124日目 100510 HELSINKI




9時起床。昨夜は少し夜の咳がましだった気がする。平日は10時までの朝食を急いで降りて食べる。
今日は2時からthe social insurance institutionのガイドツアー予約があるので、そこまでの往き道にある建物から向かう。
中央駅からトラムに乗りテンペリオ教会へ向かう。トラムから見えたので迷うことなく到着。

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Temppeliaukion kirkko
Timo and Tuomo Suomalainen
1969
Lutherinkatu 3,00100 Helsinki,Finland

■中央駅から歩いても行けますが、トラム3Tor3BでKauppakorkeak駅下車し、少し来た道を戻ると教会が見えます。左記の駅を降りる前に車窓から見ておけばわかります。
■無休無料。ただし、開館時間が曜日によってかなり変わります。2009年情報ですが5/16-9/15:月火木金1000-2000、水-1845、土-1800、日1145-1345,1530-1800、9/16-5/15:月1000-1700、火1000-1245,1415-1700、水土-1800木金-2000、日1145-1345,1530-1800。土日は結婚式などの行事で入れないこともあるようなので、平日昼に行かれる方がよいようです。
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教会の目の前からツアーバスが乗り付けており観光客でごった返している。教会にしては珍しく方向性がない。前方向から均等に光が入る。十字架もとても小さい。これで祭壇もなければ教会と言われなかったらわからない。ここも他の教会やアアルトの建物同様、銅板が多く使われている。塩害対策なのだろうか?フィンランド建築は特に外部に銅板仕上げが多い。この教会では内部ロフトの壁、また円形天井も細い銅板をぐるぐる巻いたような仕上げになっていた。あまりに人が多いので辟易して早めに退散。

次にフィンランディアホールへ向かう。

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Finlandia Hall
Alvar Aalto
1971
Mannerheimintie 13,00100 Helsinki,Finland
http://www.finlandiatalo.fi/en

■テンペリオ教会から歩いて5分程度。トラムだと3B,3T,10,4が停まるKansallismuseo下車。
■月ー金0800-1700、ただしガイドツアー以外は入り口ホールさえ見れません。ツアーがいつ開催されるかはホームページに一定期間ごとにアップされるのでチェックしてみてください。ツアー料金は6e。
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中の明かりが見えるので入ってみると、警備員が通せんぼをしている。他の観光客が入っていくと「ガイドツアーでないと見れない」と追い返されている。前もってHPでツアーは今回滞在期間中はないことを確認しているのでダメもとで来てみたがやはり。厳しい。
わかったのは外壁のビアンコカララ(後の国民保険協会ビルツアーで聞いたところでは、外壁のこの石はかなり汚れと痛みが激しく張り替えられているらしい。)が平面でなく湾曲した仕上げにされていて、編み込んだような柔らかな表情になっていること、くらい。

対岸の湖を少し眺めてから少し早いが予約しているビルへ向かう。ビルの場所だけ前まで行って確認し、近くでお茶休憩して二時を待つ。

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Social Insurance Institute (ex,National Pensions Institute)
Alvar Aalto
1956
Nordenskioldinkatu 12, Helsinki

■トラム3B or 3TでKansanelakelaitos駅下車。降りる手前に左手に見えます。
■ガイドツアーを要予約。毎日14時からやっているようです。確か丸善から出ているアアルト全建築行き方本に書いていたpetra.leika[at]kela.fiへメールを送り日にちを決定し、petra leikaさんが案内して下さいました。無料。当日たまたまその時間に来た日本人の学生の方も飛び入り参加されていたので、運が良ければ当日でも行けるようです。
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少し早めに行くと警備員がそこで待っていて、と入り口ロビーを指さす。上着などを置いて待っているとにこやかにpetraさんが降りてこられる。挨拶もそこそこにツアー開始。自分達だけだった。話される英語がとてもわかりやすくて助かる。

元々は国民年金すなわち老齢年金者だけが対象だったが今は全ての社会保険(保育から老齢、障害者など)を対象にしているため、名前が上記のように変わった。入り口ロビー脇には当時の顧客対応ブースが残っていて、それがとても良くできている。端から端までアアルトデザイン。コーナーの真鍮の補強が芸が細かい。家具からドアノブまで全て。このブースごと販売すれば確実に売れそうな気がする。

奥に行くと大きな木の模型があり、それを用いてプランの説明を受ける。元々アアルトは三つのエントランスアプローチを想定しており、現状のメインアプローチ、右脇のわかりにくいサービスアプローチ、そして奥のライブラリーに直接行け、かつ敷地を通り抜けることができるアプローチがかつてはあった。が、今はライブラリが公共のものでなくなっているため、そこは使われてはいない。

さらに奥にエレベータがある。これがすごい。扉がない!まさに垂直式コンテナ。12個の箱が円環状にぐるぐるまわっている。営業時間中はずっと動いていて停まることはない。普通に飛び乗って乗る。試しに乗らせてもらうと、思ったより早くはない、けどやっぱり降りるときはちょっと緊張。職員さんは普通にコーヒーを片手に載っていく。馴れだろうか。昨日乗った内扉がないエレベーターでさえ驚いたが、まさか扉がないものに出くわすとは。せっかちさんには使い勝手が良さそう。

アアルトのスケッチやプランが飾っている廊下を抜けライブラリへ。トップライトが明るい。今日は曇りだが、全く電灯を付けなくてもこの明るさ。ISO100で撮影できる。ライブラリの意匠自体は今はロシア領になってしまったアアルトが以前にデザインした図書館と同じものらしい。

