65日目 100312 BRUSSELS


バスの時刻表を見ると、この夜行の便以外はドーバー海峡越がeurotunnelとあり、この便だけP&Oferryと書いてあった。イギリス出国のパスポートチェックを終えた後、バスごとフェリーに乗り込む。今回は明らかに船とわかる。何のアナウンスもなく、バスは止まりドアが開く。当然のように皆降りていくのでついていくと、上の階に座席や店舗が多くある。ここで海を渡るまで過ごしたらよいようだ。適当なソファに座って、一時間くらいなので逆に寝て起きれないとこまるため、作業を行う。一時間くらい乗ったところで向こう岸に到着。またバスに乗り込み、時刻は深夜二時。ここからゲントまで二時間、ブリュッセルまで三時間。気がついたら寝ていて起きるとゲントだった。

寝ないで乗っていると予定より30分ほど早くBrussel nord到着。宿はcentral駅の方が近いので、そっちに次止まらないのか?と訊いても英語が通じない。イギリスから乗っているのに。(後から調べるとブリュッセルは北駅にしかターミナルがなかった)。降りるところを見ておくのを忘れていたので、中央駅への行き方がわからない。インフォも切符窓口も全て閉まっている。駅の中や周りはホームレスが寝ていてけっこう荒んでいる。落ちているゴミも多い。ブリュッセルは予想より都会ではない。

てっきり中央駅に着くと思っていたため、予約しているYHへ最寄の中央駅への行き方を調べておらず、迷う。どうやら地下鉄を乗り継いで行けることがわかり、切符を買おうとするも窓口は電車は既に動いているのに開いておらず、自販機はカードかコインのみで日本で作ったカードではどれも使えず、結局カフェでコーヒーを飲み紙幣を崩してやっと切符を買い、地下鉄に乗ることがでfきた。延2時間ほどかかってしまった。

15分ほどで中央駅到着。歩いて10分ほどのYHへ地図を頼りに向かう。まだこちらの駅前の方が中心地に近いためまともな印象。到着してチェックイン。ブリューゲルYH。ここは1000-1400まではロビーも含め完全に建物が閉まり外部にでなければならず、2500-0700は入り口のドアも閉まってしまう。早くつかなくても逆によかった。1000まで一時間半ほど無料のwifiをロビーでつながせてもらって作業。今日のルート作成。一泊21.4e。

1000出発。今日は一日ほぼオルタ巡り。開館時間から廻る順番を決める。何はともあれまずはツーリストインフォへ。市街地の中心となる市庁舎の向かいにある。歩き方の地図を見て向かう。地図とバストラムルートマップをもらう。地図は範囲が狭いがわかりやすい。トラムマップは範囲が広くとてもわかりやすい。一部通り名も載っており地図としても使えるくらいしっかりできている。

カフェに入ってお昼を食べながらトラム経路と行きたい場所を見比べる。サンドイッチを頼んだら、パンの種類が二つあり白か黒か、と言われたので黒を頼んだら、ブラウン色のパンだった。こちらの人は白いパンよりこの色のパンを好むらしい。味は変わらない気がするのだけど。

まずは歩いて行けるデパートへ、カテドラルに寄り道しながら向かう。カテドラルはロンドンの大聖堂と同じとんがりアーチのゴシック教会。

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Waucouez Department
Victor Horta
1906
Rue des Sables Zandstraat 20/22 Brussels

■市街地の中心、市庁舎広場あたりから歩いて行けます。
■中央ホールと一階の店舗は入れますが、二階以降は美術館の入場券を買う必要があります。一階のcafe Horta前にちょっとしたアールヌーヴォに関する展示があります。
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一度完全に打ち捨てられ廃墟のようになった後、きれいに戻され今の形になったらしい。そのせいかあまり古い感じがしない。中央階段ホールの吹き抜け天井のトップライトにより建物に入った印象がとても明るい。二階ではブリュッセルの漫画作家の展示をやっていた。こちらでも漫画(こちらの作家)は人気のようで一階のグッズ売り場には結構お客が入っていた。たぶん有名で自分が知らないだけだと思う。オルタといえば木部の曲線を多用したデザインというイメージだが、ここはあまりそれは見られず、スチールフラットバーによる曲線が使われていた。が、いかんせん素材が違うとこうも違うのかと思うほど軽やかで華やかな印象はない。どうしてもごてごてしく重さを感じてしまう。

時間が12時近くになってきたので、ツーリストインフォにおいてあったパンフレットを見て知った、オルタが最初に手がけた住宅へ。内部公開している。

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Maison Autrique
Victor Horta
1893
266, Chaussee de Haecht, 1030 Brussels

■トラム92番で北向きに乗り、Eglise St-Servais駅で降りて、トラムが来た道を進行方向と逆に戻ると左手に見えます。看板も小さいので、インフォでもらうパンフレットの立面図がないとわかりにくいかも。もしくはここの写真を参考ください。

■水曜から日曜まで1200-1800(1730が最終入場リミット)。6e。ただ、下記にもあるように、チャイムを鳴らして扉を開けてもらうため、何度も臆せず鳴らしてみてください。
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最寄り駅を降りると明らかにアラビア系の住民が多い地域で、看板もちらほらアラビア文字が見える。目当ての場所はパンフレっトの立面図を手がかりにわかったのだが、カーテンが締め切られ閉まっているような感じ。電気は奥の方に点いているのが見えるので試しに二回チャイムを押してみるも返事なし。あきらめて向かいにある商店でりんごを買ってから、ここまで来たので最後にもう一度、と何度も連打すると若い女性が出てきてくれた。普通に聞こえてなかったよう。

