101日目 100417 DESSAU – WOLFSBURG – BERLIN



6時半起床。やたらと広いシャワールームでシャワーを浴びて身支度をし、昨日し忘れていた実測を少しだけして7時半前出発。鍵はキーボックスに返却。今日も天気が良く朝日が気持ちよい。

駅の売店でコーヒーを買ってパンと朝食。8時の電車に乗る。乗り換え三回を経てヴォルフスブルグへ。ザハの建築とアアルトが三作ある。

まずは駅前のツーリストインフォでお尋ね。データをプリントアウトできるところとして駅前のネットカフェを教えてもらい、他建物は地図をもらい、そこにプロットしてもらう。Wが教えてくれたアアルト4作品のうちひとつはアアルトでないとのこと。教会が二つ、図書館がひとつ、シャロウンのシアター、ザハの科学博物館。図書館が今日は二時までとのことより先に行く必要がある。

まずはネットカフェへ。入ると店員が英語が通じない。usbメモリを差そうするとメールアドレスを登録せねばならず、ドイツ以外のアドレスだとなぜか認識されない。webメールのgmail上からチケットにアクセスできることに気づき、ようやくプリントアウトできた。ほっと一息。

昼食を食べようと駅前に戻ると異様に警官が立っている。誰か来るのかな?と進むとどうやら今日がサッカーの試合があるらしくホームwolfsburg(昔大久保がいたと思う、今も長谷部がいるのかな?)のサポーターが皆緑のグッズをつけて大勢出てくる。かなりの厳重な警備。よっぽど暴れるのか。その中に混じりお昼を食べ、phaenoに寄って開館時間を確認。外構はまだ工事中だがオープンしていた。急ぎ図書館へ歩いて向かう。

ポルシェ通りは土曜日の午後のためか家族連れなどでいっぱい。天気もよくテラスで多くの人がのんびりしている。ここはフォルクスワーゲンの本拠地で大きな工場が駅の向かいにある。それでか走っている車もワーゲンが多い。街自体は新しそうで、きれいで活気がある。少し離れると大きな公園もあり、住み心地がよさそうな街。歩いていると左手にアアルトっぽい細かくボリュームを分割された建物が見えてくる。

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ALVA AALT cultural centre
alvar aalt
1962
Porschestrasse 51, Wolfsburg
■歩行者天国になっているポルシェ通りをずんずん南に歩いて行くと左手に見えてきます。
■曜日により開館時間が異なります。月、土が1000-1400、火、木が1400-1800、水が1400-1900、日曜休み。入館、内部撮影可能。
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これがそうなのか様子を伺っていると1階に古本屋(でなく図書館のいらなくなった本を売っているところのようだった)があり入る。物色していると店員のおじいさんが北側に図書館の入り口があり二階も見れるよ、と教えてくれる。

従って館内に入る。外観はちょっとどうだろう?と思うくらいそっけない、あまり気を遣っているようには感じられなかったが、内部はさすが。

特に図書館書庫兼閲覧室のトップライト、および高低差のついた空間がすばらしい。ライン上に入ったトップライトは外光が目に入らないようにカーブのついたハイサイドライトとなっており、とても明るい。

真ん中が1階分落とし込んでおり吹き抜けになっていて、その周囲が閲覧デスクになっている。中央にもぽつぽつとトップライトが設けられておりとても明るい。とても気持ちの良い空間。多くの人が利用している。



廊下に出て館内を探索。入れる部屋は少ないが、中庭周りの廊下は巡ることができる。廊下のフィンランド産らしい竹型のようなタイルがよく見ると深い紺色ですばらしくきれい。


外に出て廻りを一周する。プラン優先なのか外形を整えることには関心がないように見受けられる。
プランがないと形が把握しづらい。が、開口部両端をちょこっと立ち上げていたりして、それで開口部がシャープに見えたり、ボリュームの端部も同様の操作がしていて全体的なボリューム操作でなく、部分的な操作がとても巧いという印象。

次に歩いてシャロウンのシアターへ。

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Theater Wolfsburg
Hans sharoun
1973Theater Wolfsburg
■図書館を超えてポルシェ通りをトンネル手前まで南に歩き、トンネルへ行かず大きな道沿いに南へ下ると右手にすぐ見えてきます。駅からだとバス205などでtheaterで降りると目の前です。
■公演時間以外は開いていないようでした。
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丘を登って窓から中を眺めるが、いまいちわからない。写真で見る限りホールが見せ場のようだがもちろん見れず。窓口にも誰も居ない。あきらめて次へ。公園の中ののどかな森の道を歩いて教会へ向かう。野ウサギが見れるくらいのどかな場所。

けっこう歩いてやっと到着。ちょうど結婚式があったらしく着飾った人々が教会から出てきて車で去っていった。教会は開いていたので入る。

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Holy Ghost community center
Alvar aalt
1962
Rontgenstrasse 81

■駅から歩くと4,50分かかります。バス205でSauerbroch strasseで降りると目の前にあります。ちなみにバスの駅前乗り場はZOBというバス停でザハのphaeo前にあります。
■開館時間がどこにも書いていなかったのでよくわかりませんが、土曜の午後は開いていました。
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アアルトの建物は今日が初めて見るのだけれど、本当に内部空間がすばらしい。中のためにある、という感じ。左右非対称なプランなのに全然違和感がない。

光の入れ方、壁面の凹凸など、演繹的には説明できないアアルトのセンス、という感じだが、その効果は文句のつけようがない。こういう空間は日本人からは出てこない気がする。

外から見ると小さく見えるが、入るとスケールもちょうどよく、ディテールも気配り細かく納められている。図書館と同じハンドルがとても握りやすい。本当に彼は太陽の光をどう入れたら気持ち良いか、がわかっている。誰も来ない教会で一人30分ほど過ごす。


