120日目 100506 STOCKHOLM



昨夜は結局咳が出続けてほとんど眠れなかった。3時くらいに咳が出過ぎて苦しくなってきて、ダイニングに出るとましになった。毎年ではないけれど、春くらいによく同じように咳が止まらなくなる症状が出るので(いくつかの病院に行ったが、結局ハウスダストが原因?とくらいしかわからず、時間が経てば治る)それかもしれない。その他の風邪的症状は全くない。ベッドのある部屋は窓もなく閉め切られているので埃が多いのかもしれない。ダイニングのソファで座りながら断続的に眠る。

8時くらいに起きて朝食を食べる。体を起こすと咳はましになる。横になると出る。(夜になると、かと思ったがその日の昼にベンチで横になったらまた頻繁に出たので体の向きが関係あるらしい)。今日はもう特に見に行くべき建物もないので食後ゆっくり作業。その後荷物をラゲッジルームに預け、10時半過ぎ出発。

オストベリ設計の市庁舎に向かってみる。地図を見ると二つあって、中央駅から北西にある違う方に最初向かってしまい、川沿いを引き返す。天気も良く咳の様子を見ながらベンチで休み休み歩く。平日の午前だというのにランニングしている男女が多い。ドイツあたりから目にするようになってきた気がする。それまでの国では、よもやイスラム圏では全く見なかった。寒い国の人は走るのだろうか?(けれどロンドンやパリでもあまり見なかった気がする)

市庁舎に到着。仰々しい足下をくぐると大きな中庭に出る。その向こうに海に続く入り江が見える。気持ちの良い視線の抜け方。看板の解説によるとオストベリは中庭とホールという二つの大きな空間を作り、全体はルネサンスのパレスの意匠を参考にしたらいし。記憶ではナショナルロマンチシズムに属する、ということくらいしかないが、この中庭と、その外に続く入り江縁まで連続する前庭の配置はすばらしい。ちょうど良い距離に置いている。芝生や噴水で子供が遊ぶ遊ぶ。いい光景。入り江の反対側にガムラスタンが見える。中世の街並み、とガイドブックには書いてある。行ってみる。

途中広場に一面、桜?梅?が咲いている。日本人の数人がシートを敷いて花見をされていた。他は誰も地面には(芝生でないので)座っていない。花見のスタイル自体が日本的なのだとわかる。

歩いて橋を渡ると久しぶりに見る石畳の街並み。そういえばしばらくこういう街並みは見ていなかった。どこ以来だろう。ブリュッセル
の旧市街以来か、ブダペスト以来か。政治家か何かわからないが誰かが演説をしている。日本みたいに馬鹿でかい音量でなく控えめな音量のマイクが好印象。賛同者20人くらいの小さな会。国会議事堂を通って、メインの通りに入ると土産物通りだった。観光客でごったがえしている。歩き方に載っていたハンドメイドの雑貨の店に入ってみる。毛氈のブランケットなど惹かれるものはあるが、ここでしか!と驚くようほどのものはない。ストックホルムの店頭によくthe best place of scandinaviaと謳っているのを見かけるが、やはりそういう競争意識があるのだろうか。日本人的なメンタリティからすると、あまりそういう所は好きになれない。屋台でホットドックを買って昼食。swedenではよくfrench hotdogと書いて細長いパンの真ん中にちくわのような穴が開いていてそこにウィンナーを突っ込んだものを見かけるが、そんなのフランスでは見たこともない。どこから来ているのだろう。

入り江の海際の道を歩き、地図を見ていて見付けた建築博物館を目指す。延々歩いてユールゴーデンDjurgarden島へ着くと、地図の引き出し線を見間違っていて島違いだった。うー。だから歩き方の地図は見るものじゃないのに、と地図に八つ当たり。また歩いて30分ほど引き返すのも疲れたので気持ちの良さそうな芝生を見付けてふて寝。時間は十分にある。

4時前になってさすがに起きて隣の島、skeppsholmen島へ向かう。天気が良いので海際はテラスや寝椅子の客でいっぱい。四時過ぎに到着。結構ちゃんとしている。今は企画展としてGreta Magnusson Grossmanの展覧会をしていた。カリフォルニアでケーススタディハウスの時代に活躍した家具デザイナー兼建築家の女性らしく、確かにライトコンストラクションな建物。展示がすばらしい。家具の実物とトレペに手書きの原図を並べて展示してある。建築については模型と、原寸の部屋も再現している。解説によると今まで忘れられていたが実は良い仕事をしていたswedishな建築家、という見方らしい。建築は図面のきれいさ以外にピンと来るところはなかったが、家具は確かに誰かに似ている、という感じではなく面白い。

