195日目 100720 MACHUPICCHU – CUZCO



3時起床。皆ちゃんと起きる。荷物を預け、3時半出発。アメリカ人は一足先に出発し、カナダ人二人はバス一台目を狙うため、まだ真っ暗の中一人で向かう。外はクスコほど寒くなく、半袖+長袖Tシャツくらいで行ける。広場を抜け、バス停に行くと既に数人並んでいるのが見える。横目に暗闇の奥へ向かう。街灯もないのでライトがなかったら全くの暗闇。辛うじて後ろの方に後続の明かりが見えるので、間違ってはいないようだ。

見上げるとすごい星空。標高が高いと星もよく見えるのだろうか。サハラ砂漠以来の満点の星空。左手を流れる川の方に明かりが見えるので、先を登っている人達のライトだろうかと思い、立ち止まってよく見るとホタルが飛んでいる。きれいだ。ホタルの調光は本当に滑らか。足の具合は昨日よりかなりましになっているが、少ししこりがありかばいながら歩くので速くは歩けない。数組に追い抜かれながら川を渡る橋に到着。この時間からチケットチェックの警備員がいる。無事通り抜け、登り口に入る。

注意して山側を見ていると矢印の看板があるので(1カ所だけ折り返しの端、外側にありわかりづらい)、迷うことなく階段を上って行く。結構な数の人が既に登っている。階段に入ってからバテて休み休み登っている人を追い抜いていく。意識的に大きく息をし、酸素を取り込みながら登って行く。真っ暗なので終わりが全然見えない。永遠に続いているかと思うくらい長い登り。途中でおばさんがへたっていたが、ある程度体力に自信がある人以外は勧められない。タダでさえ急な登りで、暗く足下も見えにくいので余計に疲れる。ヘッドライトがあれば尚いいと思う。暑くなり半袖になって登る。

急に明るくなり、ゴール。ゲート前に出る。既に数十人並んでいる。4時55分。アマルス広場から1時間17分かかった。上出来。ずっと前後になりながら何人も追い抜かしてきた前に並んでいる男が、すぐに立ち止まらず足踏みしておいた方がいいよ、と教えてくれる。ストック持参で山登りは馴れている感じ。忠告に従いその場で足踏みしながら徐々に体を休める。

かなり汗をかいており、止まると一気に冷える。Tシャツの替えを持ってくればよかった。とりあえず持ってきていたシャツと上着を着込む。それでも寒い。太陽が早く昇って欲しい。30分ちょっと待って、6時のマチュピチュ開場前に、係員がワイナピチュ登山許可スタンプをマチュピチュチケットに押し始める。七時か十時のどっちだ?と訊かれ七時と答える。番号は063番。上出来だ。夜が明け始める。

列に並び6時開場。朝日に照らされ誰も居ないマチュピチュを撮っておこうと、まずは左手の坂を上りビューポイントへ。同室のTがワイナピチュ一番乗りをめざし、走って登山口に向かうのが見える。

遺跡にはリャマしかおらず、まるで彼らの住処のようだ。数枚撮影してから登山口へ向かう。昨日廻っているので道はわかっている。6時半くらいに着くと、既に数人が並んで居た。Tはちゃんと一番に待っている。

7時10分ほど前に開門。12番で入山。遭難がわかるように入山時と下山時に名簿にサインすることになっている。吊り橋を渡りワイナピチュに入る。石段と時折手綱が設けられているが、山道はかなり細く、険しい。そりゃ年に数人落ちるわ、と思う。どんどん登る。ワイナピチュまで1時間半と書いてあったが確かにそれくらい。しかしよくこんな山の上まで石を削り階段を作ったものだ。最後の頂上付近は大きな岩で組まれた展望台のようになっている。これもインカの遺跡なのだろうか。すごい。continueのサインに沿ってハシゴを登っていくとついに頂上。高い!マチュピチュがとても小さく見える。見ると一番奥にTがいる。後で訊くと走って登って一番乗りだったそうだ。

途中から一緒になったDと登頂をハイタッチで祝福。ブエノスアイレスに住んでいて、この旅行が初めての海外だそうだ。初めてがこれとはいい経験になるねと話す。せっかくなので、登頂の記にとお互いのカメラで写真を撮る。思えば山の頂上まで登ったのはこれが初めてかも知れない。東山も比叡山も途中までしか登っていない。山登りはかなり楽しい。アルプスも一緒に登ろうとWとも約束してきた。日本に帰ったらアウトドア開眼しそうだ。

