5時半過ぎ起床。急いで朝食を食べて出発。帽子を忘れて取りに戻る。危ない。昨夜落ち合う予定のKさんより予定していたバスの乗り継ぎが存在しないことを調べてもらってわかり、急遽一時間早いバスになったが、無事乗り込めた。7時ヘルシンキKampi発。片道四時間。

ヘルシンキでは二三人しか乗っていなかったが、途中からどんどん乗ってきてほぼ満員に。pori1105着。ターミナルを探索し終わった頃Kさんトゥルクより到着。ヘスバーガー(フィンランドのバーガーチェーン)でお昼を食べて、ノルマルク行きのバスに乗りこむ。

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Villa Mairea
Alvar Aalto
1939
Kunnanvirasto, Laviantie 4,29600 Noormarkku,Finland

■ヘルシンキからかなり遠いです。まずPoriまで電車VRかバスで行きます。バスだと直通でKampiから出ており片道4時間。一時間に一本。Poriのバスターミナルでローカルバスに乗り換えて20分でマイレア邸最寄りのバス停。ここまでで片道41.6e。バスの運転手さんにマイレア邸に行きたい、と言えば最寄りバス停で下ろしてくれます。そこから徒歩15分ほど。予約問い合わせ時に簡単なそこからの地図の入ったドキュメントファイルを送ってくれるのでそれに従って直接マイレア邸に行けばOKです。

■下記アドレスにメールで予約問い合わせが必要です。英語ツアー可能。一人20eですが、75eからです。私は訪問可能な日程範囲を送ったところ、その中でこの日なら他の人が申し込んでいるツアーがあるからそれと一緒なら20eでいいよ、と返事が返ってきました。内部撮影不可。外部はOk。

www.villamairea.fi
info[at]villamairea.fi
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バスの運転手さんに、マイレア邸に行きたい、と伝えたもののどんどん景色が白樺ばかりの林ばかりになり、帰りのバスの待ち時間が長い予定だったので、ここで下ろされるとちょっと辛いなぁと思っているとスーパーなどの集まったところを少し過ぎたところで下ろされる。ちょっと歩けば売店もあるところなので一安心(そこに帰りのバス停もある。)

アプローチから並木道が美しい。すばらしいロケーション。季節も天気よかったのだろうけれど、気持ちよすぎる。そんな丘の上にマイレア邸は建っていた。玄関に着くと中に人が見える。チャイムを押すとおばさんが出てきて、同じツアーのグループが遅れているから中に荷物を置いていいので、それまで外を見て待っていて、と言われる。

外観だけで明らかにただものではないことがわかる。イッタラのフラワーベースのような形のエントランスのキャノピーからしてなぜかRCの柱と木造の柱を混ぜている。2階の出窓は真南の方向を向くためか角度が付けられている。しばらくファサードを見るが、わざと構成を明快にわからないようにしているというか、揃えるはずの線をわざと揃えないようにしているように感じる。そのせいか、一周ぐるっと廻っても、全然どんな形か覚えられない。素材の印象や、各部の部分的な印象だけが残る。裏側には別棟のサウナとプールがある。プール!水がきれい。ため息がでるくらい美しい風景。まさしく豪邸。このサウナに入ってはプールに入り、階段上のルーフテラスで日に身を焼いたりしたのだろう。まわりにはどこまでも白樺林が続いている。敷地の境界はなく、自然の林に混じっている。それがアアルトの意図だったらしい。

一周回り終わったところで遅れていた人達が到着。ヘルシンキから車で来たドイツ人一家。ツアーは英語でスタート。
今も一応人が所有しているらしく、2階と1階の一部は見れない。全体の半分以下しか見ることが出来ないが、それでも遠くまで来る価値はある。

マイレア氏に依頼された当時、アアルトの中にはライトの落水荘から受けたインスピレーションがあったらしい。それは暖炉周りに残っている。サウナの外観や庭の石組みや構成はフィンランドの伝統的手法が踏襲されている。階段の方建て(階段自体は鉄骨構造で、そこに木を外から貼り付けていた)や天井の木はオレゴンパインで、当時は周りの白樺の色に似ていたためアアルトが採用したらしいが、長年の焼けによって色は少し濃くなっている。天井の羽目板貼りには底目地部分に小さな穴が無数に開いており、これは重力換気のための穴とのこと。

床のフローリングはビーチ。幅も長さも乱尺になっている。リビングは大きくはワンルームになっているが、天井の段差や床の仕上げを変えること、家具を買えることなどで正確の異なるスペースとしている。

