161日目 100616 CHICAGO



夜行バスは1.2時間しか眠れず。今回も結局50分ほど遅れてシカゴ着。長距離のグレイハウンドは予定表に書いている以外に小さい停留所に結構停まるので、ほぼ確実に遅れます。乗り換えのある経路の場合は一時間以上乗り換え時間を見てチケットを買った方がいいかもしれません。(そもそも出発の時点で大概遅れていますが)

11時前シカゴ着。帰ってきた。シカゴは晴天。宿への道すがら昼食を取って、向かう。三度目のHI-Chicago荷物をロッカーに預け、身支度を調えてから出かける。

アメリカに入ってからの溜まった地図やパンフ、購入した本とバックアップDVDをまとめて送りにミース設計の郵便局へ。かなり広い割には窓口の人数はそうでもなく少し待つ。窓口まで行って荷物を見せて、最も安い便を尋ねると43ドルのプライオリティメールだと言う。先日NYのギャラリーを訪ねた際に教えてもらった時には紙袋でも自分で梱包したまま送れる、と聞いていたのだが。箱を買ってそれに入るだけ、かつ20パウンドまで送れるらしい。2往復ほどしてラベルも書き込み、無事手続き完了。窓口のおじさんが日本語をいくつか知っており、ノリノリで対応してくれた。「俺の日本語も大したもんだろう?」と嬉しそうに隣のおばさんに話しているのに、おばさんははいはい、といった感じで相手にしていないのが面白い。

Lのグリーンラインに乗り、IITに向かう。明日予約しているCAFのツアーでも廻る予定だが、一応先に自分のペースで見ておきたいと思った。電車はOMAのマコーミックセンター上部のトンネルを通って、IIT駅へ着。降りると日本人らしき四人組も降りられる。同業者かなと思うとやはりクラウンホールに向かわれた。夏休み中ゆえか、キャンパスは閑散としている。

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IIT/Crown hall
Mies van der rohe
1956
South State Street 3360,60616 Chicago,United States

■グリーンラインのIIT駅を降りて西に向かうとすぐ見えてきます。徒歩5分。
■当日は夏休み中のためか、展示をしており普通に入れましたが、翌日のツアーの解説によると、通常はここは建築学科の製図室となっている模様。勝手に入ると怒られる、という情報もありましたので、CAFのツアーで廻るのが正解かもしれません。内部撮影表示がありましたが、一応入り口の男に尋ねると、ウィンクしていいよ、と言ってくれました。
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クラウンホールはちょうどウォーホールのヘリウムガスを入れた銀色の風船を浮かべるCloudの展示をしていた。Mies meets Warholと書いてある。巨大な扇風機により風船が渦巻くクラウンホールはなかなかシュール。天井高は5.4m。足下にちゃんと換気扉が取られ、かつH鋼の柱ごとにコンセントボックスがちゃんと立ち上がっている。一応押さえるところは押さえている。柱と屋根の上の大梁から屋根が吊られている。全溶接らしきジョイントがすごい。まさしくレムはこれを見ていてボルドーの家があるのだなぁとしみじみ思う。内部は中央の壁柱以外は完全に無柱空間。

周りにあるキャンパスの建物も全てミース、かと思いきや、旧学生センターはSOMと翌日のツアーで聞く。ミースがシーグラムビルなどで忙しく手が回らずに、SOMに仕事を回したらしい。(英語の聞き取りが怪しいですが)。ミースによる建物群も、同じように見えながら、少しずつマイナーチェンジが加えられている。外壁のI型鋼は同じだが、サッシ周りや梁の見付けの操作がそれぞれ異なっている。煉瓦貼り(積み?)の建物の鉄骨柱梁との納まりが、変で興味深い。

そう言っている間にOMAのマコーミックセンターに到着。

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maccormick tribune campus center at IIT
OMA
2003
South State Street 3201,60616 Chicago,United States

■グリーンラインIIT駅を降りて高架沿いに北に上がるとすぐ見えてきます。ちなみに駅前の建物はヘルムート・ヤーンです。
■全ての入り口にnot public for general peopleとわざわざ書いてありました。おそらく学生のふりをして入れそうですが、バシャバシャ写真を撮っていると、中に警備員も居たので注意されそうです。大人しくCAFのツアーで廻るのが最も確実です。(ただし、内部見学には10分間しか充てられませんが。)
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ちょうど真向かいにあたる位置にある旧学生会館はSOMによるものだが、そのミース紛いの外観とは大きく異なる。確かこの建物はSANAAも応募していたコンペによるものだったと思うが、これを選んだIIT側の勇気は偉い。スタティックなミース(風)建物群にあって、唯一アクティブなデザイン(文字通り動く電車も建物を貫通している)。

