110513-15 Edinburgh

Holyrood park

グラスゴーからたった1時間程度で首都エジンバラ到着。駅から少し距離のある宿まで歩きチェックイン。どうやらエジンバラ大学学生寮の中にあるホテルのようで、まわりは学生で一杯。近くで簡単に夕食をとって夜9時前でもまだ明るい。さすが北国。宿のすぐ裏にある丘Holyrood parkに上ってみる。落石注意のサインもある断崖絶壁だけれど、なんとか歩いて登れる。夜景がきれいに見えた。遠くにエジンバラ城がぽっかり頭一つ抜き出ているのが見えた。

翌朝、スコットランドに来て初めて天気がいい!ずっと雨が降ったり止んだりだったのでとても嬉しい。昨夜の丘の道を抜けてエジンバラ行きのメインイベント、Scottish parliament見学へ向かう。

Model of Scottish Parliament

Scottish parliament
EMBT+RMJM
2004

■メインのWaverley駅から歩いて10分くらい。
■ガイドツアーが定期的に出ています。僕は下記リンクからオンラインで予約していきましたが、現地でも予約できるようでした。かなり頻繁に出ているようなので、定員で見れない、ということはないと思います。ちなみにPublic tourとArt and Architecture tourをどちらも申し込みましたが、午前のPublic tourが終わった後にガイドさんが声をかけて来て「Art and Architecure tourも解説の政治に関する部分が抜けて、Artに関する解説がほんのちょっと加わるだけでほぼ同じだからあまりお薦めしないよ」と名簿で名前を見つけて教えてくれました。なのでPublic tourの方が本数も多いし良いと思います。
http://www.scottish.parliament.uk/vli/index.htm
※ちなみに上記オフィシャルリンクにはコンペの経緯や最終ショートリストのコンペ案もDLして見ることができます。

8年ほど前のVenezia Biennaleにて、初めてEMBTのこの建物の木製模型を生で見た時の写真は今でも残っている。その時は四方色んな角度から何度も見廻っていたけれど、まさか完成した建物を見に来れるとは思わなかった。

グラスゴーでの英語のクラスのInvaness出身である先生は、「建築をやっている人以外には、評判あまり良くないよ」と言っていた。わからないでもない。ガイドの解説によれば、木であれ石であれ金属であれ、素材の多くはスコットランドの土着のものを使用しているようだが、周りの街並みの形態からは明らかに異なる。降って沸いたように見えてもおかしくない。けれど同じ作る側から見れば、はっきりいって途方もない名作だと思う。

ガイドブックによれば、他のコンペ案はみなシンボルとしてのタワーを据えていたが、EMBT案のみ低層とし、背後にそびえるSalisbury crags(Arthurs seat)の丘との繋がりを重視してボリュームを配置した。丘から見下ろすと、その選択が正しかったであろうことがよくわかる。分棟にしている建物も(下層で繋がっている)周辺の既存建物に比べ大きすぎない。

ミラーレスの最初のスケッチ、丘から伸びる枝とそこに茂る葉っぱ、という構成から導かれたのか、棒状の(枝?)モチーフが内外通じて日除けや門扉、壁面のレリーフに用いられる。外部の窓面に取り付く御影石によるL型は機能的には日除けだそうだが、ガイドの解説によるとカーテンをタッセルで引っ掛けた形をモチーフにしている。かつ、スケートをするスコットランド宰相の絵画にも依っている。オープニング式典でTagliabueが明かすまで、市民は、ドライヤー?はてなマーク?銃?ハンマー?などさまざまな憶測を飛ばしたらしい。この建物の魅力の一つは、そのような多重な意味、多層な見え掛かりにある、という解説にはなるほど、と意を得た。

The park of the Scottish parliament

Posi and nega branch shape

Approach

Facade around entrance

中に入っても、エントランスホールのRCボールト天井はこの地方の教会の天井と共通しているらしく、見上げると様々な大きさのクロスが見える。スコットランドの国旗At Andrew’s Crossをモチーフにしている。実際のところ、このRC天井はスケールの調整にとても役立っているし、クロスの押し型はスプリンクラーなどの配置の指標となっている。数え上げきれないほどの多様で自由な造形がある。他のミラーレスの建物でも感じたように、「普通そうするかもしれないけれど、実はこうもできるでしょう?」と言われているかのような自由さ。通常あり得ないと思われる選択、納まりを全てにバランス良く施すことにより、全体で見れば見事に(僕には)違和感が感じられない。ただただ圧倒的な密度。

Entrance hall

議場に入り、議会のシステムについての説明を聞く。全ての席は議長と繋がっており、採決も発言も直接伝わり、発言の時間は平等に割り振られる。制限時間が来ると、自動的にマイクのスイッチがオフになる、というのには笑った。合理的なシステム。

屋根の構造がすごい。議場を無柱空間にするためのトラスのようで、帰ってからEl croquisで断面図を見ると外部でフライングバットレス的に地面から支持されていた。過剰にアクロバティックに見えるが、その冗長さが彼らの建築の魅力のひとつだと思う。ちなみに構造はArup。

Debating chamber interior

Observer? or whisky bottle?

Typical door design in that building

Facade of MSP building

ガイドツアーで見れる範囲は全体の1/3にも満たないように見えるが、それでも十分見る価値は大いにあります。下記のwikiの解説は結構詳しく、コストの変動(当初の約10倍!)や竣工後の評価などもあり、オフィシャルサイト以外の客観的評価として読むと面白いです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Scottish_Parliament_Building

その後、Modern Art Garally(近代美術館)に閉館間際に行ったら、思いの外展示が面白かったり(石上純也さんが招かれて当美術館のために提出した改装案をまとめた展示があった)、帰りに来る前に勧められたVillageの小川沿いを散策したり、近道closeを道から覗いて面白そうなところを幾つか入ってみたりしました。帰りにSalisbury Craigの丘に登って上からScottish parilamentを見て宿に戻りました。

Land art by Charles Jencks in front of the Moder Art Garalleys, Edinburgh

Like a tree house in someone's garden near village

Mussels in Mussel Inn

ちなみにその日の夕食は地球の歩き方にも載っていたMussles Innに行ったのですが、けっこう広い店内は2時間先まで予約で一杯、テラス席ならいいよ、と言われて少し寒い中がまんして食べたムール貝はこの旅行一番の美味しさ。他のメニューもすべて美味しい。かつ全然高くない。とてもお薦めですが、必ず予約した方が良さそうです。後から何組も空いてない?と訊きに行っては返り討ちに遭ってました。

View from Salisbury Crags

At 9 pm, moon rising

そして翌日日曜日、朝からエジンバラ城など見た後、帰りにグラスゴーのひとつ手前の駅で降り、相方さんの友人が迎えに来てくれた車に乗り、Falkirk Wheelという運河エレベーターみたいなものを見に行く。彼らがいいところがあるよ、と連れて行ってくれたのだけれど、売店には日本語のガイドブックもあったので日本人もよく来るのか?巨大なものが動く、というのは単純に見ていてわくわくしてしまう。

Introduction for the Wheel


そして月曜日、また雨の中午前中に買い物を済ませ、空港に向かい、またDubai経由で帰途につきました。



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