しばらく頂上でゆっくりし、果物を食べてから(もちろんゴミは持ち帰る)、その先の月の神殿への道へ向かってみる。なぜか誰も向かう人がいない。ワイナピチュを反対側に降りていくのだが、最初のハシゴがかなり険しい。(この道中で一番危険だったと思う)。ゆっくり三点支持を確認しながら一段一段下りる。その先で戻って来たドイツ人に会う。この先には何も無さそうだわ、と言う。確かに登ってきた方向からさらに奥に進むので不安になるのも無理はない。入り口にあった地図では周回ルートになっていて、この奥に神殿があるはずだよ、と言うが、疲れたので戻るわ、と言う。Don’t fall!と言われすれ違う。冗談にならないくらい確かに気をつけないと落ちる。

それから延々前も後ろも人影がない山道を下る。何かの虫の鳴き声か、電子音のような音が森に響いている。ここでケガしたら面倒だと思いながら、気をつけて歩く。さすがに3時間以上登りっぱなし、出発から5時間くらい歩きっぱなしでしかも下りなので膝が震えてくる。随分下ったところで、人の声が聞こえる。石組みの建物跡が出てきて看板があり、角を曲がると月の神殿。家族連れを引き連れたガイドが案内している。ということは道は間違ってなかったと一安心。

座って果物を食べ休む。太陽は完全に空に昇り、湿ったTシャツを岩に被せ乾かす。張り出した巨大な岩盤の下に不釣り合いなくらいきれに積まれた石組みのほこら。完全に三仏寺投入堂だ。誰がどうやってこんな山奥まで石を運び作ったのか。道の険しさもいい勝負。(山道の長さではこちらの方が長い)。小一時間ほど休んでから、円周ルートの折り返し、また山を登っていく。マチュピチュまで1.2時間と看板にはあったが、40分くらいで到着。途中のワイナピチュとの分かれ道から10時に入山した人々と多くすれ違う。

登山口まで無事戻り、サインアウトして前の小屋で一休み。さすがに疲れた。七時の入山で出てきたのは10時半。3時間半もかかった。朝でまだ涼しかったからいいが、10時から登るとさぞ暑いだろう。

遺跡をゆっくり見てからお腹も空いたので13時頃バスに乗ってアグアスに戻る。帰り道、またメルカドに寄ると昨日のJさんがいた。今から電車でクスコに戻るらしい。自分も今夜ペンション八幡に戻るので、じゃあまた宿で、と言い別れる。定食を食べて宿に戻るとTが既に戻っている。走って登ったのでさすがに疲れ、神殿には行かずに帰ってきたらしい。ソファでぐったり一休み。メールチェックしてから荷物をピックアップし早めに駅へ向かう。出発1時間前に到着。

駅でコーヒーを飲みつつ待って乗車。隣に乗ってきたおじいさんが見たこと在るなぁと思うと、リマのペルーレイルオフィスで隣に座ってチケットを買っていたおじいさんだった。英語が不得意なようでこちらも不得意なスペイン語とチャンポンで話す。彼は日帰りで今朝来てこれからクスコに帰るらしい。それもなかなかハードだ。

発車し、少しすると車掌が何やらアナウンスしている。スペイン語がわからないので英語で教えて、と訊くと近くに座っていた日本人の女性が内容を教えてくれた。オリャンタイからポロイまでの間で落石事故があったらしく、この電車はオリャンタイ止まりで、そこから振り替えのクスコ行きバスに連絡しているとのこと。教えてもらって助かった。オリャンタイで降り際、話すと、ブエノスアイレスの大学に留学中で休みなので2週間ペルーを旅行しているらしい。一緒にクスコ行きのバスに乗ろうと並んでいたが、彼女はマチュピチュで御世話になったツアーガイドがいたらしく先に行ってください、ということで夜も遅いので先にバスに乗り込む。

オリャンタイの街は路地が細く、そこに大きなバスやトラックが行き来しようとするので、街を出るのに随分時間がかかる。真っ暗の山道をバスは走る。うるさかった白人の団体もさすがに疲れて静かになる。9時半前、クスコ着。ワンチャック駅に着く。流しのタクシーを拾い、アマルス広場へ。一度戻って食べに出るには遅いので、まだ開いているマクドナルドでハンバーガーを買ってペンション八幡にチェックイン。預けていた荷物を受け取る。Rさんらと再会。食事してからシャワーを浴び、疲れていたので(三時起きでこれだけ登山していればさすがに疲れる)早めに 23時就寝。今日は一日長かった。



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