47日目 100222 MADRID – PORTO



06:10起床。寝心地が良くてつい寝坊してしまい起こして頂く。ちゃんとした朝食を頂き、その上お昼を持たせてくださる。本当にありがとうござました。おかげで無事離陸一時間半まえに空港着。荷物を預ける。

が、手荷物検査に並ぼうとすると、「航空会社のスタンプをもらってきて」と言われる。で、ライアンエアーの窓口に行くと、チェックインカウンターに行って、とたらい回し。空いているカウンターで訊くと、どこかにボーディングパスを持っていって押してきてくれる。やっぱりnon EUだとスタンプが必要なよう。フェズに行くときのスタンプには確かvisaという文字があったが、今回はticketなんとかという文字しかない。スタンプが必要な意味がわからないし、搭乗手続きのときにも言われなかったのもなぜか不明だが、いずれにせよライアンエアーに乗る日本人はスタンプを押してもらう必要があるようです。(そういえばフェズ空港ではなかった。。。。)。

これでeasyjet三回、ryanairに三回乗ったことになるが、思ったより厳しくない、という印象。どちらもチェックイン前と搭乗前に手荷物のサイズをチェックする鉄パイプ製の箱に入れてサイズはチェックされるが、重さは測っているのを一度も見なかった。(預け荷物は搭乗手続き時にベルトコンベア手前で測ります。それでもオーバーしている人は見なかったけれど)。

ライアンエアーの意味不明のスタンプ以外は、着陸後の降車も早いし、預け荷物が出てくるのも早いので、もし手荷物のみで乗る(白人は小さめのスーツケースのみで乗る、という人が一番多かった)ならば、とってもスピーディに移動できるので良いと思います。ただ、機内は自由席で、預け荷物の11eを節約して手荷物のみ、という人が多いので、上部トランクが結構早めに埋まります。なので、スーツケースを持ち込む人は多少立ちぼうけになりますが、早めにゲートまで進んでおいて並んでおくほうがよいです。(デイパック程度なら椅子の下に入るので、最後まで並ばなくても大丈夫。席が無くなることはもちろんありません。)

ポルト空港に少し遅れて10時前着。
スペインとは時差一時間。モロッコもスペインと時差一時間なので少しややこしい。昨日教えてもらった天気予報どおり、ポルトガルも雨。向こう四日間雨らしい。ついてない。ポルトの空港は最近出来たのかRCのアーチを描く柱がきれい。少し撮影してから、地下鉄の駅を探す。

道を間違ったのかサインを辿って地下駐車場を通って駅へ到着。三日券を買うつもりが見つからず、とりあえず一回券2.45eを買ってホームへ。ポルトの地下鉄(というかトラム?)は各駅に必ず警備員員?係員?が居て、安全かつ親切。また駅のデザインも統一してRCと金属のミニマルなもので、サイン計画とともにレベルが高い。20分ほどでcasa da musica駅着。

ユース本によるとここから204番のバスに乗り換え、とあるが、空港のインフォで聞いた番号は504だった。本を信用して、バス停の表示にも降りる所place de basco da gamaがあったので204に乗る。が、インフォが正解だった。204で前述のバス停で降り、少し進行方向に進むとPosada de Juventudeというポルトガル語でyhの標識があり辿っていくと歩いて10分くらいで着くが、504番だとYHの目の前にPosada de Juventudeというそのままのバス停名で着く。かつ本数も多いし、深夜まで運行している。ポルトガルのバスは車内に次のバス停が表示されるし、casa da musicaの駅内にあるandanteオフィスでバスの経路図と路線バス停一覧もそれぞれの番号のものをもらえるので、間違えることなく便利です。

YHに着くもチェックインは18時からなのでとりあえず一休みし、溜まっているこの先の予定の検討を行う。13時過ぎにフロントが用意ができたから入ってもいいよ、と鍵を渡してくれる。親切。荷物を置き、身支度を整え、出発。まずはもちろんcasa da musicaへ向かう。どちらにせよどこへ行くにもバスでそこまで行く必要がある。バスの切符は車内でも買え、1.45e。結構割高なので、何でも乗れる3日券か、バス10回回数券(車内では買えない)の方が良いと思います。


casa da musica着。外は嵐のような雨で急いで建物に逃げ込む。16時からのガイドツアーのチケットを購入。3e。
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Casa da Musica
OMA
2005
Avenida da Boavista 604,4149 Porto,Portugal

■地下鉄casa da musicaを降り地上に出れば見えます。バスでもそのままのバス停名です。

■ガイドツアーは16:00の回のみになっていました。ツアーは一時間程度で3e。ツアーでのみ入れる場所はエントランスホールの上部(小ホールの上部)のみですが、英語で結構詳しく(といっても建築的な説明でなく使われ方に関する)説明してくれるのでお勧めです。
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ツアーまで一時間ほどあるのでその前に建物内を廻ってみる。けっこうどこも入れる。OMAの建築を実際に見るのは福岡のネクサスの次で二つ目だけれど、ため息がでるほど、にやけてしまうほど面白い。


全くの私見だけれど、戦後の名作は1950-70に集中していると思うが、コルビュジェにせよミースにせよ、アアルトにせよカーンにせよ、水平の床と垂直の柱(や壁)というドミノのような構造体が前提としてあって、そこからどう操作するかに争点があったように思うが、このcasa da musicaを見ると、そこに前提がないところから始まっているのが決定的に違う。

