82日目 100329 BASEL – LAUFEN – BASEL



0800起床。いつもはもう少し遅くまで寝ている奥さんが早起きしてくれて一緒に朝食を食べる。今日の午前中は旦那さんが仕事があるため、奥さんが案内してくれる。

まずは、駅に行きパスについて訊きに行く。ドイツ語で訊いてくれた結果、swiss passの八日券ならちょうどスイスにいる範囲をカバーできるのでお得、ということになり購入。375chf。鉄道全線(ケーブルカーは除く)、バス、トラムが乗り放題で、400以上の美術館が無料。あとツェルマットの展望台へ登るケーブルカーやゴンドラも半額になる。

※しかし、後日駅で全ての経路の金額を調べてみると、正規で全て買うよりかは確かに安かったが、half fare cardの方がお得だった。このカードは一ヶ月有効で全ての鉄道、バストラム、ケーブルカーが半額になるというもの。99chf。

駅を出て建築、旧市街巡り。奥さんは専業主婦なのに旦那さんのおかげで十分建築に詳しくなったらしい。どこも同じだ。

■SBB office cargo
H&deM
駅の真横。一階のレストランは入れます。言えば撮影OK。


■UBS bank
Diener Diener

■White plaza
Richard Mayer

上記三つは駅の並びに3つ固まっています。

■Haus Heuwaage
Diener Diener
やはりここも開口部周りの割り付けがおもしろい。

■Schauspielhaus
Schwag Gutmann
上部壁の仕上げがウィーンの郵便局みたい。

このあたりでバーゼルの繁華街に入る。荷物が一向に返ってこないため、上着などを探すため、奥さんにベンチで待っていてもらい、ざっと見て回るがやはりサイズが合うものがない。あきらめて旧市街の方へ向かう。カテドラルなどを見て回る。



途中migrosでサンドイッチを買い、川岸のベンチで昼食。天気も良い。その後、渡し船で川を渡る。船に動力はついていないらしい。ここで午前中のツアーは終了。近くまでWが車を回してきてくれて、ピックアップしてもらう。奥さんは別れて買い物へ。

車に乗って、Laufenのリコラの工場へ向かう。

————————————————-
storage building RICOLA
H&deM
1991
Baselstrasse 91,4242 Laufen,Switzerland

■車で連れて行ってもらったため行き方がわからず・・・。
■敷地内には進入禁止でしたが隣の駐車場から見れます。外観のみ。写真に写っている事務棟?の上部2フロアの増築もHdeMです。あと、全面道路を少し建物に向かって左に行くとリコラのオフィスがあります。こちらは受付で話すと、結構待たされましたが、中からプレス?の人が出てきて案内してくれました。お土産にリコラの商品一式とパンフレットまで頂いてしまいました。
————————————————-

Wが下の方が重いから壁のピッチが短く、上の方が軽いから広いんだよ、理にかなっているよね、と説明してくれる。建物の自重加重のことかな?確かHdeMの豪華本(あの最近やっと第四巻が出た完全作品集)にはデザインの経緯が載っていたはずだが、確か近くの製材所だったか石切場だったかからこのファサードのヒントを得ていたはず。

同じようにバーゼル市内の排水溝からモチーフを得たアパートのファサードや、スイスに入ってから普通によく見る土木の擁壁に用いる石を金網で閉じ込めた壁を用いたアメリカのワイナリーなど、彼らは日常を観察しそこから転用するのが巧い。出来たものと引用元を見れば簡単そうに見えるが、それは結果があるから。何もないところからこんなに鮮やかに転用はなかなかできない。

隣の事務棟の増築は発表されていないと思うが、単純さがちょっとオランダ建築っぽい。

車で少し移動してリコラの事務所へ。カーテンの色がカラフルなやつ。なぜかリストから漏れていた。Wが受付で交渉してくれて、社内の人間同伴なら中を見せてくれる、ということになり、その人が車でちょっと待つ。内部にはそこかしこにスイス人アーティストの作品が飾られている。15分ほどしてプレスっぽい男性が出てきてくれて中に入る。

