にはライフルを持った軍人が警備している)、裁判所は全く人気がない。広場の正面にもお墓?ニーマイヤーらしき建物があるのだが、これも足場が四方を囲み工事中。ちらほら観光客がいる以外は、暑さだけがある忘れられたような寂しい広場。どう考えても広場を配置する位置が逆だと思う。街
から遠い側にあり、議事堂でその存在を知らなければ、多くの人はここに広場があることさえ知らずに帰って行くだろう。

歩いてターミナルまで戻る。カウンターで遅いお昼を食べる。ハンバーガーも目の前で焼いてくれるとまだ美味しい。二軒目にpasteriaというのに入る。揚げ物屋のようで、飲み物とセットで2.5R。頼むとどれにする?と言われる。適当に指さす。揚げ物が四種類あり、どれかを選ぶらしい。来たものは何かをペースト状にしたものを薄っぺらい生地に挟んであげた物。飲み物もやたら甘い以外に何かわからないが、まぁまぁいける。この辺りで食べるのがブラジリアでは一番安く済ませられそう。

ホテルに歩いて戻り、少し横になって休む。よく歩いた。
8時前、夕食を食べに出る。ターミナルまで行くか、と思って外に出ると、目の前に近所のおじさんがテラスでビールを飲んでいるのが見える。食堂ぽいので行ってみると、小さな店だがビュッフェでオーナーも英語を話す。ブラジルはどこもこの形式の食堂が多い。肉とソーセージ、野菜にライス、黒豆のソースをかけて9R。満腹になって宿に戻り、作業。24時頃就寝。



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