外に出て周りをぐるっと回る。煉瓦のコーナーの納め方がヘルツォーグのbluehouseと同じ。煉瓦壁の常套的納め方なのだろうか。ボリューム感は薄れるが、陰影がクラフト感、装飾感を印象づける。

歩いてバス停に戻り20分ほど待って駅まで一気に戻る。ちょうど降りるとphaeno前。

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Phaeno Science Centre
Zaha hadid
2005
Willy-Brandt-Platz 1,38440 Wolfsburg,Germany

■場所は駅の隣。
■毎日1500-建築ツアーがあるようです。30分程度で2e。普通にチケットを買うと12e。ただ展示もかなり面白いので見る(遊ぶ)価値はあると思います。英語ツアーもあるようですが、70eとかなり高いです。同様の金額でアアルト建築のツアーもあるようで
す。
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ほんの少し前に建築ツアーが終わったところだった。カウンターまで来ていればわかったのに・・・残念。普通にチケットを買って入場。家族連れが多い。


展示内容が科学の知識を使った施設となっていて、遊びながら科学が学べる。大人からみてもとても面白いものばかり。土曜ということもあってか賑わっている。残念ながら電車の時間が迫っているので建物だけぐるっと見て回る。

比較対象としてSANAAのローザンヌの図書館が思い浮かんでしまうのだけれど、比べてとてもうまくいっている。sanaaの床のなだらかな傾斜は人が行くことを想定していたが、ここの傾斜は行こうと思えば行けるが、登らない、という想定のもうすこしきつい傾斜になっている。

フロア全体はほぼワンルームなのだが、天井高が高いことと、前述のように床の傾斜が各コーナーを分ける間仕切りの役目をしていて、その分節の強さ(ゆるやかさ)がとてもうまくいっている。建物の内容に合っている。壁際などの斜めのスペースもうまく展示に生かして使っている。


鉄骨天井の現しも、普通ならボードで平滑な天井にしそうなところだが、予算のためなのか知らないが、天井が高いので気にならない。模型でわかる放射上の梁伏せを見せたかったのかもしれない。外構が完成すると(1階の外部ピロティの天井高も十分あるので使えそう)もっとよくなりそう。

ザハは雑誌で見る限りでは意匠優先の印象が強いが、とても使える空間、楽しい空間になっているのが意外、かつ印象的だった。

ぎりぎりまで見て走って駅に戻ると予定の電車は15分遅れ。軽食を買い、ゆっくり食べながら待つ。ICEに乗り込みベルリンへ直通。

ベルリンに着くと結局50分くらい遅れていた。ドイツのDBは本当にちょこちょこ遅れるがここまで遅れたのは初めて。ICEだからだろうか。中央駅から天気も良いので歩いてフィルハーモニーホールへ向かう。

川辺では寝椅子に寝転び、芝生でも寝転び人々はやっと来た春の陽気を満喫している。一緒になって昼寝したいところを押しとどめて、ホールへ。今日はベルリンフィルの公演がある。

着くと思ったより並んでいない。20分ほど並んでいると、当日券窓口が開く。係りの人が立ち見しかない旨を言いまわっているが、構わない。チケットが余ったらしい老人が係りの人経由で日本人ぽい女性に安く譲っていた。そういうことがオフィシャルにできていることにちょっと感心。立ち見で10eで無事購入。開演まで一時間なので入場しクロークで荷物を預け館内を散策する。

30分前までホールには入れないと言われて人々を観察。それぞれバーでワインを片手に談笑している。女性はさすがにフォーマルな人が多いが、男性は思ったほどそうでもない。ジャケット程度。ホワイエ上部に客席らしきボリュームが張り出している。入り口にeverywhere no photo!とあったので、カメラを預けてしまったので手持ち無沙汰。

開場のチャイムがなったのでホールに入る。広い。思ったより舞台が近い。よくもまぁ3Dcadのない時代にこれを設計し、作ったなぁと感心。見ていると、写真を撮っている人がいっぱいいる。フラッシュまでたいている。誰も注意する人はいない。それなら持って入ったらよかったと後悔。立ち見も思ったほどおらず、手すりにもたれて開演を待つ。

定刻通りにオーケストラが、次にコンマスらしき唯一のアジア人?のヴァイオリニストが、最後に指揮者が出てくる。指揮者は最初の三曲はピアノを弾いて指揮台には上がらなかった。金管や打楽器はなく、小さな編成。

1曲目が始まる。その音の揃い具合に鳥肌が立つ。オーケストラなのに全体で一つの楽器みたいに聞こえる。すごい。今まで日本では数えるほどしかクラシックのコンサートは聴きに行っていないのだけれど、さすがに違う。

が、2曲目になると少し音がぼやけた感じがした。こころなしか2曲目が終わった後の曲間の聴衆の咳が多かったのは上品なブーイングかと思った(がどうやら普通に皆我慢しているだけらしい)。

これだけのオーケストラでも曲により出来不出来があるのだろうか。三曲終わったところでピアノを弾いていた指揮者が一旦下がる。ピアノが除けられ、指揮台が出てきて後半3曲。1曲目ほどの衝撃はないが気持ちよい。打楽器がない曲の方が出来が良く感じる。

8時から始まった演奏は9時過ぎに終了。拍手がありあっけなく退場。人々も一斉に退席。ホールから出てもすぐにクロークへは行かず、ホワイエでワインを飲んだり、ショップのCDを物色したりしている。その中、足早に退散。地下鉄を乗り継いで帰る。

駅前で夜食を買おうにもどこも開いておらず、結局お宅で昨日と同じパスタを作って食べる。食後作業。1時頃就寝。



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