もうひとつの企画展では写真家が撮った(おそらく若手の)現代建築写真展、っぽい内容。おもしろい。アート寄りなカーサブルータスのブランド×建築みたいな写真。

常設では古代からの建築を写真や模型で展示しつつ、平行してスウェーデンの古代からの建築様式を模型で説明している。かなりちゃんとしていて見応えがある。こういうのって建築関係者でなくても絶対面白いと思う。日本でもやればいいのに。(江戸東京たてもの館だったか、はあるけど)。

帰りにブックショップを物色。品揃えがなかなか良い。Rizzoriからアトリエワンの分厚い作品集が出ていた。ここストックホルムでもェ英語版の建築ガイドがあった。覚えている範囲ではオランダ(ロッテルダム、アムス)、ドイツ(ベルリン、ケルン、など各都市)、コペン、バルセロナ、プラハ、オスロでもそれぞれその街や国の建築協会などが発行元のガイドがあって、英語版もあり、ちょうど日本のギャラ間発行の建築ガイドマップくらいの判型と厚さで、値段も2000~5000円くらいと手頃。自分は荷物になりすぎるのでほぼ買わなかったが、行かれる方はそれぞれの街のガイドをまず買われることをお勧めします。全然詳しいし、地図も載っている。

オスロもそうだが、ストックホルムの建築博物館もお勧めです。

気がついたらもう5時過ぎ。急いで宿に戻り荷物をピックアップし、中央駅のヴァイキングライン窓口でチェックイン。直通のバスチケット40sekを買って1830のバスを待つ。そのまま空港まで行くバスのよう。ターミナルに着くと結構混んでいる。1940に搭乗が始まる。中国人のツアーなのか団体客がすごい。最低価格の部屋は一人当たりカプセルホテルくらいの広さの部屋。寝る以外に何もできない。四人埋まっている。荷物を置きロックをかけて、船内を探索。taxfreeショップはあるが、南ヨーロッパの価格を知っている身からするとあまり安くもない。

ちなみに一応キャビンチケットも買ったが、買わなくても乗船チケットだけでも乗れます。(昼10e夜1
9e)、その場合部屋が無いわけですが、外の見える窓際にベンチが7階と8階に10席づつ程度あるので、もし本当に節約したい人はそこで過ごすことは全然可能そうです。夜行の場合、食事時間が過ぎると人もほとんど部屋に戻っていませんし。

8階でぎりぎりネットが繋がる電波を見付け作業。外の海は真っ暗で本当に何も見えない。ナントのSちゃんに何か小説を、ともらった池澤夏樹の夏の朝の成層圏(やっと読み始められましたよー)が、ちょうど船からたまたま海に落ちて無人島に辿り着いた男の話なのでリンクしていて興味深い。これは落ちたら怖い。

0時前本を読んでいると、一人のフィンランド人が話しかけてくる。どうやら中国人の団体客の一人と思われたらしく、なぜ一人で彼らと一緒に居ないんだ?と訊いてくるのでそうじゃないんだと話す。ノルウェーの大学で海洋工学を学ぶphdらしく、トゥルクの家族の元へ帰るところらしい。結局咳が治まらず1時くらいまで本を読んでいたら度々通りがかり、やはり日本人はhardworkerだなぁと言われるが、あながち間違ってはいない。さすがに寝床に行き、咳は治まらないが横になってみる。1時半就寝。



2 Responses to this post

  1. takemitsu says:

    まいど。武光です。
    子育てに忙殺されていましたが、ようやく少しは自分の時間をもてるようになって、
    ふと思い出してよらせてもらいました。
    じっくりと読むのはまたの機会にさせてもらうとして、いやいや写真うまいなぁ~。
    スクロールして写真を見ているだけでも楽しめます。
    それはそうと松本さんの咳やけど、俺もイネとハウスダストに敏感で埃っぽいところでは
    咳が止まらん時があるわ~。ひどいようならマスクした方がええよ。喉も潤うしな。
    だいぶ寝苦しなるけど。。。
    それではまたじっくり読ませてもらいます。
    体には気をつけてや~。

  2. matsumoto says:

    >takemitsu
    コメント、並びに気遣いありがとう。
    マスクも当初からしてるんやけどね~、なかなか効果がわからない。
    めがねが曇るのが困りもの。
    まぁ子育ての息抜きに、時間のある時にでも、ちらちら覗いてみて。

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