学生以外は入館不可とわざわざ書いてあるので、明日見れることを信じて今日は入らず、外観のみ見て廻る。エントランスからミースの顔写真をアイコンで作成し、OMAらしい捻くれたリスペクトを現している。オレンジの半透明に見えるfix開口部はガラス(アクリル?)同士の間にストロー状のスクリーンを挟み込んだもの。内部の間仕切りにはシルバーのものもあった。チューブの奥行きがあるため、正面から見ても視界の中央だけがぼやっと見通せる感じ。面白い。防音的にも効果があるなら完璧だ。

壁面上部の垂れ壁部のえんじと黒の構造用合板の木目のような模様は、北側壁が足下までその仕上げなので近づいて見るとペイントのようだった。東側の壁面上部はFRPグレーチングなのだが、敷地に傾斜があるのか上端部が水平でなく傾斜があるのだが、それに合わせて斜めにカットすることなく、長方形のまま、がたがたのスカイラインで良しとしているところがOMAらしい。直裁的に四角い物を貼っているだけ、と言っているよう。屋外に置いている椅子もデザインや色を統一してなかったり、なぜか不釣り合いなビーチバレーコートがあったりといちいちアンバランスのバランスを取っている。

ぐるっと一回りして、すぐ東側にあるミースの教会に寄っていく。

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IIT/Chapel
Mies van der rohe
1952

■誰も管理者のような人は見当たりませんが、深夜以外は大体開いているようです。
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唯一手がけた宗教建築だが、特に感心するところはない。これも明日のツアーに入っているのでさらっと後にして駅に戻り、Lで市内へ。

State駅で下車すると、すぐ北側にIBMビルが見える。

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IBM building
Mies van der rohe
1971
330 North Wabash Avenue,Chicago, IL

■Lのブルーライン以外の全線、State駅下車すると北側に見えます

■Federal buildingと同じく厳しそうな警備員が立っていて、敷地内で写真を撮っていると注意されるらしいです。
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Federal buildingとは柱までスパンドレルにより縦のラインを強調している点が異なる。Marina cityビルと共に川際に並び、まるでシカゴの街を北と南に二分するゲートのようだ。向かいのゴールドバーグによるMarina cityビルも面白い。低層部から商業施設、駐車場、上部はアパートとなっている模様。

そのまま北へ歩く。こちら側に来たのは初めてだが、どうやらこっちがダウンタウンのようだ。ループ内部がオフィス街だとすると、北側が商業施設が並んでいる。ヴィトンなどのブティックに混じり、レストランも多い。道行く人も観光客より地元の人という感じ。やっとこさ現代美術館に到着すると、既に閉館していた。五時までだった。無念。帰りは地下鉄レッドラインで戻る。

宿に着き、パスタを作る。今回はちゃんとキュウリでなくズッキーニを買ってきた。やはり全然違う(当たり前か)。ここに限ったことでないが、作っていると大体まともに料理していることに驚かれる。普通に野菜を刻んでニンニクを弱火から炒め、肉野菜の順番に炒めてトマトソースを絡め、ブイヨンや塩こしょうで味を調えているだけなのだけれど(本当に何回これを作っているのだろう)、自分以外に同じようにまともに料理している人はなかなか見かけない。ヨーロッパ人も多く来ているのに意外に思う。確かに短期旅行なら自分も料理せず、外に食べに出かけるだろうけれど。

食べ終わって、一服に空いていたビリヤード台に行くと、ちょうど黒人が寄ってきて一緒に2ゲームやる。2勝。悔しいのか、全く悔しがらずに愛想もなく去っていった。何か悪いことをした気分になる。その後作業。24時就寝。



2 Responses to this post

  1. あかにし says:

    この駐車場はもしかしたらwilcoの
    アルバム「Yankee Hotel Foxtrot」のジャケ元なのかな?
    http://www.amazon.co.jp/Yankee-Hotel-Foxtrot-Wilco/dp/B00005YXZH/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=music&qid=1277130864&sr=8-3

  2. まつもと says:

    間違いなく。
    へー、知らなかった。
    ゴスペルは、ほぼガスペルって発音するんやね。
    大阪と同じくシカゴの黒人のおばちゃんは皆パワフルでした。
    シアトルシータック空港より。
    今からサンフランシスコへ飛びます。

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