明るくとっても気持ちの良さそうなオフィス。が、夏は大変らしい。冷房が入っていないそうで(それはスイスのオフィスでは普通らしい)、庇にグリーンが巻き付くようになっているのだが、去年はそれが枯れてしまい、日差しがもろに入りオフィス内部がひどい暑さになったらしい。

お礼を言ってお土産までもらい、ゲーテアヌムへ。

——————————————————-
Goetheanum
Rudolf Steiner
1928
R?ttiweg 45,4143 Dornach,Switzerland

■08.00 – 22.00 daily、ですが大ホールの見学は二時から二時半の間のみらしいです。が、行ったときは既に遅し。それでもWが日本から来たのだから何とか、と交渉してくれてちょうどそこに居合わせた舞台俳優の男性に裏手から入って見せてもらえました。感謝!
——————————————————–

このあたりはシュタイナーの思想(名前があったと思うのですが失念・・・)に基づくコミュニティが形成されており、建物も同様の形のものが多い。道行く人は皆フレンドリーに挨拶してくれる。ゲーテアヌムは思ったよりかなり大きい。戦前は木造のドーム状建築だったらしいが燃えてしまい、現在のコンクリ造で建て替えられた。どちらの造形もすごい。もちろん手書きの時代にちゃんとシンメトリーに作られていることがすごい。ハンドルから手すりまで抜かりがない。時代的にはガウディやオルタから少し下るくらいだが、この時代は職人の技量もあったのか。個人的にはtoo muchだが、密度は認める。

カフェでアップルパイを食べて(とても美味しい)、周りを少し見学した後丘を降りる。売店の売り子も、周りで掃除していたのも子供だた。そういう教育らしい。

ズントーのアパートに向かう途中にWが手がけた仕事があるというので見せてもらう。

■Mehrgweckgebau de Biel-Beuker
WalterKlaey

街のコミュニティー施設的なものだったと思う。開口部とコーナーの収まりがおもしろい。スイス建築は石の文化だからか、徹底的にベーシックにボリュームの概念が通底しているように感じる。

■Spittehof housing
Peter Zumtor
1996

これは元々指名コンペでWも参加していたらしい。当初は住民予定者は皆ズントー様様だったらしいが、出来てからはとても不評で非難囂々だったらしい。外壁が木(躯体はRCなのになぜか合板塗装仕上げだった)で痛みが激しいこと、長屋のような形式だが、階により隣に出たり入ったりしていることが、スイス人の持ち家意識からは自分の家の境界があいまいに感じたこと、が理由らしい。
Wは中にも入ったことがあるらしいがとても気持ちのよい空間だそう。他の建物のように異様に凝っていたりお金がかかっていたりしないが、丁寧に作られている。

すぐ近くに同じ施主のWが手がけたアパートがあるので見せてもらう。

■Spittenhof
Walter Klaey

石の貼り方が手積みでとても味がある。20年前らしいが、いい歳の取り方をしている建築。素材の切り替え方が場所によって違うのを説明してもらう。テラスの棒は目の前にあるリンゴ畑の棒を参照したらしい。簡単なディテールだが自分で日よけの程度をかえられて便利そう。渋い建物を作っている。

そして本日最後に、HdeMの初期建物二軒へ向かう。

■Blue house
H&deM

確か一番最初の実施作品。ヘルツォーグ氏の姉夫婦の家だそう。小さな家(日本的に見れば普通サイズだが)。平面が微妙に矩形でなく、そのためコーナーの煉瓦のチリができている。巧い。渋い。

次に名前を失念したが、全集1に載っている既存の木を避けた平面の増築物件。が、行くと仕上げが違う。どうやらオーナーが変わったらしく、母屋ごと改装されている。変なセメント板みたいなものを張られている。これはひどいよね、とWと話ながら帰る。

家で夕食を頂いて、22時過ぎ。このマンションの屋上から夜景が見れるのよ、と奥さんに誘われて少しだけ見に行く。


住人は自由に上がれるらしい。子供用のプールもあった。すばらしい。今年の年明けはここでシャンパンを開けたらしい。豊かなだなぁと感心して降りる。各自部屋に入って、作業。1時就寝。



No Responses to this post

This post has no comments yet.

Leave a Reply