今日はあなたが初めての見学者なのでちょっと準備するから地下から見ていって、と言い、上階の電気を付に行く。言われた通り地下から見学。ここも他の建築家により改修が入っているが、各部屋に10cm四方くらいだけ既存の仕上げを残してくてれている。ここも階段まわりが一番の見せ場。手すりがやはり凝っている。オルタの住宅は階段がメインでその周りに部屋がくっついているという印象を受けるくらい。必ず階段上部にはトップライトが付いている。見張りもおらず自由に見させてくれるのはありがたい。最上階でここでも関係があるのか漫画作家の展示をプロジェクターで投影していた。

またトラム92番を、来た方向と逆向きに乗り、オルタ美術館へ。

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Musee Hort
Victor Horta
1898
25 rue Americaine Brussels
www.hortamuseu.be

■トラム92番線を南向きに乗り、Janson駅下車。トラムの走ってきた通りChaussee de Charlero
iを進行方向に(南に)少し歩き、rue Americaineという通りが左に見えてくるので、その通りに入り(左に、東に曲がり)すぐ、右手に見えます。袖看板もあるのでわかりやすいです。

■月曜休み、1400-1730と開館時間が短いので注意。7e。内部撮影不可。入り口で荷物を預けなければなりません。チケットとして近隣のオルタを含むアールヌーヴォ建築マップをもらえます。便利。
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最初に見た建築から五年下っただけなのに、こちらの方が全然出来がよい。さすが自邸か。保存状態がよいこともあるのかもしれない。造作家具の全て、椅子などの置き家具もほとんどをオルタが手がけており、もうため息ばかり。日本の数奇屋を見るような印象。ここも階段を中心に部屋が周りに付いているプラン。建具や木枠、手すりや造作家具といった木部の造形は木工職人の腕のすごさを感じずにはいられない。木目まで選んで使われている。テーブルの天板の石も模様が見たことの無いような模様。建具においては丁番や錠、ハンドルまで全てオルタによるデザインで徹底的に作りこまれている。ただ、逆を言えば、建具、家具といった手の届くスケールのところ以外は大方シンプルに作られていて何もない。壁もモリスのような壁紙を使ったり、塗装だったりするが、構成は普通に面として使われている。一部の床のモザイクタイルは巾木付近で巾木の石と同じ石に切り替わり、壁との連続感を出し、いくつかの部屋の天井と壁の境目はなだらかに湾曲して接続されているが、ほとんどは普通に直角で見切られている。

今の時代にこれを日本で作れと言われたら金額的にも能力的にも不可能な気がするし、自分が作りたいとも思わない(というか線の引くルールが見えないので、何をどうやったらこうなるのかわからない、という思考形態が現代の建築教育的だと思う)が、建築関係者でない普通の人が見て時の、はーー、っとなるような、この種の建物から感じるある種の上品さは理解できる。これを再生産することなく、その種の要求にどう応えるのか、そこにはまだまだ手付かずの可能性があると思う。

チケットに印刷されている近隣のオルタ建築を廻る。

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Maison Sander Pierron
Victor Horta
??
rue de l’Aqueduc-Waterleidingsstraat,157
■外観のみ

Hotel Solvay/Herenhuis Solvey
Victor Horta
??
avenue Louise-Louizalaan, 346
www.hotelsolbvay.be
■玄関の張り紙に、group visit onlyですが予約したら見学可能と書いていました。
tel.32 2 640 56 45

Hotel Tassel
Victor Horta
1893
6 rue Paul-Emile Janson,Brussels
■外観のみ

※上記全てオルタ美術館のチケットに地図が載っています。
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途中、とてもセンスのいい文房具屋さんに入る。紙に関する全般を扱っているよう。衝動買いしそうなすばらしいデザインの、日本でも見たことの無い(結構チェックしている方なのに)ものが一杯で、欲求を抑えるのに苦労する。espace le typographeというお店です。

またトラムと地下鉄を乗り継いで、ヨゼフ・ホフマンのストックレー邸へ。

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Palais Stocle
Josef Hoffmann
1911
Avenue de Tervueren 275 Brussels

■メトロline 1もしくはトラム22,61,81のどれかでMontgomery駅まで行き、トラム44,39のどちらかで二駅目のLeopold Ⅱ駅下車、大通りを反対側(南側)に渡るとすぐ東に見えます。豪邸で大きいのですぐわかります。自分はオルタ美術館まわりを廻った後、Billi駅からトラム81でMontgomery駅まで行きました。トラム39,44のその駅での乗り場は地下にあり、次の駅から地上にでるので注意です。

■おそらく個人邸なので外観のみ。見学時は修復?工事をやっていて工事中のため入れず詳細は不明です。
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ホフマンの建築作品としては最も有名なものだと思うが、あまり保存状態がよくなく残念な感じになっていた。お化けが出そうな感じ。緑がかった外壁の色や暗い雰囲気もあるのだろうが、あるはずの開口部の庇が全くなくて、もぎとられたかのようにいきなり壁面に窓が開いていたり、壁面端部の見切の文様が異様に細かかったり、不気味に感じるデザインも一因かもしれない。

見る予定を全て消化し、地下鉄を乗り継ぎ、疲れはてて宿に帰る。スーパーを探して夕食を調達するのも、外のレストランの値段を比べて歩くのも面倒になり、まともなものも食べたかったので、ユースのディナーを頼む。10.2eでサラダ、パン、スープ、鳥の大きな手羽の丸焼き、クリームコロッケ?、果物、ビール。お腹一杯になる。少し休んでから作業をして2330就寝。



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