友人の調査手伝いとして福島へ行ってきました。
福島市を拠点に、海側は相馬、南相馬、山側は裏磐梯の五色湖周辺を廻りました。海岸に近づくにつれ、あるポイントから急に被害が大きくなります。津波が到達した ところとしていないところの境界が割合くっきり見えるようでした。そのあたりから、すれ違う車はダンプや作業車ばかりになります。
道路は瓦礫も避けられ車も通るようになっていますが、それ以外は三ヶ月経ってもまだまだ手つかずの状況。防波堤も決壊し、瓦礫で埋まってしまってい るのか基礎から持って行かれたのか、住宅地の区画さえ判別つきません。ぽつんと残ったRC造の公民館以外はまるで焼け野原で、土台と基礎だけになった住宅 は建築の死体のようでつい見ながら立ちつくしてしまいました。建築に関わる人は興味本位でも見ておいた方がいい、と思います。
元港の市場だったあたりはタンクが倒れて燃えたのか、少しガソリン臭がありましたが、それ以外は話に聞いていたような臭いは全くありませんでした。
福島市内は県内でも比較的放射線量が高い所ですが、ほとんどの人がマスクもしていないのが意外でした。
大学の先輩で田村市のUDCT(Urban Design Center Tamura)で副センター長をされている田中大朗さんを訪ねました。大朗さんが赴任されてからの仕事を駅前からUDCT、車で各地域と案内頂きました。 官(田村市)、民(民間企業)、学(東京大学)一帯となって拠点を造りまちづくりを行っている所は全国でも稀だそうで、失礼ながら学生時代から都市計画と いうものに面白みを感じたことがなかったのですが、とても現実的で細かな活動には感心し、興味深い物でした。町を案内頂いた中で、今和次郎が設計した娯楽 場も特別に中を見せて頂きました。現在は武道場となっており、1階を初め手は加えれていますが、考現学以外の今の実作を初めて見れたのは貴重でした。設計された菅谷駅も見学。写真ではわからなかった納まり、工夫がありました。見に来てよかった。
福島最終日に仙台へ行き(高速道路無料のため往復1400円のバスが出ている)原広司さんの宮城県立図書館へ。今まで見た原さんの建物で一番良いです。特 に建物裏手にある屋外広場のスケール感がとても気持ちいい。もともとの地形になるだけ沿わせた結果だそう。京都駅はこういうことをしたかったのか、と思い きや竣工は京都駅より後だったのが意外でした。内部の閲覧室や書架室を浮かした構成とその表現、構造的な構成を攪乱するかのような、多重な見え方を誘発す る仕上の切り替え方など、同業者としてとても面白く、かつ一般の利用者もとても多く賑わっていたのが印象的でした。
帰りに東京に寄り、minorpoetさん事務所でもう7回目となるスライドショーをこじんまりとさせて頂きました。しかし事務所の立地がすばらしい!R 不動産で見つけられたそうですが、共用部テラスからは東京タワーも見え、借景というか借場とでも言えそうな事務所の外のスペースまで含めとても気持ちよい 空間でした。いつもながら予定の倍の4時間ほどの長丁場、お付き合い頂いた皆様ありがとうございました。
あと森美術館の田口行弘展はすばらしかった。同時開催のフレンチウィンドウはほぼスルー。会場構成も含め、すべてが作品。しかし切れてるなー。メイキングも含め全て見尽くしました。クリチバでのメイキング映像にオランダでお世話になった犬飼紗英さんを発見。ひとりにんまりしました。
そして京都に帰ってきました。