80日目 100327 DUSSERDOLF – BASEL



0740起床。快晴。朝食前、先に出かけてしまう他の住人がわざわざさよならを言いにきてくれる。最後の朝食をHと一緒に食べて、お別れ。本当に御世話になってしまった。9月に京都での再会を約束して出発。デュッセルドルフ空港へ。

Dusserdorf Hbfで乗り換えて空港ターミナル駅へ。歩き方の書き方だとそこからまだ何かに乗らなければいけないようだったが、そこは既に空港内だった。チェックインを済ませ、ゲート前で作業をする。

1310定刻より少し遅れて離陸。一時間ほどでバーゼル空港に到着。
しかし、、、荷物が出てこない。まさか、と思いながら待っていたが、自分以外の荷物は全てピックアップされて一人残される。バーゼルで御世話になるご夫婦が迎えに来てくれているので、ちょっとでも早くにと荷物が出てくる出口で張っていたので見落としはない。さすがに心配して電話がかかってきたのであわてて説明して待っていてもらう。英語が十分でないもの同士の電話はどこでもお互い思いに頭が着いてこず、どちらもすごく焦って話してしまうのが相手が何人であれ共通している。

生まれて初めてバゲッジクレームに行って諸所情報を登録する。ここバーゼルでは滞在先がホステルでなく個人邸だったのが不幸中の幸い。着陸から随分経ってやっとゲートを出る。ポルトで初めて出会った建築家夫婦と再会。喜びもそこそこにWが組んでくれている怒濤の建築ツアーの初日を消化するため、飲み物とサンドイッチを空港で買って(もらって)車に乗り込む。

彼とメールでやりとりしていて結局まずはバーゼルに3日滞在し、その後の予定を今晩話し合って決めようということになっている。というのはSBBなど、ネットで英語で検索した限りでは今一情報が不透明なため、現地に詳しい彼が調べておいてくれたのだ。前もって覧たい建築リストを送っていて、それに沿ってツアーを組んでくれているらしい。「覚悟しておけよ!」とメールで送ってきてくれていた。

とりあえず彼のアパートへ到着し、荷物を置かせてもらう。コルビュジェ風のデザインのきれいなアパート。小さい、と言っていたが、こちらの小さいはもちろん広い。さすが建築家で家具は全てアアルトやヤコブセン、照明はポールセン、ノグチととても趣味がいい。書斎の一部屋をあてがってくれる。

そして怒濤のツアーの開始。自分のリストもかなり大概な量だと思うのだが、彼が案内してくれた量はそれをも超えていた。
家に着いた際にちらっとプリントアウトされたインフォメーションを見たが、自分みたいな人が日本人以外でいるとは!と驚きの量。完璧なナビゲーション。
(注:ここからのバーゼルでの建築見学は全て車で連れて行ってもらったため、行き方や入館情報がちゃんとわかっていないものがほとんどです。)

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Caricature and cartoon museum
H&deM
1996
■地球の歩き方に地図や開館時間が載っています。
■1000-1700。9e。外観は全く普通の家なのでちょっとわかりにくいかも。
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まずはカートゥーンミュージアムへ。17時閉館なので急いで先に入れ込んでもらう。内部撮影は不可だった。9chf。道路側は古い建物で、奥の中庭から増築している部分がH&deMによる。SSGによるガラスカーテンウォールのディテールがとてもきれい。開きドアのハンドルや丁番まで全てSSGのみで取り付けている。増築部はRCだがカーテンウォールはスラブから金物で持ち出されて一階から屋上まで連続して付けられている。ここ以降、多くのH&deM建築の開口部はこのSSGディテールが用いられていた。

■Wohnhaus St.Albantal
Diener Diener
一見普通だが、よく見ると開口部周りがとてもおもしろい。枠のディテールがシャープなことと、面の分割の仕方がグリッドなのだが、要素がレイヤーで重ねられたようになっているため、深みがある。SDのスイス特集で見たことがあったが自分のリストには彼らが入っていなかったのだが、今回多く見せてもらって、地味だけれど味わい深いことが実物を見に来るとよくわかった。

■Tinguely Museum
Mario Botta
1996
Grenzacherstrasse 210,4002 Basel,Switzerland
マリオ・ボッタのティンゲリー美術館。展示はスルーして外観のみ見たのだが、後から思えば展示を逆に見ておけばよかった。美術館の噴水や、バーゼル中心部にあるシアター前の噴水にもティンゲリーの作品があるが、噴水の圧力を使ってとてもユーモラスに動く様がかわいい。動きがあること、って広場においてとっても空気を楽しくするものなのだなぁと勉強になる。ボッタの建築は正直、何が彼を世界的にたらしめているのかがよくわからないほど、良いところが見いだせなかった。