ボリュームがあって、それを刳り貫き、空間を作る(が残る)(もちろんパリの図書館コンペ案もそうだけれど。)。実際に中を廻って見ると、経験の質が全く違う。EVがあるので一応階数表示があるのだが、今何階にいるのか全然わからない。それよりもどの部屋の隣にいる、というような位相的な場所の把握に頼るような感じ。水平なスラブが前提でなく、空間の部屋の形と関係で位置を把握する感じ。



雑誌などで写真を見ていたよりも実物の方が全然いい。写真では内装がプアな気がしたが、そうは感じない。天井も壁もポリカを多用し、その裏に蛍光灯やスプ リンクラー、ダクト配管をそのまま見せている。



照明はあくまで壁面や天井面といった面が光る、というルールで統一される。天井のポリカやパンチングメタル の割付、蛍光灯の割付、スプリンクラーの(わざと赤だと思う、絶対)配管など、複数のレイヤーがわざと合わせずに重ねられることで奥行きのある天井が生ま れる。壁や床の目地と合わせたりはしていないが、外壁のコンクリート型枠のボリュームの折れ線での連続はきっちり守られている。


そのおかげで、多面体の建 物がひとつのボリュームに見える。建築を設計する際には決めるべきことが膨大にあり、全てをコントロールすることは不可能だが、そのどこにエネルギーをか け、どこにかけないか、どこを優先させ、どこを放っておいてもよいか、そのバランス感覚がレムは天才的に優れていると思う。

またツアー で、ポルトの街に隕石が落ちたという形の比喩を、落ちた波動として地面のふくらみを説明していたが(それが建築家によるものかどうかは定かではないが)、 確かにそう、とも言えるが、絶対にそれが先ではなく、形を決定した後の話だと思う。

もしくは、隕石みたいに見えるとしたら?、というスタディはしているとしても、隕石のように作ろうとは絶対にしていない。その辺の、多面的な形の決定のロジックの戦略もとても巧い。

とかなんとか建築プロパー的な意見を何と言おうが、実際にこの街で、アイコニックなこの形が街の新しいひとつの核となり、サインとなっていることは間違いない。ビルバオ的な力を発揮していると思う。やはり形の力は偉大なのか。

 

雨 が止んだので外に出て外観写真を撮っていると、フランス人っぽい青年に話しかけられる。よく聞き取れないでいると、Firmini?と言われて思い出し た、フィルミニの教会で同じように建築を見に来ていた青年だった!

フランス人の学生も来るのか、と思いつつ、そこでは話すことはなかったがよく覚えていて くれた。実は日本に少しいたらしく、日本語が少しだけ話せて上手く驚く。大学を卒業して働く前に4ヶ月間ヨーロッパを廻っており、ここポルトが最後で明日早朝にメルボルンに帰るとのこと。フランスではフランス語を話していたのでフランス人かと思ったがオーストラリア人。珍しい。外国人で同じような建築巡り をしている人にはこの旅行では初めて会った。

16時からのツアーが始まる。15人程度。順に部屋を案内してくれる。

コンペの際からのコンセプトとして、内部での活動をオープンに、外部の風景を内側に、という話が繰り返し出てくる。確かに、リハーサル室もレセプションから見えるようにパンチ ングメタルとガラスの壁となっているし、ホールは周知の通り舞台の裏も客席の後ろも大波ガラスで空が見える。



(ちなみにこの大波ガラスは厚20mm以上は ありそうなもので合わせガラスとなっており、内外二枚の間は真空になっていて遮音性を向上させている。確かに外で雷がなっていてもほぼ聞こえなかった)。 波型とその厚さが耐風圧性能を確保しているのか、ガラス面には方立てはひとつもない。マリオンもない。これがあるとないでは大違いだろう。当たり前のレベ ルだろうけれど、よく心得ている。

ツアーの案内では、建物の説明と同時にそれぞれの部屋の使われ方も説明してくれる。入館者はホールやリハーサル室など以外はどこでも入ることができ、部屋それぞれにセンサーで音が変わる仕掛けや大ホールが見える部屋、感覚的に画面を操作して音楽を作れるコンピューターを置いてある部屋など、コンサートを聴きに来た人以外も楽しめるようになっている。また、サイン計画やフライヤー、ポスター、豪華なフリーの 予定冊子など、ソフト面がとても充実している。ハード、ソフトともにちゃんと噛み合って廻っ
ている印象。すばらしい。



同じツアーにいた日 本人二人と話す。オランダはロッテルダム在住で一人は建築で貝島研(世界は狭い)、一人は美術をされている。前述のオーストラリア人と一緒にツアーの後、 近くでお茶を飲みつつお話する。自分のように建築を見て廻っている人には久しぶりに会ったので、やはり話がとても面白い。明日行くつもりだったシザのレサ のスイミングプールの行き方を教えてもらったり、互いの旅行プランを見せ合ったり。けっこう苦労して作った自分の資料をよく見てくれて嬉しい。

店が19時頃閉店となり、出てcasa da musicaへ行くもイベントのない日は同じく19時で閉館のようで追い出される。前でお別れする。

バスで宿へ戻り、YH前のスーパーで食材を買ってキッチンでパスタを作り夕食。その後、溜まっている予約すべきリストをこなそうとネット接続を試みるもうま くいかない。ポルトではPT-wifiというホットスポットがいくつもあり、ここYHにも飛んでいるのだが、使うにはエクスプローラーでアクセスしてクレ ジットカードで一時間3eを支払いidとpasswordを得てからでないと繋げない。それを何度も購入しようとするが、海外のクレジットだからかうまく いかない。一時間ほど奮闘してあきらめる。0時半就寝。



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