144日目 100530 WASHINGTON D.C.



8時半起床。朝食を食べに降りる。さすがコーヒーがアメリカンでまさしく美味しくない。バターもパンも同様。
10時出発。地下鉄に乗りユニオンステーションへ。明日のレンタカーの予約が本当にできているか、一応確認に行く。アメリカの駅はどこも似ていて、三四層分くらいの吹き抜けの四角い大きな空間のコンコースがあり、そこから放射上にホームにアクセスする。

予約しているAlamoのカウンターはすぐに見つかる。予約は明日なのに何で今日来るの?という顔をしながら、一応確認してくれる。間違いないようだ。DCの地図をもらって後にする。地下鉄に乗って次へ行こうとすると、なぜかズボンが濡れている。ショルダーバッグの中でコーラがペットボトルから漏れている。げんなりしながら、一度全て出して拭き、思案して宿に戻り出直すことにする。とんだロス。

荷物を少なくして身軽になりもう一度出発。駅近くのミースの図書館を見に行く。(さっきは忘れてそのまま電車に乗ってしまった)

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Martin Luther king jr memorial library
Mies van der rohe
1968
901 G Street Northwest,Washington, DC

■10th St/G.Stの角にあります。
■ちょうど祝日でか閉まっていましたが、通常ならだれでも入れるようです。
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周りに浮浪者らしき男達が寝ている。どうも電気は付いているのに中に人影が見えないな、と入ったらcloseだと言われる。ミースのピロティはどこも高い。

そのまま歩いて美術館群のある公園へ向かう。天気は良すぎて木陰でないと歩いてられない。熱線を感じる。
大通りに出るとなにやらポリスが交通整理をしている。何だろうと見ていると遠くから爆音が聞こえてくる。いかついバイカーが群れをなしてやってきた。途切れることなく延々続く。皆自分で改造したっぽい大きなバイクに乗っている。なぜか揃いも揃って皆恰幅が良い。奥さんを後ろに乗せている人も多く見られる。明日がメモリアルデイなので何か関係があるのだろうか。沿道の人々に手を振りながら、どうやら公園周りを周回しているらしい。おかげでなかなか道が渡れない。

ようやく反対側に抜け、ナショナルミュージアムの彫刻庭園を抜ける。木の陰の向こうに大きな噴水。周囲では人々が気持ちよさそうに休んでいる。向かいにはアールヌーヴォ風のカフェがある。アメリカはどこの公的建物もクラシカルなギリシャ神殿を模倣したかのようなデザインだが、この時代も模倣するのか。権威の表象としてクラシシズムを持ち出すのは気持ちはよくわかるが、よそから持ってきた物は端から見ると違和感を感じずにはいられない。いい勉強になる。彫刻はとても豪華。ソル・ルーウィットのブロックを積んだ作品が面白い。

まずはSOMの美術館から見る。もう既に1時過ぎ、急がないと。

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Hirshhorn museum
SOM
1974
Independence Avenue and 7th Street, SW,Washington D.C.

■スミソニアン協会美術館群の中です。どんな地図やガイドブックにも載っています。
■無料。無休。1000-1730。
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円形プランの建物。予想よりかなり良い。この時代のSOMは組織事務所とは思えない個性的な建物を作っていたのか。中央の噴水はまさしく正解。暑い夏の日にはすばらしく気持ちが良い。荷物チェックを受け中に入る。地下にロッカーがあったが、どうも稼働していない模様。ドーナツ型の平面を内側と外側に分け、使っている。

企画展はイヴ・クライン。これがすばらしい。今まで詳しく知らなかったが、34歳の若さで心臓発作で亡くなり、若い頃には柔道をたしなみ、日本へ来て講道館で黒帯まで取り、柔道のフランス語の本も書いていた。面白い。

leap into the skyの写真を見て、今更あぁこれはクラインだったのか、と知った。高校生の頃にポストカード屋で買ってしばらく家の壁に貼ってあった写真。後でカタログを見ると、本当に飛んでいるような別カットからの写真もあった。IKB、クラインブルー以外にも色を作る作品を作っていたことや、スポンジの作品の生まれる過程、人をスタンプのように使った作品やキャンバスを火であぶった作品など、制作過程の映像もあり、とても楽しめる。とても詳しい図録を買いたかったが何の嫌がらせか表紙が分厚く恐ろしく思いので断念。
常設もいい品揃え。

次にナショナルミュージアムへ。もう3時。西館から廻るが、もう閉館まで時間があまりないので、見取り図とハイライトを見て数点だけに的を絞って見る。

まずはレオナルド・ダ・ヴィンチのアメリカに二点しかないペインティング。これがすばらしい。今まで彼のペインティングを見た記憶が残っていない(見たのかもしれないが覚えていない)ので期待してなかったのだが、明らかに周囲にある同時代の肖像がと比べて圧倒的に解像度が違う。筆致が全然見えない。触れそうなくらい人間の肌をしている。髪の毛の先など、筆遣いが圧倒的に細かい。すごい。
540年も前に書かれた絵だとは信じられない。その上建築から彫刻からこなすなんて。確かローマでやっていたダ・ヴィンチの展覧会も見ておけばよかったと今更後悔する。裏側にある装飾のための絵画?もすばらしい。葉っぱが浮き出ているよう。

次にフェルメール。7点もある。うち二点はよくポスターや画集の表紙になっている有名なwoman holding balanceとa lady writing。なんと贅沢な。けれどさっき見たダ・ヴィンチの絵を見た後では解像度が低く見えてしまう。その隣にあったGodfried Scharckenという人の絵の方に目を引かれる。ものすごく上手い。特に顔の血色の良さが半端でない。手元なども単眼鏡で(近づくと注意される)アップで見ても全く耐える。恐ろしい。

その他、ターナーだけ見て、西館は後にする。どう見てもいい絵がごろごろありそうなのに、なんと勿体ない、と我ながら思う。東館に向かう。I.M.Peiの設計。from Kahnという感じ。入り口のヘンリームーアの巨大な彫刻がすごい。入るとゴールズワジーのスペシフィックアートがお出迎え。ソル・ルウィットやデ・クーニングなどこちらも豪華すぎる顔ぶれ。一回りするともう閉館時間。

ホワイトハウスも見に行こうと思っていたが、美術館三つをハシゴして疲れ果て、歩いて宿に帰ることにする。それでもなくても明日は朝から運転で安全を見て早く休み、疲れを取っておきたい。宿に帰り、昨日と同じ野菜炒めを作る。今度は随分ましになった。食事後作業。明日の経路をもう一度確認しておき、23時半就寝。



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