70日目 100317 DELFT – UTRECHT – DELFT


0840起床。朝ごはんを食べて1030出発。雲ひとつ無い快晴。今日はユトレヒトへ。往復21.5e。
1107発の電車に乗り、Rotterdam centraalで乗り換える。12時前にユトレヒト着。


まずはツーリストインフォへ。地図は1.5e。東はシュレーダー邸まででユトレヒト大学は範囲外だが、中心部は道の名前を全て抑えており使える。バスルートマップは無料。が、バス停名と場所が書いておらず(インフォの女性もtoo complicatedと言っていた)、目的地へのバス番号と乗るバス停を教えてもらう。

インフォ近くのバス停からちょうど来たバスに飛び乗り、ユトレヒト大学へ。

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Educatorium
OMA
1997
Leuvenlaan 19,3584 CE Utrecht,Netherlands

■Utrecht centraal駅、もしくは街中のバス停(バス停の看板に何番が来るか書いています)から11番、12s番などに乗ります。最初にノイトリング・リーダイクの例のうねうねの外壁が見えた後のバス停で学生がどっと降りるので、そこで降ります。降りてすぐに地図看板も立っていますが、リーダイクの建物の方へ(北へ)歩き、リーダイク前の道を右に(東に)向かうと右手にすぐ見えてきます。

■大学なので土日は休みで入れないようです。普通に入って問題ないよう。写真を撮っていても特に何も言われませんでした。授業の終わりにタイミングが合えば、ホール内部も見れます。
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結構バス停からすぐに見つかった。まずは外部を廻る。斜めのガラスカーテンウォールのマリオンが普通と逆に外付けになっている。耐風圧用ならば引張に作用しそうだが、外壁ガラス面とのジョイントはどうなっているのだろう。途中にいくつか入っているボルト留のフラットバー?を介して力を伝えているのか?地下は駐輪場、一階に大きな食堂、二階以降がホールとなっている。(といっても、本当はスキップフロア的になっているのでもっと階数的には多いと思いますが大まかに)。

とりあえずもう13時でお腹がすいたので、食堂で昼食を食べる。オランダの家庭の味ぽいスープとパンとハムとコーヒー。安いが支払いがicチップのついているオランダのクレジットカードのみ。(日本のチップ付きは使えなかった)。お釣りはでなくていいなら現金でも払えます。お腹いっぱいになってから建物を巡る。

ギリシャ文字で名づけられたホールと外形の矩形との間が階段上の通路になっており、建物入口の風除室とホール入口のドア以外はほとんど扉はなく、つながった空間となっている。入り組んでいる割にはとてもスムーズに移動できる。階段で階が分かれた空間より当たり前だが連続性が高い。

天井を見ると、コンクリ打ち放しのスラブから途中で鉄骨梁にPC? ALC?板のスラブへと切り替わっている。外壁ガラス以外の面も内側はわざとその鉄骨が見えるように露出したり、またその錆止め塗装?の色も塗り分けたり、柱も丸と四角が混じっていたり、やっぱりミースの十字柱があったり、と執拗にずらしている。帰ったら構造がどうなっているのか見直したい。スラブが上記のような配管を隠蔽できない仕様だからか、スプリンクラーなどの配管は全て露出している。メンテナンス的にもスラブ強度の保持的にも、また意匠的にもスラブの面としての純粋性を保持するという見方からこちらの方がよいと思う。ここもダウンライトはなく、執拗に壁の中の蛍光灯、柱などのアッパーライトでまかなっている。

次にアレッツの図書館へ。

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University Library UBU
Wiel Arets
2004
Heidelberglaan 3,3584 CS Utrecht,Netherlands

