164日目 100619 SEATTLE



7時半過ぎ起床。朝食を食べる。ここの朝食はパンケーキを自分で焼く形で、ネタがボウルに置いてあり、自分でフライパンにバターを流して好きな分量で焼いてバターなどを付けて食べる。日本で食べるホットケーキより軽くて美味しい気がする。食後、作業をしてから出発。今日は生憎の雨模様。霧雨のような細かい雨が降ったり止んだりしている。夜にマリナーズのゲームがあるのに。昨日なら晴れていたのに….と少し後悔。

歩いてOMAの図書館へ。何はなくともこれを見なくては始まらない。

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Seatle Public Library
OMA
2004
4th Ave 1000,98104 Seattle,United States

■4thSt or 5th StとMadison Avの角にあります。かなり大きいのですぐわかります。入り口は4th,5thどちらにもあります。

■月ー金10-20、土10-18、日12-18、カードを持っていなくても入館OK。館内撮影ok。ガイドツアーが平日のみ、一日一回およそ正午付近にあります。無料。1階か3階にあるDestinationで申し込めばOKです。その他pc使用可能。wifi、シアトル在住者以外でもお金を払ってカードを作れば本も借りられます。

http://www.spl.org
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坂を登っていくといきなり現れる。周囲がビルで囲われているため、当ブロックまで近づかないと見えてこない。高さはそうでもないが、フットプリントは大きい。どう見ても名作の風格。土曜は12時からかと思い、外観だけ先に、と思ったら既に開いている。

はやる気持ちを抑え、外観をぐるっと見てから中へ。
入り口にDestinationと書かれた案内所があり、とても親切に応対してくれた。借りたマップを片手に1階(4thSt側は1F、5thSt側は3Fと、敷地にかなりの高低差があるので入り口により階が違う)から廻る。返却窓口と児童書コーナーがある。返却窓口前のフローリングには様々な言語でおそらく書物からサンプリングされた文章が彫り込まれたフローリング。アート、ではないけれどinside/outsideのカーペットやカーテンといい、こういう作家のセレクションと扱いが本当に上手い。他にも多く使われていたので、機械生産でデータ入稿とかにより低コストで作れるものなのだろうか。

躯体的には3F部分まではRCラーメン構造のようで躯体現しの天井が見える。児童書だけにしてはかなり広い。奥には斜めに間仕切られた部屋があり、建具まで斜め。さすが。けれど実際の開閉にはあまり使われていないようでちょっとかわいそう。

エスカレーターで3階へ。2階はスタッフオンリーで言われなければわからないくらい、完全にクローズされていて存在さえわからない。5thStの入り口のある3階へ登ると一気に視界が開ける。3層吹き抜けの大きな空間。雑誌や軽い書物を閲覧したり、wifiを繋いだりできる。ガラスファサード/屋根により曇った今日のような日でも圧倒的に明るい。ダイアグラムから導かれた形態のダイナミズムに目を奪われがちだけれど、自然光の気持ちよさをとてもわかった空間になっている。図書館としてとても心地よい。この心地よさはアアルトの図書館で感じた感触に似ているのが意外。

初めて見た時は衝撃だった植物写真のカーペットは、写真で見ていた印象より、かなり彩度が落とされている。色も4色くらいしか使わず、画像も結構粗い。けれど人の目線あたりから見る分、吹き抜け上階から見る分には十分植物として認識できるし、これが彩度が高ければ本物の内外部の植物と喧嘩していたかもしれない。バランス感がうまい。この建物全体を通して言えるけれど、色彩の選定が圧倒的に上手い。目を惹く優先度と機能が結びついているし、さわやかで心地よい空間になっている。ガラスファサードの鉄骨スクリーンも、写真ではあまり気づいていなかったが、薄く水色にペイントしてある。白でもシルバーでもない。(上階の書庫階では白く塗られていた)。この水色、カーペットのグリーンとパープル、エスカレーターの蛍光イエロー、天井の黒の取り合わせが絶妙。

1階から3階まで繋がっているオーディトリウムもあるが、そこは閉まっていて入れない。エスカレーターで5階へ。吹き抜けを望む上階。PCがずらっと並び、登録すれば誰もが無料で使える。老若男女多くの人で既にほぼ満員。オープンからかなりたち、もうオープニングフィーバーは落ち着いているはずだが、とても利用者が多く、かつマナーよく使われている。床は一転アルミパネル。天井も黒吹きつけと硬い空間。PCのイメージからか。そこから長いエスカレーターが延々10階まで伸びている。6-9階は螺旋状にスロープで上がっていく書庫空間。入り口に紹介映像があったが、ここの返却された本達は埋め込まれたICチップによりベルトコンベアで自動的に仕分けされ、ワゴンに移されていく。それを職員が指定の場所へ持って行き返却するよう。螺旋状に並べられた書庫により、クローズドな書庫の並び方よりも増減がコントロールしやすい。空間も伴いフィジカルに螺旋状になっているとは知らなかったので、感動。ここにも閲覧机があり、皆黙々と勉強している。せっかくなので階段を使わずスロープをずっと上がっていく。Jの欄を見ると、JAが01から全て揃っているのには驚いた。

