154日目 100609 MINNEAPOLIS



夜行バスは断続的に寝たり起きたり、あまり眠った気がしないまま、ミネアポリスにほぼ時間通り朝6時半に到着。快晴。一つ手前でミネソタ大学でも降車できたようで、スティーブンホールの建物を見るために先にそちらに降りた方がよかったか、と一瞬思ったが、翌日の乗り場を見ておく意味でもこちらでもこちらでよいかと思い直す。

一応地図で調べてはいたものの、まわりには道路くらいしか見当たらない。と、北を振り返るとガスリーシアターが見えた。場所はわかっていたものの、予想より近い。とりあえず見に近づいてみる。

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Gathrie Theater
Jean Nouvel
2006
818 S 2ndSt,Minneapolis

■ライトレール(トラム)のDowntownEast/Metrodome駅から北へ歩いて5分ほど。すぐ電工サインが見えてきます。

■地球の歩き方によると、バックステージツアーが金ー月10時、所要45分、大人10ドル、とのこと。ホワイエなどの観覧はそれ以外でも自由に出来るようです。開館時間は不明。翌日のようにステージがある時はもちろん11時くらいまで開いているようです。

http://www.guthrietheater.org/
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もちろん開いてはいないので外観だけ見る。外壁は近づいて触ってみると波型の深い紺色の鋼板パネル。外形は今一よくわからない。隣のシアターと繋がっている(おそらくこちらもヌーヴェル事務所設計の)駐車場の外壁は三角形のロッドを使ったすだれのようなパネル。後からクレームがついたのか、内側にさらに目隠しのロールスクリーンのようなものが釣られている。これらの建築より隣にあったサイロのような建物の方に惹かれてしまった。このスケール感はすごい。神殿のようだ。

一回りしてダウンタウン方面に歩き出す。今夜の宿はダウンタウンからかなり離れているので、一通り今日の目的地をこなしてから夕方に向かうつもり。時間外チェックインも荷物預かりも受け付けない、とあったのでとても不便だがミネアポリスはここ(Minneapois Internation hostel)しか安宿がなかったので文句は言えない。

数ブロック歩くと大きなビルが増えてくる。市庁舎やライトレールが見えてくるが、まだ既に開いているような店は見えない。まずはどこかで朝食を食べたい。なおも歩くと、Arby’sというハンバーガー屋を発見。入るとマクドナルドよろしく1ドルメニューがある。が、ハンバーガーのほとんどはローストビーフを使っているのが違う。本当にパンにローストビーフを挟んだだけとか、ハムとチーズを挟んだだけなのだが、マクドナルドのように化学的な味ではなくこちらの方がやさしい味がする。(おかげで翌日も入ることになる。チェーン店なのだろうか?ここしかまだ見たことがない)。

一服してからコーヒーが飲めるところを、とまた数ブロック歩くとスターバックスをオフィスビルの中に発見。ミネアポリスのオフィスビル群は道路を跨いで空中歩廊で碁盤の目状に繋がっており、皆外に出ずに移動している。小さい店舗なのに並ぶほど混んでいる中、久しぶりにまともなコーヒーを飲む。一通り終わって時間は11時過ぎ。

翌日荷物を預けられるところを、と考えグレイハウンドのバスターミナルに依ってみる。が、チケット保持者しか使用不可、と先回りして書いてある。(ちなみに時間制で一日でおよそ6ドル)。公衆電話があったので、アメリカン航空に電話し、ワンワールドのシカゴーシアトル便のチケットを二日早める。アメリカ国内のフリーダイヤルで、かつ日本語が通じるのでとてもスムースに変更できた。すばらしい。念のためそれ以外のチケットの日時も確認してもらったが問題はなかった。

次に観光案内所へ。コンベンションセンターの中にある。とても親切なおばさんが地図とバス路線図をくれる。ブロイヤーのSt,Johns Abbeyに行きたかったのだが、ここで訊いてもやはり公共交通機関での行き方はないようだ。なぜ大学も入っているのに車でしか行けないのだろう?不思議。以下交通メモ。
・ニコレットモールを南北に朝七時から夜七時まで無料バスが10分おき(それ以降は30分おき)に走っている。
・ライトレールやバスはダウンタウン内なら0.5ドルで乗車可能。

そのまま歩いて、やっと今日のメインの目的の美術館へ。

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WalkerArtCenter Extension
H&deM
2005

■ミネアポリスのダウンタウンからは南西、少し離れていますが歩いて行けないことはありません。バスだと6番が真ん前に止まります。ただ6番の乗り場はHenepinAvという少し西の通りまで行かないと乗れないので、ライトレールや50番のバスなどで西のこの通りまで行き、そしてまた乗り換える必要があります。ちなみに二時間以内ならバスや電車は乗り換え無料です。

■月曜休み。11-17、木金-21、木曜17-21時は無料。木曜はその他、映画上映など様々なイベントが毎週あるようです。大人12ドル。ギャラリー内部は撮影禁止。free-wifi。

http://www.walkerart.org/
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バックパックが大きいので、地下の普通の人は行かなさそうなロッカーを教えてもらう。無料。やっと荷物を下ろして身軽になる。