■Hofmann la Roche
H&deM
次にヘルツォーグの手がけたオフィスビルへ。Roch社のもので、Novartisと並びバーゼルの大富豪会社のひとつらしい。ここもSSGサッシで、ガラス割が中央から端へ行くに従って小さくなっている。スレンダーに見せるという意図だろうか。夏の日中は電動でひよけが降りるようになっているが、その位置も微妙に各階でずらされている。柱の位置もよく見ると微妙にずれている。道路向かいの敷地にあるビルを壊してH&deMが三倍の高さのオフィスを計画中だが、市民の反対にあい、どんどん高さが低くなっているらしい。こちらは全て住民投票で決するらしく、今までにカラトラヴァが計画していた橋なども反対に会い別の建築家になるなど、いくつか建てられなかった計画があるとのこと。隣にあるスカイハウスのような建物はKanfine Hofmann la Roch by Rohn。

■Geerke Schule
Hermann Baur
1961
次に彼が通っていたデザインスクールへ。レーモンドの群馬県立音楽堂のようなRC折板構造のホール。中が見れなかったのが残念。構内にはアルプの彫刻が普通にありとても贅沢。

■Hotel Mustomesse
Morge Degelo Marques
道路上に思い切り飛び出したすごいキャンチレバーのホテルビルをちらっとみる。道路上、というのがすごい。

■5 hauses
Diener Diener
ディナー&ディナーの集合住宅へ。ここもシンプルなRCながら窓周り、外部ロールスクリーンの納め方が巧い。

■Hammer 1
Diener Diener
少し離れたディナー&ディナーの最初期作も見るもこちらはあまり。

■office of H&deM
H&deM
2009
Rheinschanze 6,4056 Basel,Switzerland
ライン川べりに移動し、H&deMオフィスへ。新しく川際に自身でデザインしたビルを建てている。オフィスでは300人が働いているらしく、一帯の複数の建物がオフィスとして使われている。事務所に見学のアポを問い合わせてくれたが断られたとのこと。とりあえず外観を見に行く。門扉はデ・ヤング美術館などのような開口のあいたデザイン。

川縁に回って新ビルのエントランス周りを見ていると男性が出てきたので、Wがドイツ語で何やら話しかけると、どうやらここの上階のアパートに住む住人で中を見せてくれることになったらしい。エントランスを入ると土壁のようなテクスチャの内壁、床はフローリング。エレベーターで上がる。最上階を含むメゾネットのアパート。テラスからはライン川が一望できるすばらしいロケーション。上階のリビングも見せてくれる。ヘルツォーグ事務所一帯を上から見下ろす。見ず知らずなのになんとフレンドリーな。全くWのおかげ。帰りに丁寧にお礼を言い、出てからゆっくり階段を降りながら物色する。曰く、ここの最上階に住んでいるとは、おそろしくリッチな住人だ、とのこと。事務所は土曜の午後で、完全に誰もいない。すばらしい。が、日曜はよく働いているのが見えるらしい。

■Spitalapotheler
H&deM
移動して、Rossetiという会社のH&deMが手がけた遠目には緑色のボリュームに見えるオフィスビルへ。ダブルスキンで内側がパンチングメタルで換気を兼ねており、外側が緑のドットパターンが施されたガラスのDPGとなっている。

■Kantonsppital
H.Baur
向かいの中央病院も見ていく。最上階の階段がアアルトのような微妙な曲線で気持ちがいい。普通の直線階段より上り下りしたくなる効果が発見。

ここで日も暮れて今日の日程は終了。お昼の3時半くらいから6時半くらいの三時間でおよそ10件の建築を見ている。すばらしいスピード。おかげでどれがどれだかわからず後でもう一度教えてもらう。

家に戻ると奥さんが晩ご飯を作ってくれている。準備の間、アペリティフで白ワインをいただく。すごくおいしい。アルザスの白。お摘みがわさび味のピーナッツとチーズ二種。クラッカー。ワインがおいしい。サラダに始まりディナーのメインはなんと焼き肉。といっても日本のようなタレではなく、マスタードやサウザンド的なもの、タルタル的なものといった四種のソースを付けて、牛、鶏、豚各種を自分でホットプレートで焼いて食べるというもの。二人とも食べるのが早く自分は遅いので、ずいぶん待たせてしまう。いろいろと話したと思うのだが、毎日見る建築の情報量が多すぎて覚え切れていない。。。

食後、遅いので旅行の予定の詰めは明日となり、彼らは22時には床に着き、自分は部屋で作業。1時半就寝



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