10階はまた3層吹き抜けの空間となり、読書机が並ぶ。天井が防音使用のためもあり、静かな空間。
エレベーターで一気に四階まで降りる。小部屋や手洗いがなどのクローズドな空間が納められた真っ赤なフロア。ボルドーの家の地下のクローズドな空間も洞穴のような土を掘って作ったような空間だったが、ここも内蔵のような印象をもたらす、曲面で構成されている。

これでやっと一巡り。三階へ戻る。マップを返却し、もらえる地図はない?と訊くとオープン時の特別版シアトルタイムスをもらった。とても面白く参考になるのでお土産に数部頂く。受付のおばさんがちょうど日本語を勉強されているようで、教科書をみせてくれた。お礼を言って後にする。しかし、何から何まで良くできた建築。間違いなくアメリカに入って一番。こんなところを毎日使えるシアトル市民がうらやましい。

そこから坂を上りシアトル大学へ向かう。

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Chapel of St Ignatius
Steven holl
1997
12th Avenue 901,98122 Seattle,United States

■シアトル図書館の前のMadison Stを延々東へ、坂を登って真っ直ぐ歩き、Broadwayを超えたあたりで、右手にSeattle Universityの入り口が出てくるので入ってなおも東へ歩くと右手に見えてきます。

■月ー木7-22、金-19、土9-17、日9-22。

http://www.seattleu.edu/missionministry/chapel/
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確かPC版の外壁を立ち上げてつなぎ合わせて出来ている構造のはずだが、全くそんな感じがしない。内外壁とも仕上げられているからか。南側は駐車場になっておりその外壁は全面ツタに覆われ良い感じになっている。

中に入ると、外部から見えるボリュームの形からはよく考えないと結びつかない、思ったより広い空間。ハイサイドライトがもう一枚の内壁で覆われ、コルビュジェのように裏側を黄色や青に塗り、色の付いた間接光に変換しているため、直接開口部が見えないからだと思う。入り口からの動線と身廊の方向が直行しており、教会としては珍しいプランな気がする。内壁は手の痕跡の残る荒いスタッコで仕上げられている。もちろん玄関扉からハンドル、手すりから建具まで入念にデザインされている。かなり良い。

しばらく椅子に座って眺めていると、内部天井の形がボリュームによって長手方向に削られている形になっていることがわかる。外部から見ると短辺方向にボリュームが組み合わさった形なのに。面白い。

1時間弱見学してから歩いて宿に戻る。早めの夕食を作って食べてから、荷物を置いて身軽になり、セーフコフィールド球場へ向かう。ダウンタウンにある宿から歩いて20分ほど。すばらしいアクセス。近づくにつれ、段々と向かう人が増えてくる。帽子をマリナーズに被り替える。

入場するといきなりパノラマでグラウンドが見える。とても近い。内野の一番前の席なら、選手に触れそうなくらい。名物らしいガーリックポテト(量が多すぎ)とビールを買って、席に向かう。一番安い席でレフトスタンド2階席の一番前の席。着いてから、ああお金払ってでもライトにしておけばよかった!と後悔。イチローさんはライトなので、ライトスタンドだとかなり間近に見えたはず。それでも、十分近い。単眼鏡を使えばバッターボックスはテレビの中継くらいまでよく見える。もちろんライトのイチローもよく見える。選手入場。明らかにイチローだけ歓声がかなり大きい。

試合が始まる。こちらの応援は日本のように揃ったかけ声などなく、時節手拍子を促す放送が鳴ったりするがそれだけ、基本的にピッチャーが投げる時には静かになる。もちろん打ったとき、三振したときなどのリアクションは大きい。皆思い思いに楽しんでいる感じ。初めて野球観戦の自分でも入りやすい。攻撃の合間にはバックスクリーンにクイズの映像が流れたりして、観客を飽きさせない。野球を含めたエンターテイメント、という感じ。アメリカ人もそれぞれに結構夢中になっていて楽しい。2回くらいから雨が降ってきて、スタンドの屋根が閉まる。全天候型球場。すばらしい。

イチローの第2打席。鋭い打球はライナーでそのままライトスタンドに入る。ホームラン!第三号。あーやっぱりライトスタンドに行っておけば・・・とちょっと後悔。観客はすごい沸きよう。イチローの打席になっただけでも沸くのに、その上ホームランとなればもう皆総立ち。

その後もイチローはワンヒット、1ファインプレーと、圧倒的な存在感を見せつける。8回からは終わりまでずっとウェーブが何周も廻っていた。試合はマリナーズのホームラン攻勢で圧勝。とても楽しい時間だった。これならまた来たいと思う。試合後、少し球場内を散策してから歩いて宿へ戻る。帰ると22時過ぎ。少しメールをチェックしてから0時過ぎ就寝。今日は濃い一日だった。



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