メイン道路側のキャンチレバーのボリュームの見せ方はやはり上手い。マドリッドのカイシャフォーラムもそうだけれど、プロポーションと仕上げで、どうやれば重力に反しているように見えるかがよくわかっている。外壁のパンチングメタルはくしゃくしゃに折られたような仕上がり。軒天も同じ仕上げで天井裏が透けて見える。二つ見える大きなfixガラスの開口部はどちらもレストランのためのものだった。それ以外は美術館・シアターという性格上、極端に開口は少ない。階段室や廊下に数カ所あるのみ。

中に入ると写真で見ていた通りの仕上がり。そつがない。が、特に大きな発見も感動もない。ガラスの塊のようなシャンデリアはとても建築家らしい発想。この吊り下げる網の施工とか、誰がやったのだろう?と作り手目線で思ってしまう。スイスの美術館でも同じ壁面全面スタッコビアンコ磨きだったが、こんな面積いくらかかるのだろうか。カウンターなどの造作家具や一部床も同じくテラゾっぽい仕上げだが、どうやっているのだろう?特に家具。

内部のギャラリーを巡る。既存美術館部分との接続がとても上手く、内部を巡っているだけだと知らない内にあちら側に行っている。さすがこの手の手際は良い。作品では赤瀬川源平さんの零円札の実物を初めて見れてちょっとうれしかった。現代美術でもとんがった気味のセレクションなのでちょっと辛い。

ショップに寄ると、かなり品揃えが良い。ヘルシンキのキアズマであったリスト展のカタログがあったが迷って見送り。デザイン小物のセレクトがすばらしい。財布と計りを買う。荷物の重量を吊って量れる物。日本でも探したが業務用で高いものしかなく、結局体重計を購入したのだが、NYのデザインユニットが一連の旅行グッズをパッケージして作っていた。

三時間ほど滞在して宿に歩いて向かう。結構遠い。今朝からずっとバックパックを背負っての歩きなので疲れが脚に来る。
やっと宿に着く。すぐそばの角にはマクドナルドやスーパーがあり、隣はミネアポリス美術館と、周辺環境はとても便利。ただ看板が何も出ていないので普通の家に見え、住所の番地で確認していても呼び鈴を押すまで不安だった。早口で半分くらいしかわからない説明を聞きながら部屋に案内される。タオルもついている。部屋はドミトリーだが最上階のトップライトもついたやたら大きい部屋。どうやら自分も含め三人しか今日は居ない模様。

荷物をおろし、シャワーを浴びようと入ると水しか出ないわ、詰まっているわでレセプションに良いに行く。ガイドブックには若い夫婦二人で運営、と書いてあったが確かにかなり若い。建物が入り組んでいて部屋に戻ろうとして迷ってしまう。辿り着いた頃には先に管理人が着いていて治してくれていた。シャワーを浴び洗濯して干す。

近くのマクドナルドで夕食を取った後、向かいの路上の公衆電話から、日本のクレジットカード会社に電話する。先日不正請求の疑いがあり一旦緊急使用停止します、とメールが入っていたため。プリペイドのカードはなぜか使えなかったのでコインで国際電話。急いで先方に事情を説明し、ホステルの番号にかけ直してもらうようお願いする。

宿に戻り、数分するとかけてきてくださるが、英語と思っていなかったのか、一度目は切れてしまった。今度かかってきたらすぐ替わって、とお願いして2回目で繋がる。アメリカにいるのにイギリスに本社があるホステルワールドから細かい請求(ブッキングフィー)が何度もあったので、不正請求者が使えるか試しているのでは?と止めて下さったらしい。内容を確認して、確かにその日に使っていたので再開してもらう。そんな請求内容までチェックしてくれてるなんてちゃんとしているのだなと感心。また同様のことがあればお願いします、と伝える。

ダイニングで作業。ものを取りにベッドルームに戻ると、コリアンと日本人が話している。ここでも電波は届いていると言うので、上に持って上がり話ながら作業。コリアンの彼はグレイハウンドの二ヶ月パスでアメリカを回っており、話を聞くとどうやらシカゴで同じ宿、同じ部屋に同じ時期に泊まっていたとわかる。部屋が大きいので気づかなかった。日本人の彼はキルケゴールの研究をしていて、アメリカに2カ所ある大きな研究施設の内の一つがここミネアポリスの大学にあり、そこを訪問するために来たのだそう。近くの売店で缶ビールを買ってきて日本人の方にご馳走になる。話は宗教に流れ、コリアンの彼はカソリック、日本人の彼は浄土真宗、自分は無宗教と違う立場から話す。一応ずっと英語で話すが、何かを説明するときほど英語の足りなさを痛感する時はない。日本人の方は哲学でマスターを取った上で、今は浄土真宗関連の職に就かれている、という経歴もあり、考え方が面白い。コリアンは明日早朝にグレイハウンドに乗るため、ほどほどで皆眠ることにする。消灯して、一人シアトルの宿とSF行きの航空券だけ先にオンラインで予約する。一昨日見たときはまだ安いチケットが残っていることを確認していたのに、もうほぼなくなっている。早い。とりあえず残っていた中から選び予約を完了してやっと1時前就寝。



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