飾られている絵画や彫刻、家具は美術館のような豪華さ。ピカソにシャガール、カンディンスキー、アルプ。カルダーやレジェは実際ここを訪れ、絵を描き残していっている。リビングに置いてあるグランドピアノはポール・ヘニングセンのデザイン。この世にもうひとつある同ピアノはNYのMOMAにある。

二本並んである柱の一つは縦樋。ラタンを巻いているのは、木を保護するためにラタン?布?を巻くのを模したもの。実際に機能的にも柱の当たり止めになる。

アアルト自身は日本に行ったことはないが、雑誌や写真を通じて日本から影響は受けていた。マイレア邸にもその影響はあり、フルハイトの引き戸はその一つ。床の間に影響を受けて作られた壁の中の隠し収納は、壁に掛ける絵画のうち、飾らないものをそこに閉まっておくためのもの。(場所的には床の間っぽくないのだけれど、おそらく絵画を掛け替える、という行為が床の間から影響を受けている、ということだと思う。それについて書いている本を購入したのでまた読んで理解が違うようなら訂正します)
また、リビングの一角に庭と連続したサンルームのような部屋がある。入り口は組格子戸で紙が貼られればまさしく障子。吊り飾り棚は茶室の水屋の吊り棚のよう。棚にはイッタラのグラスベースや、そのカット前のベースが置いてある。床の石貼りは外部まで連続している。

リビングの一角にある書斎は竣工当初は上部は何もなくリビングと繋がっていたが、二年後に書斎として使うことになったため、防音のためにアイノが波形の木とガラスによる仕切りをデザインした。書斎内部は立ち入り禁止だったが、同行のドイツ人が執拗に興味を示したため、特別に中に入らせてくれた。置いてあるチェスの駒はマックス・エルンストがデザインしたもの。今は当時にはなかったパソコンなどが財団の事務作業のために置かれている。

一通り解説が終わり、後は各自で見て回る。全ての仕上げを触ってまわる。入り口のショップコーナーでポストカードと二冊の冊子を購入。お礼を言って外に出てから荷物を木にくくりつけ、もう一度外観を見て回る。外から見ると見れなかったところがかなり多いことがよくっわかる。名残惜しみながらもバスの時間が近づき、歩いてバス停まで戻る。

バスに乗ってporiまで。運転手に駅に行きたいと告げると、近くで下ろしてくれた。バスターミナルと駅は歩いて10分弱、少し離れている。駅からVRに乗ってタンペレへ。

駅までKさんの友人が迎えに来てくれている。自分だけ今日はYHに泊まるため、荷物を置きに行く。Sophia hostel。完全ナンバーロック方式で部屋や設備はかなりきれい。タオルもシーツも着いているのは北欧YHにしては珍しい。キッチンもありwifiも無料。

それから一緒にその友人達がいるところへ向かう。彼女は高校時代、そして今年のつい5月まで半年日本に留学していたため日本語が話せる。今日はメキシコ料理店を予約してくれているらしい。店の近くで合流。日本に留学経験のあるフィンランド人計4人、現在ヨーエンスーに交換留学に来ている日本人学生4人、自分達2人の計10人の大所帯で食事。

フィンランド人は(というかヨーロッパは皆そうだと思うが)食事は家で済まして、夜飲みにだけバーに行くらしい。なのでバーには本当にお酒しかないそう。日本の居酒屋、あとおしぼりがフィンランドにも欲しい、と言っていた。食後、うち一人のフィンランド人のお宅へお邪魔。途中スーパーに寄ってお酒を調達し、彼女のアパートの最上階のテラスでビアガーデン。気持ちがいい。部屋にはクッキングパパやドラえもんがある。本当に日本の漫画の世界的普及率はすごい。タンペレ駅から近いこの部屋はワンルームで六、七畳くらいの広さだがキッチンがちゃんとしているので全然住みやすそう。

日も暮れてから部屋に移動。今日はフィンランド代表のホッケーワールドカップの試合があり、皆その結果を見終わるまで出かけられないらしい。無事フィンランド勝利を見届けてバーへ。カラオケバーとはどんなものかと思ったら、歌う人はステージに上がって歌う方式。その周りでは酔っ払った男女が踊っている。夜はほとんど出歩いていなかったので面白い。女の子の多い団体なので酔っ払ったイタリア人らが声をかけてくる。一時半頃に眠くなってきたのでお開き。まっすぐYHに歩いて戻り2時前就寝。



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