■Educatriumの南側です。北側の道からだとぐるーっと大回りする必要があるので、educatorium内から隣のビルに抜けるなりして行った方が近道のはず、です。
■普通にどこまでも入れました。写真を撮っていても何も言われません。
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黒い外観ですぐわかる。思ったより小さく感じる。
結論から言えば、特に新しい発明はないけれど、構成を始め丁寧に作ることによってこんなにいいものができるのか、という気にさせてくれる。外壁のガラスは、草(ススキ?)のパターンを内側(白)と外側(グレー)の2色でプリントされ、同じ模様をGRCの外壁パネルに凹凸で表現している。内部に透明フィックスと上記のガラスパネルのダブルスキンになっており、外壁側は電動で、おそらく天空照度に応じて自動で、開き具合が調整されていた。そのため外から見ると黒いボリュームに見え、内から見ると白いガラス面で明るい印象。かつパターンのおかげで遮光されている。内部は中庭を挟んで図書館と駐車場のボリュームに分かれている。図書館棟は大きな吹き抜けを内包し、そこにキャンチで階段が飛び出している。内装は床面をチャコール系のグレー、他は黒、書架も黒、カウンターやエレベーター内部は赤、とJヌーベル的な色使いだが、バランスが良い。書架の本立やゴミ箱までちゃんと機能的にも意匠的にもデザインされている。明るい中で一人で使えるテーブル面が広く、またその閲覧テーブルがとても多くあり、すばらしい大学図書館として機能している。OMAのようにひねくれた収まりは全くないが、それでも十分いいものはできる。

建物を出て、つい文房具屋をチェックし誘惑と戦った後、下記の建物を外観だけちらっとみてから、ちょうど来た乗ってきたのと同じ11番の駅行きのバスに飛び乗る。

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Basket Bar
NL Architect
2003
Genevelaan 9,3584 CC Utrecht,Netherlands

Minnaert
Neutelings Riedijk
1997
Leuvenlaan 4,3584 CE Utrecht,Netherlands
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乗ったところと同じ場所で降りて、歩いて市庁舎へ向かう。

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Extension to Utrecht Townhall
Enric Miralles
2000
Korte Minrebroederstraat 2,3512 GG Utrecht,Netherlands

■地図にも載っていますが、ダム広場(教会)の北東、歩いて5分です。よってセントラル駅から歩いて行けます。

■月ー金、0900-1700。無料。mimoaで調べた時には事前予約必要とあったので、メールを送ってみましたがまったく返事なく、当日行ったら普通に見せてもらえました。増築部分は展示スペースとなっています。
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通りから市庁舎前の広場に出ると、いきなりドーン、という感じで現れる。ミラーレス全開。もう17時前だったので、開館時間などわからないが出てきている人がちらほら見えるので閉まる前に、と急いで入る。レセプションで訊くと、快く見学OKをもらえた。

入 り口からすごい。おそらく既存の煉瓦造のホールがあり、それの周りに増築し、また他の既存棟と接続していると思うのだけれど、その既存の見せ方が上手い。 肖像画を展示している吹き抜けの壁は元のレンガを一部、わざと露出させている。二階の床も、途中までRCで打ったところから、わざと木造に切り替えたりし ている。普通分節しないでいくところを、過剰に分節することで豊穣さを出している。またそのような架構や仕上げのずらし方と共に、開口部のずらし方も面白 い。バルセロナのマーケット横の集合住宅と同じように穴とカバーする建具の大きさをずらすことによって、穴は穴と、建具はあくまで後からついた建具として 見える。隣の棟の外壁面の開口部も、最初見たときは既存を部分的に壊し、増築したのか、混じっているのか?と思ったがよく見ると、全て新築で、外壁側の窓 枠鉄骨内に、既存の残骸?のさびれたモルタル枠を転用して付けている。それだけで(もちろんその他の過剰な分節も含めてだけれど)、一気に建物が新築に見 えなくなっている。他にもトップライトから建具から手すりから、この密度は図面でコントロールできる域を超えているのではないかと思うくらいの内容。ずら し、による空間の豊穣さ。すぐに、なぜそうなる?と先回りして考えてしまう日本的建築思考方法(と勝手に思っているだけかもしれない)からは絶対出てこな い空間。材料の質に頼らない、OMAとは違う方向での空間の豊かさの一つの解答例だと思う。

一人で唸りながらひとしきり見て駅へ歩いて戻る。18時を過ぎると本屋も服屋も、レストランなど以外はどこも閉まって行き場がない。お宅に戻って、昨日のポトフを夕食に食べて作業をし、2時就寝。



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