しかし、廊下から部屋の中まで多様な照明器具が全てアアルトデザインというのがすごい。同じようなdirectorの部屋でも全て照明の意匠が違う。それだけで部屋の印象が変わっている。中には市販されておらず、ここのためだけというものもある。食堂のものもその一つだった。側面に漏れる光が美しい。食堂の天井はセントラルヒーティングで、お湯を天井の銅管に通し、白いアルミ板がそれを床方向へと反射する役目を果たしている。とても機能的な意匠。

廊下で目にした、wolfusburgの図書館と同じ深い濃紺色のカマボコタイルはここにもあり、ここでは五色、グレー、ホワイト、ブラウン、渋いグリーンとなっている。グレーのみ平べったい。そしてそれらは全て食器で有名なアラビア製らしい。贅沢!お土産に売って欲しい。特に濃紺色のタイルは見れば見るほど色が深い。

最後に1階の大ホールを見せてもらう。まずはトップライトを側面から。二重屋根になっており、その間の空気をヒーティングして冬期の室内温度低下を押さえる。大がかりだが、そこまでしてでもアアルトはホールに自然光を入れたかったのだ。たまたまこの数日が曇り、ということもあるが、フィン在住の友人二人の話からも、本当にフィンランドの冬は暗く寒いらしい。白樺の林が延々と続くグレイッシュな風景は何も知らなくても哀しい風景に見えてしまう。そんな冬に室内に籠もる(冬には軽々と零下10℃を超える)人々に少しでも光りを!と考えるのは当然のことかもしれない。

ツアーを終えて、次にどこ行くの?と聞かれ、house of cultureなんだけど見学依頼メールの返事が返ってこないんだよ、と言うと、じゃあ、と電話をしてみてくれる。なんて親切!北欧、特にフィンランド人は本当に親切。道でも地図を広げていると声をかけてくれる。
残念ながら先方は電話に出ず、直接行ってみることに。ガイドツアーに飛び入りされた日本人の方もちょうど同じ行き先だったので同行。

日本女子大のPhdの方で、ストックホルムで発表があり、空いた一日で今朝ヘルシンキに着き、明日ストックに帰る予定で今朝からVantaaの教会を皮切りにヘルシンキ建築を見て回られている。ハードだなぁと思うと同時に、そこまで詰め込んでいない自分に気づく。( もちろん自分も含めて)本当に日本人建築トラベラーはcrazyだ。忙し過ぎる。

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House of Culture
Alvar Aalto
1958
Sturenkatu 4,00510 Helsinki,Finland
www.kulttuuritalo.fi.
Tel:+358-9-7740-270

■トラム3B,3TでPorvoonkaku下車。徒歩5分程度。(ちなみに道を尋ねる場合はフィンランド名で言う方が通じます)
■ 現在はカフェやライブハウス、練習スタジオに使われているようです。見学は要予約らしいのですが、ホームページの問い合わせフォームから送っても、メールアドレスに直接送っても返事が返って来ず。他のフィン在住者に聞いてもそうだったようです。直接当たってみた所、入り口の窓口のおじさんは目も合わせずに、無理無理って感じで手を振られました。
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トラムを降り、駅で道を教えてもらって到着。が、けんもほろろに追い返される。仕方なく入り口だけ見て退散。
またトラムに乗り、中央駅まで戻って、アカデミア書店へ。

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Academic Bookshop
Alvar Aalto
1969
Keskuskatu 1 and Pohjoisesplanadi 39,00101 Helsinki,Finland

■中央駅から南へ、徒歩10分弱。
■日曜休み。0900-2100。
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誰か作家のトークショーをやっていて賑わっている。まずは2階のカフェアアルトでお茶休憩。タルトが美味しい。有名な吹き抜けのトップライトは宝石のように明るい。光をカッティングしているよう。とりあえず建築本コーナーは物色。K.フランプトンのmodern architecture historyを迷うも買わず。現代はH&deMやOMAまでとかなりレンジが広い。

書店を出て一昨日閉まっていたマリメッコやイッタラなどを少し見て、toriというカフェで夕食。若い人でほぼ満員に賑わっている。一皿の量がかなり多い。Yとサーモンのスープとミートボールをシェアで注文するとちゃんと分けてサーブしてくれる。すばらしい。そして分けて十分の量の多さ。フィンランド料理のベリーソースをかけたミートボールが美味しい。スープも。

満腹になりトラムに乗って宿へ。帰って溜まっている作業をこなす。3時頃就寝。



4 Responses to this post

  1. akonin says:

    Aaltoだ~.
    やっぱり北欧いつかは行きたいな~。
    この前載せてくれてた、森の中の木の教会も素敵でしたね。
    ああいうところで結婚したいわ。
    あ、もうすぐアメリカですよね。お気をつけて~!

  2. matsumoto says:

    ありがとう。
    これから続々aalt写真出てくるよ。
    マイレア邸は凄かった。
    また追ってアップしますー。

  3. ヤマグチ says:

    こんにちは。
    日本女子大のヤマグチです。
    ブログを発見したので書き込みしました。
    フィンランドでは本当にお世話になりました。
    ありがとうございました。
    事前準備の大切さを学びました。
    気をつけて旅を楽しんでください。

  4. 松本 says:

    いえいえどういたしまして。
    わざわざどうも。よくわかりましたね。
    自分もヤマグチさんのようなスケジュールだったら
    あんなに下準備できないと思います。
    逆に準備なくても、なんとかなるものだなぁと
    ヤマグチさんのエネルギーに感心しました。
    ちなみにマイレア邸はすごかったですよ。
    さすがmasterpieceと言われるだけはあります。
    二川さんがあれだけで本を何冊も出される気持ちがよくわかりました。
    リンクからHP拝見しました。
    トップの写真が楽しげでとてもいいですね。すばらしい。
    また追ってゆっくり見させてもらいます。

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